カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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冬型続く  寒気流入は波状的でその外縁に注意!

2010-12-16 09:41:23 | インポート

①12月16日6時の天気図 気象庁HPより引用

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②12月16日6時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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日本付近では、昨日15日から冬型気圧配置がしっかりとして、12月16日8時までの24時間に、山形県の一部では40cmもの雪が新たに積もりました。他、北海道~北陸までの各地で、軒並み20cm以上の降雪を観測しています。

冬型気圧配置時には、日本海に広がる、冬型気圧配置時に発生する筋状の雲の動向(大陸から雲の発生地点までの離岸距離や当該筋状雲の走向など)に注目することは基本ですが、

さらに、

Ⅰ:筋状雲が互いに合流していたり、筋状雲が帯状雲になっていたり、当該帯状雲の中に小さな渦巻きがある・・・・・当該地域では雲の活動が活発で、局地的に強い降雪(降水)をもたらし、雷や突風、竜巻などを伴います。小さな渦巻きになった地域では、その傾向が一層顕著となります。

Ⅱ:冬型気圧配置に伴う筋状雲を交差するように、帯状雲が現れている・・・・・当該地域では、上空寒気の外縁にあたり、500hpa(上空5500m付近)の大きな正渦度移流域に伴う、上空3000メートル付近の上昇流域に対応する・・・・・雲が発達しやすい場。新たな寒気流入の外縁部にあたり、これまた、局地的に強い降雪(降水)をもたらし、雷や突風、竜巻などを伴います。

の特性がありますが、意外とⅡは知られていないようですね。

水蒸気画像上では、上空3000m付近の上昇流域は、帯状に白輝域として表現されるもので、引用図②の場合、本州の南半分に広がっている様子が判りますが、当該地域では、地表付近の気流がどこで収束しているかに注意しましょう。地表付近の気流の収束箇所に対応して、雲の活動は発達し、前記した、強い降雪(降水)や雷、突風、竜巻などのシビアーな現象が発生します。

そして、その後、新たに上空には寒気が流入してくると言うパターンとなるでしょう。


低気圧が西から本州へ接近 雲画像で低気圧や前線の動向を!

2010-12-13 09:34:09 | インポート

①12月13日6時の天気図 気象庁HPより引用

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②12月13日6時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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北日本中心に冬型気圧配置が続いていましたが、13日6時現在、低気圧が東シナ海に進んできて東よりに進んでおり、この低気圧の中心から延びる前線が、九州南部を通り、四国の南海上へとかかっています。

引用図②より、13日6時の水蒸気雲画像では、東西に延びる白輝域 AとBが見られます。Aは、引用図①での、東シナ海にある低気圧やその中心から延びる前線に対応した湿域や中層での上昇流域に対応するもので、Bは、500hpa正渦度の進行方向前側の上空3000m付近の上昇流域を表現しています。

Aをよく見ると、低気圧の中心より東側の広範囲に白輝域が広がっており、低気圧の中心付近よりも、離れた東日本や本州の南東海上まで、白輝域が広範囲に広がっていますね。

低気圧の進行方向前側で水蒸気画像の白輝域が広範囲に分布していることは、低気圧の進行方向前側中心にして、南海上から暖湿流が入り込んでいることを示すものであり、

今後、

Ⅰ:低気圧の進行方向前側で前線がさらに延びてきやすく、進行方向前側にあたる地域では、早めに天気が崩れやすくなる。

Ⅱ:低気圧の進行方向前側に延びる前線上に、さらに別の低気圧が発生することが多い。

以上2つの特性があると言えますね。

このように、気象現象のレントゲン写真である雲画像図を活用して、天気図(地上天気図)上の低気圧や前線の動向を見極めましょう!


発達した低気圧が北日本へ 地上天気図ばかりでは危険箇所は判りません。!

2010-12-11 10:52:06 | インポート

①12月11日6時の天気図 気象庁HPより引用

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②12月11日6時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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12月11日は、発達中の低気圧が日本海から北日本へと進む予想です。

このため、11日9時現在 北海道の奥尻島や秋田県沿岸、山形県の庄内地方には暴風警報が発表されています。これからの、北日本や北陸地方での天候の荒れ具合が懸念されるところですよね。

でも、このような場合、地上天気図ばかりを見ていてはNG!必ず、気象現象のレントゲン写真とも言える、雲画像図も必ず検討するようにしましょう。

まず、引用図①②を比較してみましょう。

引用図①より、11日6時現在、日本海北部に発達中の低気圧がありますが、この低気圧から延びる寒冷前線が日本海中部~中国地方西部~九州北部へと延びています。

次に、引用図②のaに注目です。この地域では水蒸気画像上で顕著な白輝域(中層以下で上昇流が顕著な地域)となっていますが、これは、大陸からの寒気が、前面にある暖気を押し上げている箇所であり、強い降水や雷、突風、竜巻などの激しい現象が発生する危険性が高い地域でもあります。

引用図②のaと引用図①の寒冷前線の位置とを比較すると、寒冷前線の位置よりaの位置がス南東~南側にずれています。地上天気図(引用図①)での前線は、地表付近の風向・風速や気温の不連続部分に引かれるものの、実際に、強い降水や雷、突風、竜巻などの激しい現象をもたらす恐れのある地域とは厳密にはリンクしないことも多いものです。

さらに、今後は、引用図②のbにも注目です。bも、中層以下で上昇流が顕著な地域であり、大陸からの寒気が、前面にある暖気を押し上げている箇所であり、強い降水や雷、突風、竜巻などの激しい現象が発生する危険性が高い地域でありますが、地上天気図上では等圧線の湾曲部分(低圧部)とだけしか表現されていません。このbは、500hpaの正渦度域の進行方向前側の上空3000m付近の顕著な上昇流域に対応する箇所であります。

このように、単に地上天気図上では、激しい現象を引き起こす懸念のある地域を見極めることは不可能ですね、必ず、雲画像図と対比させることが肝要です。


北日本中心に強い冬型続く 全線開業の東北新幹線にも試練の強風!

2010-12-04 23:45:34 | インポート

①12月4日12時の天気図 気象庁HPより引用

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②12月4日9時気象庁発表AXFE578図 日本気象予報士会HPより引用・加工

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12月4日は、発達した低気圧がオホーツク海へ進んで、北日本中心に強い冬型気圧配置が続きました。

このため、北日本の各地では、北西~西よりの暴風が吹き荒れて、北海道のえりも岬では最大瞬間風速40・4m(10分間の最大風速32・4m) 山形県の飛島で最大瞬間風速34・6m(10分間の最大風速26・7m) 八戸で最大瞬間風速35・6m(10分間の最大風速23・5m)を観測したほか、北海道や東北地方、新潟県の所処で最大瞬間風速で30m以上、10分間の最大風速で20m以上の暴風を観測しました。

また、12月4日は、東北新幹線が計画決定以来38年経って、東京から新青森まで全線で開業開始となりましたが、4日11時過ぎに、沿線の郡山~福島間で、運行中止規制基準となる、週間風速30mを超えたため、一時、東京~盛岡間がおよそ3時間ほど運転中止となってしまいました。

全線開業の東北新幹線ですが、まさに、今日4日は、試練の強風となってしまいましたね。

この、東北新幹線を止めた強風ですが、冬型が西から緩み始めた時に発生する、奥羽山地を越える気流が、山越えのおろし風となって吹き荒れたためと考えられます。

引用図②をご覧いただきましょう。

引用図②の上側図より、4日9時現在、福島県から宮城県付近に、500hpa(上空5500m付近)の渦度0線が走っており、この渦度0線の周辺では、等渦度線が非常に混んでおり、等高度線と平行に走っています。このことは、この地域で、等高度線に沿って風速が大変強まっている(4日の事例ですと西より風となりますが)ことを示しているものです。

次に、引用図②の下側図より、福島県から宮城県付近で、上空1500m付近の下降流が指数109と、下降流が相当強まっています。この地域は、前記したように、この上側の500hpaで、渦度0線が走り、等渦度線が非常に混んでおり、等高度線と平行に走っています。すなわち、風が相当強まっている地域と言うことになりますね。

Ⅰ:500hpa(上空5500m付近)で渦度0線が走っており、渦度0線の周辺では、等渦度線が非常に混んでおり、等高度線と平行に走っている。 + Ⅱ:当該Ⅰの地域の上空1500m付近での下降流が顕著となる

となっている地域は、山越えのおろし風が強まっている証拠なのです。

4日は、福島県北部から宮城県南部地域で特に、件の 山越えおろし風が強まった模様で、宮城県白石で最大瞬間風速33・8m(10分間最大風速19・4m) 同じく宮城県の丸森で最大瞬間風速32・8m(10分間最大風速で20・4m)と、大人でも吹き飛ばされるほどの非常に強い風(西風)を観測しています。


低気圧が発達しながら日本海を北東へ 関東では帯状に強雨域広がる

2010-12-03 10:17:44 | インポート

①12月3日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②12月3日6時の関東周辺アメダス風向風速分布図 気象庁HPより引用

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③12月3日6時の関東周辺アメダス気温分布図 気象庁HPより引用

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④12月3日9時の 関東・中部地方周辺の24時間雨量図 東京管区気象台HPより引用

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昨日、九州や四国の各地に大雨を降らせた低気圧ですが、12月3日6時現在 日本海中部にあって、発達しながら北東に進んでおり、低気圧の中心から延びる前線が東海地方を通過しています。(引用図①)

低気圧や前線の接近にあたり、関東地方では、独特の気象特性が現れました。

まず、引用図②より、風ですが、3日6時現在、関東地方沿岸部では風向は南~南東で、風速は所処で10m以上と強まっていますが、内陸部(東京都内ではおおむね23区西部より西側になりますが)では、おおむね風向は疎らで風速は5m以下と弱目となっています。丁度、神奈川県中部~東京23区西部~埼玉県南東部に、風向の明瞭な不連続部分(シアーライン)が見られます。

さらに、引用図③より、気温ですが、3日6時現在、前記した、神奈川県中部~東京23区西部~埼玉県南東部のシアーラインを境にして、内陸側ではおおむね12℃以下となっているのに対し、当該シアーラインを挟んで海側に当たる地域では、おおむね15℃以上、千葉県の勝浦では20℃を超えています。

引用図④より、この風向や気温差が明瞭なシアーライン周辺で特に雨量が帯状にまとまっている様子が判りますね。

ちなみに、3日9時のまでに24時間に、神奈川県海老名で142・5㎜ 平塚で117㎜ 東京世田谷で101・5㎜の降水量を観測しています。

今回の関東地方の帯状に広がる強雨ですが、本ブログで何度も紹介した 件の 沿岸前線のよるもので、前記した、関東の風向や気温差が明瞭なシアーラインこそ、沿岸前線の存在の他ならないものです。

地上天気図上で、本州付近で南~南東風が広範囲で吹くことが予想される場合でも、関東地方の内陸部では、ちょっと待った!と言う所ですね。南~南東風が関東東海上の海流の影響で、関東東海上からは、南東~東より風と風向が変化し、さらに、関東地方内陸部では、北東~北よりへと風向が変化しやすくなります。さらに、夜間から早朝にかけては、関東内陸部では、北部や西部の山地から、相対的に冷涼な、陸風も入りますから、沿岸部と内陸部との間に、局地的な 沿岸前線 が 頻繁に発生します。

ただ、この沿岸前線、関東地方の地形的特性で、沿岸前線がどんなに風向・気温差の明瞭な不連続が見られても、神奈川県中部~東京23区西部および多摩東部~埼玉県南東部 の地域より内陸部に入り込むことはありません。