冬来たりなばサナギ：その２

繭の中は暖かい。雲の中から見る光のように白く拡散されてやわらかく包む。まるで熱を出して寝ている子供のように、車の音も、しゃべり声も遠くに聞こえて、現実との距離がどんどん開いていくように感じる。
夢の中で僕はスズカケの並木道を歩いていた。MP3で堀込高樹の「冬来たりなば」を聞きながら冬の低い太陽に目を細める。
スズカケの実はキンタマに似ている。
３日間サナギで寝たら、起きた頃には春一番の吹く頃だろうか。