ブギーナイツの館 - 青春の蹉跌から超暇人への道までを記すブログ

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今日の1冊 「春に散る」上下巻 沢木耕太郎 著

2017-01-27 00:01:08 | 今日の1冊
本願寺月光蟲です。

沢木さんの小説。
この小説は実は単行本になるのを楽しみにしてて。
新聞で連載してたんですが、かなり評判が良く。
しかも気になった理由の一つに老婆?ていうか年寄りの女性が支持しまくりで。
婆さん達の支持が凄い反面、ボクシング業界がネタになってるとも知り。
ボクシング?老婆が支持?
沢木耕太郎さんの本は小説よりノンフィクション派の私だがやはり気になりすぎ。
ボクシングが舞台の小説なのに何故老婆に人気があるのか?
人気作家さんだからもちろん普通に男のファンも多い。
が、何故今回ボクシングなのに老婆?
ずっと気になってたんだよ、、。
まとめて読みたい派だからずっと単行本になるのを待ってた。
読んだら流石の筆力。



上下巻合わせて大体900ページくらい。
ラストの数行は見事な文章。

ネタバレしないあらすじなんたが。

うだつの上がらなかったボクサーの主人公は試合に負け、傷心したまま単身アメリカへ渡り、アメリカでもボクシングはすぐ負け、なんとそのまま40年も日本に帰ってこなかった。
66歳になった主人公は【なんとなく】日本に帰ってみようかと思い帰国。
昔一緒に汗を流した仲間に40年の時を経て【なんとなく】会いに行く。
街の景色で変わるもの変わらないもの、主人公も昔の知り合いも様々な人生模様。
そんな時若い奴が現れる。
若い奴に教えれることはあるのか?
いや、教えるような事はエゴじゃないのか?
と葛藤しながらも自分の最後の仕事として若い奴に様々な事を教えていく



てな感じ。
40年ぶりに知り合いに会いに行く、てのは凄い。
様々な人間模様。
「みんな色々ある」と言うのは簡単だが、年齢が上がるに連れてその響きが重くなる。
うん。
小説内、若い奴に何かを教える、みたいな描写は実は自分が生きた証みたいなモノを残したいという気持ちや自分が叶わなかった夢、若い奴に押し付けてないか?とか葛藤するも若い奴はどんどん吸収していく。

この小説が老婆に人気がある理由がなんとなくわかったのは、年齢関係なく男同士は多かれ少なかれそんな気持ちはあるわけで。
女の人は現実的で上書き保存を要領良くこなす。
男の人とそこが違う。
男は現実よりも美学や破滅を好んだりする。
だから追い込まれると弱い。

わからないんだが、老婆がこのような小説を支持した理由はガキにあるんではないか?と。
自分の過去から学び時には厳しく、時には甘やかし、自分が正しいのか?間違ってるのか?時には自分の過去を思い出し、自問自答する相手は自分のガキだけだからはないからだろうか?

男同士は年齢関係なく中学生くらいから年下に似たような事をやってきたりしているが、ガキを産んだ女の子はやはり自分のガキにだけはそんな感じで接しているのかも知れない。
だから老婆の支持が高くなったんではないかなあ?と。

一見ボクシング小説に見えるが中身はまるで違う。
さすが沢木さん、と言ったところ。



ラストの筆力はほんとさすが。
確かに女性に勧めたくなるんだが、やはりもっと年とってからにしようかな、と考えた(笑)

オススメです。
沢木さん、ほんとさすが。







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