河童アオミドロの断捨離世界図鑑

河童アオミドロの格安貧困魂救済ブログ。

メープルシュガーとシナモンティー(第3回)

2008年01月24日 | 試作品
私の父は奈良のほうで半導体工場のメンテナンスをやっていた。
一度父の職場に行ったら、みんな白い服をすっぽりかぶっていたのでどれが父かわからなかったっけ。でも一人だけマスクの奥の目が笑っていた。

その時、父が顕微鏡で半導体ってやつを見せてくれたけれど
「銀河鉄道から見たどこかの街の景色みたいだろ」と言ってたのを覚えている。
たしかに機械だけでできている惑星はこんな風だろうな。

その父が言っていた
「月に一度機械をすべて分解してまた組み立てるのだけど、いつも1個だけネジが余ってしまうんだよ。不思議だよ」

今の私はそのネジだと思った。その中に包まれている時には気づかないけれど、後からでは二度と戻れない、時や、場所が、あるのだと。確かにその場所に居たはずなのに、決して戻ることはできず、でも、そのネジが1個なくてもすべて何でもないんだと。

そう思ったら少し涙が出た。でも大丈夫。
昔から「かえでの涙は甘い」と言われていたんだ。
私はメープルシュガーなんだから、決して人生を苦くしょっぱくはしない。


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