SC内のシネコンだからどうしても女性向け、家族向けの作品が主流で、とんがっていたり、エログロ関係はどうしても……ところがあの「ヒミズ」(園子温)を二週間限定とはいえ公開するというのでびっくり。
もちろんそれは鶴岡まちキネの、単館系も堂々と封切る姿勢に対抗しているのだろう。向こうは「恋の罪」や「エンディングノート」までやるというのでまだまだ勝負にはならないのですが。
しかし「宇宙人ポール」の公開はうれしい(やはり二週間限定)。こんなマニアックな映画を、二番目に大きなシネマ3でやってくれるってんだから。
結局は木っ端微塵で、お客さんはわたしをふくめても三名しかいませんでしたが(笑)。定員303席に三人は気持ちいいぞー。同好の士が集まった感じ。なぜか電通もからんでいるらしいのでメジャーな作品なんだけど。
さて映画にふれる前になんでこんなムダ話をしているかというと、「宇宙人ポール」は事前情報を入れなければ入れないほど楽しめる作品だから。おいおいこう来るか、と何度苦笑したことか。まあ「未知との遭遇」と「E.T.」は見ておいた方がいいかな。
「ホット・ファズ」でイギリス人らしい、ハリウッド・コードを無視したユーモアを炸裂させたサイモン・ペッグとニック・フロスト(「タンタンの冒険」で、まったく同じルックスの警察官を“演じ”てました)コンビが、今度はSF愛・UFO愛・スピルバーグ愛を炸裂させております。作品自体が「インディ・ジョーンズ4」への壮大な返歌だとも……いかんいかん、どうしゃべってもネタバレになってしまう。
ストレートなファースト・コンタクトものかと思わせて、その宇宙人がとてつもなく失礼なヤツだったら、というお話。
音楽が相変わらず笑わせてくれて、男ふたりがゲイに間違われてくさっているところにグローバー・ワシントンJr.のJust The Two of Us。邦題は「クリスタルの恋人たち」でした(笑)。それに、ELOのDon’t Bring Me Downを、去年スピルバーグがらみのあの作品でさんざん使われたのに対抗してこちらでも。
あ、それからこれだけは言わせて。悪役である“ビッグ・ガイ”の退場の仕方と、ラストのサングラスの使い方(トリュフォー!)、そしてポールのセリフには爆笑できますっ。ああもうすぐ上映が終わっちゃう、急げ劇場へ!