カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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10日朝方 沿岸前線発生地域の四国や紀伊半島で猛烈な雨

2008-04-10 23:53:13 | インポート

①4月10日6時の天気図 気象庁HPより引用

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②4月10日6時の近畿四国周辺アメダス気温分布図 気象庁HPより引用

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③4月10日6時の近畿四国周辺アメダス風向風速分布図 気象庁HPより引用

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4月10日は、朝方、四国や紀伊半島南部で、一時猛烈な雨を観測しました。

徳島県日和佐町では、10日6時までの1時間に90㎜、そのほか、レーダーアメダス解析雨量観測では、徳島県や和歌山県の一部では、10日朝、一時間に120㎜相当の降水量があったと推定されるような、まさに、バケツをひっくり返したようなすさまじい雨を観測しています。

これは、私たちが新聞やテレビなどでお目にかかる天気図のスケール(これを総観場とよんでおります。)で説明すると、引用図①より、低気圧に伴う前線に向かって、南から暖かく湿った気流が流れ込み、上空には寒気も流れ込んで大気が不安定となり、局地的に雨雲が非常に発達したと説明されます。確かにそうですが、これより、一回り小さなスケールまで言及すると、前記した、局地的に雨雲が発達した箇所は何かと言えば、本ブログで再三説明している、沿岸前線が四国沿岸から紀伊半島沿岸に発生し、この沿岸前線の周辺で局地的に雨雲が非常に発達したと言うわけですね。

引用図③より、近畿地方から四国地方陸部では、10日6時現在、風向きは疎らで、引用図②より、気温はおおむね13℃から14℃程度となっていますが、四国沖から和歌山県南部では南東風となっており、南海上より南東風となって暖かい空気を運んできたのでしょうか、気温はおおむね15℃以上、一部で17℃以上と高めになっています。風向も、四国沿岸から紀伊半島南部沿岸でコントラストが大きくなっており、沿岸前線が発生していることがわかります。

この沿岸前線が発生している地域に入っている、徳島県日和佐町(徳島県の南東部の太平洋沿岸にあります。)で、引用図の時刻に、1時間90㎜の猛烈な雨を観測したわけです。

私自身、本ブログで、大雨の解説をする際に、繰り返し、この 沿岸前線の事を取り上げていますが、内陸部に滞留する冷気と、海上からの暖気がどのあたりで衝突して、件の 沿岸前線が発生するか見極めることは、防災上 大変重要な事であると確信しています。