治験について(治験入門から専門家まで)

治験実施者も治験依頼者も治験参加者も、三者がいなくては治験は成り立たない。

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

治験(ちけん)とは

2007-02-08 02:27:08 | 治験
新薬を世の中に出すために行う臨床試験を言う。

治験には大きく分けて3うのフェーズがある。
順番に説明すると、まずフェーズ1の治験を実施する。
フェーズ1では健康な成人男性を対象として臨床試験を行い、主に新薬の安全性と体内動態(吸収、分布、代謝、排泄)を調べる。
このフェーズ1に参加するボランティアには製薬会社から謝礼が貰える。

次にフェーズ2の治験を実施する。
フェーズ2では少人数の患者さんに投与する。初めて患者さんに投与することになる。
ここで病気に対して新薬の効果を調べるとともに安全性も調べる。

フェーズ3では多くの患者さんを対象に投与する。
また、既存の薬とも有効性と安全性を比較する。

フェーズ2とフェーズ3に参加される患者さんに対しては謝礼は支払われない。(外来の方は交通費の負担を軽減するために7000円前後が来院ごとに支払われることが多い。)






架空の製薬会社「ホーライ製薬」

臨床試験、治験を考える「医薬品ができるまで」


コメント (19)   トラックバック (1)

創薬ボランティアとは

2007-02-08 02:25:09 | 治験
治験に参加してくださる患者さんたちを最近では「創薬ボランティア」と呼ぶことが多い。
今までは「被験者」という冷たい言い方だったことを考えると、少しは製薬業界も治験に参加してくださる患者さんたちのことを考え始めたのかもしれない。


フェーズ1の創薬ボランティアは通常は健康な成人男性であるが、抗がん剤などのフェーズ1では新薬の副作用が強いことが予想されるため、がん患者さんに創薬ボランティアになっていただく。
高額なバイト料が評判なのが、このフェーズ1の治験である。


フェーズ2の創薬ボランティアは新薬が効きそうな病気の患者さんたちとなる。
ここで始めて病気に効果が有るかどうかを確認することになるが、このフェーズ2で病気に効果が無くて、消えていく新薬の卵の数はかなり多い。

フェーズ3の創薬ボランティアは多数の患者さんが対象となる。
このフェーズではほぼ新薬の効果が分かっていることが多いので、治療効果も期待できる。

最近では新薬の発売後をフェーズ4と捉え、そのフェーズ4の臨床試験に参加してくださる患者さんを育薬ボランティアと呼ぶ。




架空の製薬会社「ホーライ製薬」

臨床試験、治験を考える「医薬品ができるまで」


コメント   トラックバック (1)

治験が終わると待っているもの

2005-02-06 17:44:18 | 治験
それは、信頼性調査だ。

薬の有効性も、安全性も、治験のデータをもとに判断される。
そのデータの信頼性が損なわれていたら、有効性、安全性という話どころではない。

そのためにも、総合機構の方々が、病院に行ったり、会社に来たりして、データの信頼性を調査する。

さらに、全データを1トントラックに積んで、総合機構のビルまで運び込む。
そこで長いと1ヶ月以上に渡って、データの信頼性を調査される。

そうやって、薬の信頼性が積み重なっていくのでした。
コメント

【治験に参加する患者さんとは?】

2005-01-24 23:13:30 | 治験
誰でも、どこででも治験に参加できるものではない。

まず、治験を実施している病院に行かないといけない。
どこの病院で治験を実施しているかは、今のところ、ネットで検索するしか(ほぼ)ない。

で、そこの病院に行って、治験に参加したいと言っても、これまらすぐに治験に参加できない。

たとえばあなたが糖尿病だったとしよう。
新しい糖尿病の治験薬がいいらしい、という噂を聞きつけて、なんとか、その病院へ行く。

しかし、まず、医師に治験に参加できる基準(病歴何年以上か?とか、糖尿病の進行具合とか、他の臓器の健康度とか、その他うんざりするくらいの基準)をクリアしないといけない。

そして、その上で、医師が治験の説明書を文書を使って説明するので、それを良く理解し、その上で、自分はこの治験に参加してもいい、と思ったら、同意書に氏名とサイン、住所などを書く必要がある。

でも、ここまで終了したからと言って、治験薬が投与されるとは限らない。(続く)
コメント

【治験実施医療機関で特に注意して調べる点】その3

2005-01-23 17:53:35 | 治験
最近、多くなってきたのがクリニックでの治験だ。
また、クリニックとまで行かなくても、市民病院とか町立病院などの小規模な病院での治験。

こんな場合、一番、注意して調査するのは「万が一、副作用等緊急入院などの処置が必要になった場合、対応できるか?」だ。

クリニックレベルでは、まず無理なので、そんな場合には、どこの病院に搬送してもらうのか?

通常は、どこの病院と契約なり、提携しているのか?などを事前調査でしっかり調べておくこと。

治験薬は、なんと言ってもまだ安全性が確立していないので、そのような事態も想定して、治験実施医療機関の調査・選定を行うのだ!!
コメント

【治験実施医療機関で特に注意して調べる点】その2

2005-01-20 23:48:00 | 治験
治験を依頼する前に、治験実施医療機関のSOPを当然、調査する。
その時に、上記でも言ったが、IRBメンバー構成を必ず調べること。
そして、もしSOPにGCPの条文通りに記載されていたとしても油断をしない!

かつて、僕が調べた時に「非専門家」がIRBメンバーとして一名参加する、とSOPに書いて有ったが、IRBの審査結果通知書に付いてくる「治験審査委員会委員一覧表」の『非専門家』の欄に「看護師長」がいた。

だから、GCP通りの条文が書いて有っても、必ず事務局の人に『非専門家』の職業を聞くこと!
また、『院外メンバー』も、本当に院外メンバーなのか、職業やどうしてこのメンバーを選んだのかを聞いてみること。
意外と「病院の土地に地主だから」なんてことが判明する。(当然、この場合はアウト!!)
コメント

【治験実施医療機関で特に注意して調べる点】

2005-01-20 06:24:57 | 治験
まずはIRBだ。

IRBメンバーの構成要員はGCPで規定されている。


4-3 治験審査委員会の構成

4-3-1 治験審査委員会は、治験について倫理的、科学的及び医学的観点から審議及び評価するのに必要な資格及び経験を、委員会全体として保持できる適切な数の委員により構成するものとし、次に掲げる条件を全て満たさなければならない。

(1)少なくとも5人の委員からなること
(2)少なくとも委員の1人は、自然科学以外の領域に属していること
(3)少なくとも委員( 2)に定める委員を除く)の1人は、医療機関及び治験の実施に係わるその他の施設と関係を有していないこと

4-3-2 医療機関の長は、当該治験審査委員会に出席することはできるが、委員になること並びに審議及び採決に参加することはできない。

4-3-3 治験審査委員会は、委員以外の特別な分野の専門家に出席を求め、その協力を得ることができるものとする。


ここでくせものなのが、『(3)少なくとも委員( 2)に定める委員を除く)の1人は、医療機関及び治験の実施に係わるその他の施設と関係を有していないこと』だ。

例えば、病院のホームページを調べてみよう!
そこに、もし関連病院や提携病院が載っていたら、要注意!
そこの関連病院や提携病院の医師などがIRBメンバーになっていて、しかいも唯一の外部委員ならば上の(3)に該当しない恐れがある。

そこまできちんと調べるのだ!!
コメント (1)

もう一度考えたい

2005-01-17 23:31:47 | 治験
治験について原点に戻って考えたい。

薬は、まず「化合物」として見つかる。

たとえば柳の木から「アセチルサリチル酸」という「有機化合物」が見つかったとしよう。

そのアセチルサリチル酸をマウスなどの動物実験(これらの実験を非臨床試験と言う)で、炎症を抑える働きが有ることが分かった。
さらに、毒性などを調べる。 これもほぼ問題が無かったとしよう。

そこで、科学者は、この「アセチルサリチル酸」という「有機化合物」を人間の炎症も抑えることができたら、どんなに素晴らしいだろうと思う。
そのためには、まず非臨床試験の結果(安全性、有効性、一般的な薬理作用、毒性など等)をまとめ、それらから、人間に使用可能かどうか判断する。

使用可能という判断ができたら、最初は一般の健康な男性を対象とした第1相臨床試験というものをやる。
その試験を行う方法をプロトコールという臨床試験の試験方法にまとめる。

その中には治験に参加可能な人の条件(登録基準)、参加できない人の条件(除外基準)、アセチルサリチル酸をどれ位の量で、どのように人間に使うか・・・・・・など等を細かく規定する。

もちろん、治験に参加して頂く人に対する「同意説明文書」も作る。
他にも、いろんなことを決めて、「総合機構」に治験届を出す。

治験届を出して、問題が無かったら、アセチルサリチル酸は「有機化合物」から「治験薬」と名前を変えて、人間に使われる。

そして、順次、適切な手順を踏んで、最後の第3相臨床試験のデータも全て出揃い、人間に使っても大きな副作用も出ず、しかも炎症を抑える効果も有ることが証明できたとしよう。

これらのデータを全て(非臨床試験から臨床試験、それに製造方法、分析方法なども含めて)集めて、「総合機構」へ提出される。

「総合機構」は提出された結果からGLP、GCP、GMP上の問題が無いかどうか、有効性、安全性に問題が無いかを審査する。

問題が無いと、厚生労働省へ審査結果が送られ、最終的には「厚生労働大臣」により製造の承認許可が出され、世の中に出ることになる。
世の中に出ると、アセチルサリチル酸は商品名「×××」という名で「薬」となる。


ここで注目したいのは、柳から発見された「アセチルサリチル酸」という「有機化合物」の構造式は全く変わってないということだ。

構造式が変わってないのに、それが単なる「有機化合物」から「治験薬」になり、最後には「薬」と呼ばれる。
どうしてだろう?
どうして、構造そのものが全く変わってないのに、「薬」と呼んでいいのだろう。

構造式が変わってないのなら、何が変わったのか?

それは「アセチルサリチル酸」に「有効性」や「安全性」という「データ」即ち「情報」が附加されたからだ。

化合物を薬に変えたのは「情報」である。
そして、審査する「総合機構」の人も、厚生労働大臣も、製薬会社が提出した「紙に書かれたデータ(情報)」しか見ていないのだ。

審査する人の誰一人として、アセチルサリチル酸の結晶構造を直接見たわけではない。
さらに、審査する人の誰一人として、治験中に治験薬を飲んだ患者さんから、直接、「効いたかどうか」、「副作用は無かったか」を聞いた人はいない。

審査する側は製薬会社が提出した紙に書かれただけの「データ(情報)」を信頼して(書面調査や実地調査等も含めて)、審査する。
厚生労働大臣はその審査結果(これまた、ただの紙に書かれたもの)を信頼して、薬として販売することを許可する。

世の中に出た「薬」は添付文書という注意書きと共に「医者」に届く。
医者は国が認めたことと添付文書に書かれたことを信頼して、患者さんに使う。

患者さんは、医者を信頼して、その薬を使う。


GCP上、製薬会社は治験に対してデータの信頼性保証を行う義務がある。
じゃ、一体、誰に対して「信頼性」を「保証」するのか?

それは、その会社の臨床監査部門に対してか?
それとも、「総合機構」に対してか?
「厚生労働大臣」?

いずれも、違う。 

僕たちは、その薬を使うことになる患者さんに対して、薬の効果と副作用のデータの「信頼性」を「保証」するのだ。

僕たちの仕事は、機構や監査から指摘を減らすのが仕事なんかではない。

薬を使ってもらう、いや、「使わざるを得ない患者さん」に対して僕たちのやっている仕事を信じてもらうために、信頼してもらうために、GCPを守りながら仕事をしてるのだ。
患者さんは、僕たちを信頼しているのだ。


もし、このサイトを通じて、一般の人や「薬を使わざるを得ない患者さん」のみなさんに、僕を信じてもらえなかったら、それは、もう僕の存在価値が無いということに等しい。
コメント (1)

治験における補償と賠償(2)

2005-01-08 11:25:32 | 治験
初心者は、これを熟読すること!
  ↓
治験に係る補償・賠償の実務Q&A110 J&T研究会 (著)

まず、これを読んで暗記しておけば、医師や治験事務局、IRBからの質問にたいていのことには答えられるぞ!
コメント

治験における『補償』と『賠償』

2005-01-07 06:54:43 | 治験
【1.基礎編】

1)「補償」と「賠償」の違いをまず認識しましょう。
・補償=適法を前提とする責任
・賠償=違法行為を前提とする責任


2)どんな時に補償が生じるか?
・因果関係が否定できる有害事象は補償対象外
・副作用による健康被害が補償対象。
・副作用の未知、既知は関係無い
・プロトコルに規定された検査等による健康被害が発生したとき。
・プラセボで有害事象が発生し、それがプラセボとの因果関係が否定できなかった場合(賦形剤のスターチによるアレルギーなど)


3)補償事例が発生したら、当局への連絡も忘れずに考慮する(「未知の副作用で入院等」は15日以内。)


4)補償として何を提供できるのか?
・医療費
・医療手当(入院程度以上の場合)
・補償金(重い障害や死亡した場合のみ)
・患者さん対象の治験では「休業補償」は出ない
コメント (1)