忘備録の泉

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労働協約(4)

2017-06-15 08:57:51 | Library
組合活動についての労働協約
労働組合活動等についても、労使合意さえ出来れば、あらゆることが協約の対象となる。
組合事務所の貸与や掲示板の貸与など便宜供与に関する労働協約、団体交渉のルールに関する労働協約などがこれに当たる。
いくつかの、留意すべき労働協約について取り上げる。
労働組合員の範囲に関する協約
課長・部長などのいわゆる「管理職」や、パートタイマーなどの非正規社員には組合員資格を与えないとする、労働協約を締結している労働組合は数多い。
このような組合では、課長などに昇格すると自動的に組合から脱退する。
このため、組合員の多くを課長などに昇格させることで、組合の力を弱めるといった労務政策をとっている会社も見られる。
管理職とされることで残業代がつかなくなり、収入が減少するという苦情も多い。
しかし、誰に組合員資格を与えるかは、本来、労働組合が自由に決めるべきである。
すでに締結している場合でも、管理職やパートタイマーに組合員資格を与え、組合の組織を拡大することも可能である。
ただし、そのためには、組合活動が魅力的なものでなければならない。

ユニオンショップ協定
労組法第7条1項但書
「…ただし、労働組合が特定の工場事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合において、その労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することを妨げるものではない。」
この但書部分を協定化したものが、ユニオンショップ協定である。
ユニオンショップ協定では、使用者に、組合員でなくなった者を解雇することを義務づけるのが一般的だ。
この協定は、すべての従業員を労働組合員とすることで、労働組合の団結力を強める意味がある。

ただし、ユニオンショップ協定を結んでいる労働組合から脱退した人が、新たに他の労働組合を結成したり、企業外の個人加盟組合に加入した場合には、ユニオンショップ協定に基づく解雇はできない。
個々の労働者には組合選択の自由があるからである。
また、ユニオンショップ協定に基づく解雇は、その具体的な事情により無効とされることがある。
具体的には、組合がある組合員を除名したのを受けて、使用者が解雇した事案で、除名自体が無効であるとして、ユニオンショップ協定に基づく解雇を無効とした。
(「日本食塩製造事件」最二小判昭50.4.25)

(つづく)

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