hoppenの韓的な日々♪

2004年・夏、イ・ビョンホンssiに出会ってから韓流へ~韓国映画&ドラマで刺激的になった日々を綴ります。

ポン・ジュノ監督、講演会 in東京工芸大学 ①監督デビューまで(2007.11.05)

2007-11-06 01:54:40 | 韓流イベント(舞台挨拶、コンサート)

■ひらけ! メディア 日・韓メディア芸術の現在2007
http://www.t-kougei.ac.jp/about/event/2007/038.html
@東京工芸大学 中野キャンパス

11月5日、東京工芸大学で、韓国のポン・ジュノ監督が講演会をしました。
『殺人の追憶』『グエムル』の監督です。
2時間弱という長い時間、内容の濃い~公演を聴くことができました。
聴講者はたったの30人くらいで、もったいない!
と思ったので、講演の内容を、頑張ってお伝えすることにします。

商業映画の中で、いかに自分自身が作りたい映画を生み出せるのか。
ポン・ジュノ監督の強さを感じた講演会でした。
映画を作る苦労、楽しさ、監督の個性を感じることができます。
ぜひ、読んでみてね。
まずは、監督デビューまでのお話です。

友人Sちゃんからの情報で行ってみました。
本当に来るのかな~と疑うほどでしたが、目の前にポン・ジュノ監督が現れました。
監督は、この講演のために来日したそうで、今日は、空港からこちらに直行だそうです。


>まずは、監督からのひとこと。

ポン・ジュノ監督
韓国を代表する監督というのは、とんでもありません。
若手監督の一人として、やってきました。
日本の監督と共通の悩み、または、異なる悩みなどを語りたい。
こうして、映画について、皆さんと語り合えてうれしいです。


>お父さんがデザイン関係の仕事をしていたこともあり、
>小さい頃から、マンガなどが大好きだったそうです

ポン・ジュノ監督
マンガに興味があり、一時期は、アニメーション監督を目指していた。
韓国のアニメーション監督イ・ソンガンssiも、そちらにいらっしゃいますが、
私には、彼のような才能がなく、映画の監督になりました。
マンガやアニメは、今も、私のインスピレーションの源。
映画のコンテは自分で書くのですが、このときは、私も漫画家になった気になれます。

マンガは、国籍を問わず好きですが、日本のものも、もちろん見ていました。
一番古いのは、『バベル2世』
『妖怪人間』は、怖かったです。
日本のマンガは韓国では禁止だったが、海賊版で出回っていて、それを読んでいました。


>監督は、大学の社会学部卒業だそうです。

ポン・ジュノ監督
大学で社会学を勉強した記憶は、あまりなく、
ずっと、映画サークルで映画を作っていました。

映画と社会学を融合させるという、野心は、さらさらありません。
しかし、韓国社会というものには、興味があり、深く知りたいと思っています。
社会的な面を描くということと、映画自体が与える衝撃、その両面を融合させたい。
(↑これが、ポン・ジュノ監督の個性ではないかという話でした)


>大学卒業後に学んだ、韓国映画アカデミー(大学院)について。

ポン・ジュノ監督
ここは、実習中心です。
プロの機材を借りて、1年間、自由に映画を作れます。
このときの実習が、とても役に立った。
もともと、映画の経験のある人が入学するが、
最初の3ヶ月で、プロの機材の使い方をみっちり学び、後は、実際に映画を撮ります。
   
1984年に設立した学校で、私は、1994年に在籍しました。
当時は、演出部しかなく1年制だったが、今では細分化し、
プロデュース科なども設立され、2年制になっています。
 

>日本では、監督に一番必要なのは、シナリオ=演出という印象が強いのですが。

ポン・ジュノ監督
もちろん、シナリオも重要なパートです。
しかし、テクノロジーを貫いていなければ。
それも、監督として必要です。

学生時代は、それぞれが、監督も、照明やカメラなどのスタッフもやりました。
照明機材を担いで、山にも登ったりして、
そのときに、監督以外のスタッフの苦労を知ることができました。
その大変さを知っているということは、今、監督をやる上で、とても大切なことです。

『リング』の貞子は、自分の頭の中のイメージを、そのままビデオに映し出せましたが、
現実の映像作りは、スタッフとの共同作業です。
ですから、彼らの苦労や悩みを知っていることは、重要です。

(以前、ショートフィルムフェスティバルで、20代の女性カメラマンとした話を思い出しました。
 彼女いわく、
 日本の映画クリエーターは、専門的な知識がずば抜けてすごくて、尊敬するけど、
 そのせいか、その前後のことが上手くこなせないのが欠点だと話していました。
 映画の専門教育を推し進めている、韓国映画の強みを感じますね。) 
こちらです↓
hoppenの韓的な日々♪より
「SSFF:アワード・セレモニー(授賞式)」
http://blog.goo.ne.jp/hoppen_2006/e/cadd5026df6a74c58025ea9ec06ed3d1 
 

>監督は、監督デビュー前に、シナリオスタッフとして、
 『モーテルカクタス』『ユリョン』に参加していますね。

ポン・ジュノ監督
当時は結婚もしていたので、生活のために参加し、長編を作るための経験になりました。


>共同脚本について

ポン・ジュノ監督
7月に来日したとき、日本の黒澤監督が脚本を書いたところに行ってみましたよ。
黒澤監督は、何人かの脚本家に書かせて、そこからチョイスすると言う手法だったそうですが、
私は、自分の長編を撮るときは、自分がメインで描きます。
最後の仕上げは、演出をする監督自身でやるのが一番だと思うので。


>脚本を担当した、潜水艦映画『ユリョン』について。
 この映画は、日本に対して攻撃的なセリフがいくつかあり、
 日本での公開は、あまりいい評判ではありませんでしたが。

ポン・ジュノ監督
この映画の場合、最初から、執着心を捨てて脚本を書きました
制作会社が、強い権限を持っていた映画だったので、
脚本も、制作会社の言うとおりに作らなくてはいけなかったからです。
とにかく「どうせ、僕が演出するわけではない」と冷静に書くことにしました。
一生懸命書いたのに、勝手に変更されるとつらいですから。

逆に、自分の演出作を書くときには、感情に浸ってしまい、自分で涙を流すこともあります。

「日本に核攻撃をするのは、まだ早い」という、過激なセリフは、
3人の脚本家は、誰も書いていないセリフでした。
制作会社が、民族主義的な映画にしたかったため、付け足したようです。

「日本に5000年以来の恨みを晴らす」という、チェ・ミンスさんのセリフにも、
完成品を見てから、驚愕しました。
これは、チェ・ミンスさんが、夢で啓示を与えられて出たセリフだったそうです

この映画に参加したことで、商業映画に加えられる「制約」を間近で見れ、
とても経験になりました。
とにかく、プロデューサーの意向が強くて。
いくら早くデビューしたくても、こういう映画の監督はやりたくないと思いました。
ティム・バートン監督『エド・ウッド』という映画の言葉をかみ締めました。
「他人の夢に、自分を費やすな!」(←う、うまいっ)


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***続きは、こちら***
hoppenの韓的な日々♪より
ポン・ジュノ監督、講演会 in東京工芸大学 ②3本の長編映画について(2007.11.05)
http://blog.goo.ne.jp/hoppen_2006/e/50e722a51de542a130e85598604465f9

ポン・ジュノ監督講演会 in東京工芸大学 ③新作『Tokyo!』&今後の話(2007.11.05)
http://blog.goo.ne.jp/hoppen_2006/e/9989a5efa24945afabf38dde71b4df12

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
第1弾お疲れ様! (salleana)
2007-11-06 10:45:39
私も行きたかったのでまるで行ったかのように感じられるhoppenさんのレポートは本当に助かります。

ジュノ監督がウソンのユリョンに関わっていたとは知りませんでした。

第2弾も楽しみにしています!
講演会の追憶 (rabiovsky)
2007-11-06 22:47:26
こんばんわ!
またまたアグレッシブですね~。
だけどポン・ジュノで聴講者はたったの30人くらいというのは寂しいですね。
日本での『グエムル』の伝説的不入りを納得しそうです(笑)
都内に住んでいれば私も行ったかもしれないな~。

韓国の映画アカデミーの実習が中心っていうのはかなり大きいと思います。
多分、日本の大学で映画関係のクラスのあるところでもみんなが映画
を撮るというシステムはないと思います。
それに映画のプロの機材を学生が触れることができるというのは日本
では少ないでしょうし。
学校が撮影所みたいな感じなのでしょうか。

某潜水艦映画は見たことがありますが、ポン・ジュノが脚本に参加して
いるのを知った時は驚きましたが そういう理由があったんですね。
無理矢理作った感のある映画って感じもしましたし・・・。

「他人の夢に、自分を費やすな!」いい言葉ですね~。
Unknown (hoppen)
2007-11-06 23:58:34
>salleanaさん
『モーテルカクタス』も、ウソンが出ていますよね。
縁があるな~。
続きも、お楽しみください。

>rabiovskyさん
さすが、「はずしの天才」らしい、不入り振りでした。
この大学の学生たち、もっと来ればいいのに!と怒りたくなるくらいでした。
でも、ご本人は、人数など関係なく、たっぷりと語ってくれたんですよ。
この講演会だけのために、来日したようなんですが。
いったいどういう縁があって、講演会をしたのかは、
よく、わかりません。

司会を担当した、この大学の教授も言ってましたが、
プロの機材を学生が触れることができるというのは、
日本の大学では、ないことのようですね。
失礼ですが、
日本の映画は、韓国映画に比べると、映像がアマチュアくさく感じるんです。
機材の慣れもあるのかな~、と思ってしまいました。

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