カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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本州南岸沿い地域で 所々激しい雨 大雨区域は時として前線の走向通りにはならず

2008-09-21 18:25:22 | インポート

①9月21日15時の天気図 気象庁HPより引用

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②9月21日15時の日本付近レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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③9月21日9時のAXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

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④9月22日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

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9月21日は、本州付近上空に寒気が入り、南海上からは暖湿流が大量に流れ込んで、本北中部地方や西日本の各地を中心に大気が不安定となり、所々で雷を伴なった激しい雨が降り、一部で浸水被害も発生しています。

引用図①と②と見比べてみると、天気図(地上天気図)上の前線の位置と、強い雨の区域は一致していません。引用図②より、強い雨の区域は南西~北東方向へ幾重にも帯状に分布しています。

引用図①の天気図上の前線の位置から杓子定規に考えると、前線に沿って、ほぼ東西方向へ分布しているように思われますけどね。

でも、これは、引用図①での前線の位置は、おそらく、地表付近の風向のコントラストの大きい箇所だけをたどって描かれたいると思われますね。強い雨の位置と一致しないことはこのためと思われます。21日9時の天気図には前線は描かれてなかったですからね。

このように、地上天気図上の前線の位置に固執することはナンセンス。雲の活動が活発化して強い雨を降らせるようになることは、当該雲周辺の鉛直方向の気流の動向によって左右されるものですね。

引用図③より、21日9時現在、日本海西部から朝鮮半島の南にかけて上空5500m付近の気圧の谷の移動に伴う正渦度移流流域となっており、関東以西上空3000m付近で、南西~北東方向へ上昇流域が分布しており、当該上昇流域に対応して、強い雨雲の区域が中部地方や西日本には南西~北東方向へ帯状に幾重にも現れています。

強い雨雲の区域がこのように帯状に幾重にも現れるのは、当該強い雨雲の現れている方向に、暖湿流が大量に流れ込んでいる証拠です。引用図にはありませんが、21日9時現在、関東より西の各地では、地表付近から上空5500m付近まで湿数が3以下と湿っており、地表と上空5500m付近の気温差は、おおむね23以上と、下層が高くて湿っていて、中層(上空5500m付近)との気温差が大きくなっており、大気が非常に不安定である様子がわかります。

問題の、21日9時現在日本海西部から朝鮮半島の南の上空5500m付近にある気圧の谷は、引用図にはありませんが、各種予想図より、あす22日朝には本州の東海上へ達しそうですが、その一部が本州の南海上上空にかかったままとなりそうです。(今回のように、北東~南西方向へ上空の気圧の谷が分布する形であると、当該気圧の谷はすんなり本州上空から遠ざからないものです。)

これから、強い雨の区域は東へ移動し、関東地方でも雨脚が強まるでしょう。そして、関東では、明日22日明け方まで雨脚が強まり、天気の回復は遅れて、22日昼過ぎまで雨が残りそうですね。

関東以西の各地では、大雨災害にご用心ください!