カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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南西諸島では大雨と強い風 前線は線ではなく帯として捉えましょう。

2006-12-21 18:50:14 | インポート

06122115 引用図は12月21日15時の天気図です。気象庁HPより引用です。

今日12月21日は、本州南海上から南西諸島近海に停滞する前線の活動が、南西諸島近海で活発になりました。

このため、南西諸島では、昨日20日夜より雨脚が強まり、降り始めてからの降水量が100ミリを越えた箇所が続出しています。

また、南西諸島周辺では、等圧線の幅も混み、北東から北よりの風がだいぶ強まり、沖縄本島の名護市で、21日16時23分に、最大瞬間風速26・3メートルの台風並みの突風を観測しています。

21日18時現在、久米島と、宮古島地方、石垣島地方、与那国島地方には波浪警報が出されています。

冬型気圧配置が強まるときには、南西諸島では大陸から張り出す高気圧の南縁にはいることも多く、北東から北よりの風が強まることはよくあることですが、今回の、南西諸島の大雨と強風についてですが、上空の実況天気図を見ると、西から気圧の谷が接近してきため、南西諸島の南海上からは大雨の基となる、暖かく湿った気流が南西諸島近海に停滞する前線に向かって流れ込み、前線の北の東シナ海方面からが、逆に北から寒気がどっと流れ込んできたため、当該前線の活動も活発となって大雨が降りましたし、南西諸島周辺では、暖気移流と寒気移流が双方とも顕著になったことが、天気図上の等圧線の幅が混んだことに繫がって、大変強い風も吹いたと言うわけです。

21日9時のAXFE578図より、南西諸島周辺にての、前記した暖気と寒気の激しいぶつかり合いの様子をご覧いただきましょう。(引用図は日本気象予報士会HPより引用 )

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気象の世界で、暖気と寒気が激しくぶつかり合う状態 となれば、今回のように 決まって、大雨や強風と言ったシビアー気象現象を引き起こす と見て間違いないですし、低気圧の発生や、すでに低気圧が発生していれば、その低気圧は急激に発達するものです。

また、前線を挟んで暖気と寒気が激しくぶつかり合っている状態であれば、その前線に伴う降水域は、前線を挟んで幾重にも帯状に連なる分布をする(寒気側のほうが帯状の高水域が幾重にも連なるようになります。)ようになります。

前線と言うものは、ひとつの線としてではなく、前線帯と言うある一定の幅を持った帯状のものとして捉える必要がありますね。その様子を、21日15時の日本付近レーダーアメダス解析雨量図をご覧頂いて、確かめてください。

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