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フロッピーディスクは絶滅しない? いまも世界中で現役という驚きの事実   「WIRED」さんの記事

2024-06-13 10:37:11 | 美しい日本を (~web読み日記)
フロッピーディスクは絶滅しない? いまも世界中で現役という驚きの事実
かつてコンピューターの記憶媒体として広く使われていたフロッピーディスク。実はいまも旧式の航空機や産業機械、刺しゅう機器などに使われているが、ディスクの供給は確実に先細っている。
Floppy disk balancing on one corner against a purple background
Javier Zayas Photography/Getty Images

ミシシッピ州で2023年2月に開催されたロデオ大会の会場で、マーク・ニケイズは手持ちのフロッピーディスク(FD)がついに最後の4枚になってしまったことに不安を覚え始めた。

ニケイズの仕事は、州内の各地で開かれるホースショーに足を運び、特注の刺しゅうを施したジャケットやベストを売り込むことだ。「優勝者全員に贈られるジャケットに、所属するファームや馬の名前など、どんな刺しゅうでもお入れしています」と、彼は言う。

ニケイズは5年前に18,000ドル(約246万円)で中古の刺しゅう用ミシンを購入した。日本の刺しゅう機器専門メーカーであるタジマ工業が2004年に製造したミシンだ。コンピューターで作成した図案をこのミシンに転送する手段は、FDを介する以外になかったという。

「最初に8枚あったディスクのうち4枚が故障し、ひどく不安になりました」と彼は言う。「再フォーマットして正しく作動させようとしましたが、うまくいきませんでした。刺しゅうビジネスを続けられなくなるのではないかと心配でたまらなかったのです」

ニケイズの所有するタジマのミシンが製造された時期は、FDがまだ大量生産されていた時代である。日本では特にFDが広く普及しており、22年まで行政上の事務作業にも使われていたほどだ。
フロッピーディスクの思い出:ソニー生産終了へ
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By WIRED STAFF

最後の1社となった大手メーカーは、11年にFDの生産を終了している。それでも刺しゅう用ミシンをはじめ、プラスチック成型機や医療機器、航空機に至るまで数多くの機械類が、先細りの末にいつの日か尽きるはずのディスクの供給を頼りに働き続けている。

作家で映画監督のフロリアン・クラマーは、ハリウッドのデジタル著作権侵害撲滅運動に関するコメントとして、「個人的にはフロッピーディスクは消えてなくなるべきだと思います」と発言している。クラマーは09年に同年のアカデミー賞ノミネート作品すべてをGIF動画に短くまとめ、2枚のフロッピーディスクに収めたアート作品を作成した人物だ。「客観的に見て、フロッピーディスクは環境に害を与える記録媒体です。しょせんはプラスチックごみなのですから。もはや存在さえ許してはいけないと思います」
旧式のジェット機にも欠かせないFD

いまだにFDを使っている企業の大半は、利幅の小さい事業を営み、時間的にも資金的にも機材を一新する余裕などない小規模な会社ばかりだ。

ジョージアの首都トビリシを拠点とする貨物航空会社Geoskyの保守担当マネージャーを務めるダヴィット・ニアザシュヴィリも、いまだにFDを使用している。Geoskyが所有する2機のボーイング747-200型機は、もともと英国航空(ブリティッシュ・エアウェイズ)が1987年に購入した航空機を譲り受けたものだが、製造から36年が経つこの中古機に重要な更新作業を施す際に、FDが必要なのだ。

「更新データがリリースされるたびに、3.5インチのフロッピーディスクにダウンロードしなければなりません。FDドライブ内蔵のコンピューターはもうどこにもないので、外付けのドライブを探さなければなりませんでした」と、ニアザシュヴィリは言う。「データの取り込みが終わったら、ディスクを機内に持ち込んでフライト管理システムを更新します。その作業には1時間ほどかかります」

更新内容には滑走路や航路標識の変更といった極めて重要なデータが含まれる。更新頻度は世界共通の日程で28日ごとと定められており、すでに29年まで日付が確定している。

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「昨今はフロッピーディスクの確保が非常に難しくなっています。実はAmazonで購入しているのです」と、ニアザシュヴィリは明かす。「とても繊細で不具合を起こしやすいので、1枚を3回くらい使えればいいほうで、その後は廃棄することになります。そうするしかないのです。しかし、そのこと自体は問題ではありません。ディスクが入手できるうちは、まだ安心していられるのですから」

いまだ稼働中のボーイング747-200型機は世界全体で20機に満たず、その用途は貨物機か軍用機に限られている。米空軍が所有する6機のうち2機は大統領専用機のエアフォース・ワンとして運用されている。その6機にもまだFDが使用されているかどうかは不明だが、米軍が3.5インチ(幅90mm)のタイプよりさらに旧式の8インチ(幅200mm)のFDを核兵器の武器庫内で19年まで使用していたことは事実だ。
...

1980年代まで使われていた5インチ(正式には5.25インチ=幅130mm)のフロッピーディスク。3.5インチ(幅90mm)とは異なり硬いケースには覆われておらず、中央に磁気ディスクがむき出しになっていた。これよりさらに大きい8インチ(幅200mm)のディスクもある一方で、「クイックディスク」など小型のディスク規格も存在していた。 Photograph: Science & Society Picture Library/Getty Images

ボーイング747と767シリーズの新型機、エアバスA320の旧型機、90年代まで製造されていたガルフストリームの一部のビジネスジェットなど、民間航空機のなかにもFDを使用する機種がいくつか存在する。データ転送手段をFDからUSBスティックやSDカード、あるいはワイヤレス送信へと変更することは可能だが、1機につき数千ドルのコストが必要になる。しかも旧式とはいえ問題なく機能しているものに、わざわざ変更を加えることになってしまう。

「技術の進化によって生まれた奇妙な袋小路で身動きがとれなくなる現象は、ほかにもいくつか起きています。航空業界で何より重んじられるべきは信頼性だからです」と、カリフォルニア州を拠点とする航空機整備の専門会社ACI Jetのブライアン・フォードは語る。「PCカードやZIPディスクといった記憶媒体もいまだに使われていますが、これらも徐々に入手しづらくなっています。航空機は設計サイクルがかなり長いので、ほかの一般的な電子機器に大きく後れをとっている印象を与えがちですが、その差は縮まりつつあります」
注目されるFDドライブのエミュレーター

ロデオ大会で不安を覚えたことをきっかけに、ニケイズはついに設備の更新を決意した。といっても、ミシンを丸ごと新品に交換したわけではない。USB接続のFDドライブ・エミュレーターを導入したのだ。1台275ドル(約37,000円)ほどのこの装置は、シンプルなUSBポートでFDドライブを代用する仕組みだが、製造はカスタムメイドの受注生産に限られ、扱う企業はごくわずかである。

「わたしたちの主な販売先は、刺しゅう用ミシンや、金属や木材の切断に使われるCNC切断機を扱う企業です」と、テキサス州を拠点とするエミュレーター販売企業であるPLR Electronicsのジョシュア・パスカルは言う。

PLR製のエミュレーターは、数種類の基本モデルで600種近い機械類に対応できるという。使用可能な機械には、数十種類に及ぶ刺しゅう用ミシンやCNC切断機のほか、織機、舞台照明操作盤、回路基板プリンター、オシロスコープ、デジタルプリンター、心電計、ベクトル信号分析器、射出成型機、チューブやパイプ用の曲げ加工機、ダイシングソー、ワイヤー切断機、プラズマ切断機、金属プレス機、サンプリング音源再生装置、ピアノやキーボード等の楽器、ソニー、パナソニック、NECといったメーカーのコンピューター用FDドライブなどが含まれる。
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こうした機械の大半は価格が数千ドルもするうえに、ものによってはさほど古びていないので、持ち主はできるだけ長く使いたいと思うだろう。「USBが優勢の時代になっても、こうした機械の多くはUSB接続に変更されていませんでした」と、パスカルは言う。
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「FDドライブはしぶとく存在し続けています。刺しゅう用ミシンはその最たる例です」と、パスカルは続ける。「結果的にこうした機械の持ち主たちに設備更新を促すという大きなビジネスチャンスが、市場に残されたのです」

客がPLRに依頼して設備を改善しようとする理由は、FDが買えなくなったことだけではない。交換用のディスクドライブも入手できなくなっているのだ。

「エミュレーターの販売を始めた12年前でさえ、FDドライブはかなり入手困難になっていました。いまの状況はまったく予想外です」と、パスカルは言う。売り上げは徐々に減っているものの、エミュレーターはいまでも年間2,000~3,000台も売れているという。
この世から消えることはない?

フロッピーディスクが、この世から消えることはないのかもしれない。「1910年につくられた蓄音機を探し出しては修理やメンテナンスに精を出す人たちがいることを考えると、フロッピーディスクが完全に姿を消してしまうとはどうしても思えないのです」と、コロラド大学ボルダー校の教授でメディア考古学研究所(MAL)の設立者でもあるロリ・エマーソンは言う。

FDを頼りに稼働している産業機械の耐用年数は30~40年だが、その多くはまだ20年ほどしか使われていないと、さまざまなフォーマットのFDの調達と販売に特化したウェブサイトFloppydisk.comを運営するトム・パースキーは語る。

パースキーはカリフォルニア州の倉庫に数十万枚のFDを保管しており、そこから1日に約1,000枚を売り上げる。大半が3.5インチ型で、新品も多いという。20~25年前には1枚わずか0.07ドル(約10円)のFDを箱買いしていたと語るパースキーだが、いま彼が販売しているFDの価格は最も一般的な3.5インチ型でも1枚1ドル(約137円)だという。

供給が滞れば当然の結果として価格は上昇するが、この状況がさらに進めば供給そのものが大きく制限されるだろう。そうなると、経済的な理由から設備の改善や交換を余儀なくされる人が増え、結果的に市場が自壊することになる。

こうしたなか、“絶滅寸前”のFDが少なくとも1種類はありそうだ。IBMが1971年に販売を開始した旧式の8インチFDである。「もういくらも残っていません。在庫を10枚1組にして、1枚当たり5ドル(約685円)で売っている状況です」と、パースキーは言う。ただし、3.5インチFDに関しては、世の中にあと何枚残っているのかまったくわからないという。

「10~30年前に製造されたディスクの在庫が世界中に存在するはずです」と、パースキーは言う。「在庫の数はもう決して変わりません。わたしたちはそれを毎日ひたすら消費しています。どれだけ大量に残っているのか見当もつきません。おそらく驚くほど膨大な数のディスクが存在するはずですが、残念なことにそれらは分散しています。ひとりで50万枚のディスクを所有する人はいませんが、10枚入りのボックスをもっている人が50万人いてもおかしくはありませんよね」

パースキーは、シンギュラリティが起きる日まで待つつもりはない。現在73歳の彼は、仕事を続けるとしてもせいぜいあと5年だろうと語る。それに自分の会社を継ごうとする“大ばか者”がいるとも思っていない。「空港まであと数十キロメートルの地点で飛行機の燃料が尽きたとしても、乗ってしまったからには着陸させることが自分の務めだと思っています」と、彼は言う。
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By Will Knight

(WIRED US/Translation by Mitsuko Saeki/Edit by Daisuke Takimoto)

※『WIRED』によるコンピューターの関連記事はこちら。

フロッピーディスクは今なお現役--発展の歴史と現在の用途 2024-06-04 07:30    「ZDNET」さんの記事

2024-06-13 10:18:22 | 美しい日本を (~web読み日記)
 海外コメンタリー
フロッピーディスクは今なお現役--発展の歴史と現在の用途

Steven J. Vaughan-Nichols (ZDNET.com) 翻訳校正: 川村インターナショナル

2024-06-04 07:30

notenoteで書く

「防御」だけのセキュリティ対策の限界--キヤノンMJの戦略と選択
EDRを入れただけで安心していませんか?厳しい現状と対策を知る
導入事例、製品情報、調査・レポートなど、ホワイトペーパー多数掲載

 筆者は1970年代半にフロッピーディスクを使い始めたときのことを覚えていない。ファームウェアをIBMの「S/370」メインフレームにインストールしたときか、図書館の専用ワークステーションで米議会図書館の目録記録を作成したときだっただろうか。何とも刺激的な生活を送っていたものだ。いずれにせよ、当時使っていたのは確か8インチの片面フロッピーディスクで、データの記憶容量は驚異の79.7KBだった。

 これは本当に、当時としてはただ事ではなかった。ポータブルストレージの他の選択肢が、IBMの12行/80列のパンチカードや9トラックのテープだった時代だ。これらは一言で言えば、扱いにくかった。
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 フロッピーディスクは、筆者がコンピューターを使い始める前から存在していた。1960年代後半、IBMのエンジニアだったAlan Shugart氏とDavid L. Noble氏は、データを格納するコンパクトでポータブルな解決策に思いをめぐらせていた。この「Project Minnow」という先駆的な取り組みから、1971年に初の市販8インチフロッピーディスクが生まれた。その79Kという容量は無に等しいと思えるかもしれないが、保存できた容量はパンチカード3000枚に相当する。

 使うのをやめるなら、1枚のディスクと数千枚のカードのどちらがいいだろうか。当時の誰もが思っていたことは、読者の皆さんの答えと同じはずだ。

 1970年代にパーソナルコンピューターが人気になると、フロッピーディスクはメインフレームとワークステーションの世界からPCへと移っていった。そこで、手頃な価格で入手やすいストレージソリューションという地位を確立していく。

 その後の1976年に、Steve Wozniak氏という人物が自身の次のコンピューターにフロッピードライブを追加しようとしていた。友人のSteve Jobs氏は、5.25インチのフロッピーディスクをShugart氏の新会社Shugart Associatesから1976年に入手し、大量の改良作業を経て、Wozniak氏は後に「Apple II」となるマシンで初のフロッピードライブを稼動させた。

 こうした新型ディスクの当初の容量は、90~110KBだった。その後のアップグレードで、まずは160KBに、続いて360KBに増量された。一般的にはこれがフロッピーディスクのデフォルトの容量と考えられている。1984年には、容量1.2MBのディスクが「IBM PC/AT」とともに登場。それらのディスクと6MHzの超高速コンピューターは大きな人気を博した。

 そこからフロッピーディスクは軌道に乗った。プログラムをこれらのポータブルディスクで配布可能になり、ソフトウェア企業は郵送や小売店で製品を販売できるようになった。最初のソフトウェア市場はフロッピーディスクから生まれたということだ。

 その影響は大手企業だけにとどまらない。フロッピーディスクによって誰もがプログラムを作成して販売できるようになったことで、フリーウェアとシェアウェアの動きが活発になった。また、ユーザー間での簡単なデータ共有も初めて可能になった。モデムや電子掲示板(BBS)を使って、プログラム、画像、データが共有されるようになるずっと前に、それらの情報が「スニーカーウェア」で共有されていた。これはまさに、ディスクを手で持ち運び、情報をあるコンピューターから別のコンピューターへ移すというものだ。

 1981年には、ソニーが3.5インチのフロッピーディスクを発売した。この製品は、従来のものと比較してサイズが小さく、ストレージ容量が大きいため、すぐに人気を博した。安定性も以前のモデルより大幅に向上していた。それまでの製品は、摩耗によってすぐに故障することが多かった。

 もはや「フロッピー」(ペラペラ)ではなかったが、このフォーマットがフロッピーディスクの標準になった。その人気は優に1990年代まで続き、フロッピーディスクは普遍的な記憶媒体としての地位を確立。この設計の当初の容量は720KBだったが、最も人気のバージョンは1.44MBだった。

いつまでも使われ続ける理由

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海外コメンタリー
フロッピーディスクは今なお現役--発展の歴史と現在の用途 - (page 2)

Steven J. Vaughan-Nichols (ZDNET.com) 翻訳校正: 川村インターナショナル

2024-06-04 07:30

notenoteで書く

EDR/XDRを導入しても人材は?運用をアウトソースした成功例
点ではなく“面”で捉える真のXDR vol.1
導入事例、製品情報、調査・レポートなど、ホワイトペーパー多数掲載

 コンピューターネットワークと、新しいストレージ形式(USBフラッシュドライブやメモリーカードなど)の台頭に伴い、フロッピーディスクの影響力は1990年代半ばから後半にかけて弱まっていく。フロッピーディスクドライブなしの「iMac」が1998年に発売されたことで、フロッピーディスクの時代は終わりを迎えた。

 2000年代初頭には、フロッピーディスクがますます珍しいものになり、主にレガシーハードウェアや産業機器で使用されていた。ソニーが新しいフロッピーディスクを最後に製造したのは、2011年のことだった。
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 衰退したとはいえ、フロッピーディスクの遺産は存在し続けている。その象徴的なデザインはデータストレージのシンボルとなり、フロッピーディスクのアイコンは今でもファイル保存のシンボルとして多くのコンピューターのデスクトップに表示されている。

 しかし、時代遅れの技術と思えたとしても、フロッピーディスクは現在も使われている。たとえば、1990年代の工業用刺しゅう機は、模様やデザインをフロッピーディスクから読み取るように作られていた。コンピューター数値制御(CNC)マシンなど、一部の古い産業用機械や産業機器は、今もフロッピーディスクを使用してソフトウェアアップデートやプログラムを読み込んでいる。

 「Boeing 747」の一部の古いモデルでは、重要なナビゲーションデータベースのアップデートとソフトウェアをアビオニクスシステムに読み込むために、まだフロッピーディスクが使われている。フロッピーディスクの販売とリサイクルを手がけるfloppydisk.comのプレジデントのTom Persky氏は2022年、実際に航空業界は依然として最大の顧客の1つだと述べた。

 もっと地上に近い場所では、1980年に開通したサンフランシスコのMuni Metroのライトレールがある。この路線では毎朝、職員が自動列車制御システムをフロッピーディスクで起動しない限り、運行が始まらない。なぜなら、ハードドライブがなく、不安定すぎて電源を入れたままにしておけないため、毎朝ディスクを挿入して電車を走らせる必要があるからだ。しかし、最終的には別のシステムに置き換えられることになる。現在のところ、最新の置き換えプロジェクトは2033年4月に完了する予定だ。

 フロッピードライブは、CTスキャナーや超音波装置などの医療機器でも生き続けている。米軍の核ミサイル基地で、運用コンポーネントの調整用システムの一部として、8インチフロッピーディスクが2019年まで使われていたことはよく知られている(悪評が立っているというべきか)。もっと楽しい用途としては、Chuck E. Cheeseのアニマトロニクスのフィギュアがある(8歳の誕生日パーティーで見ただろうか)。そう、これを起動するのもフロッピーディスクだ。

 もちろん、ミュージシャンのEspen Kraftのように、古いシンセサイザーやサンプラーでフロッピーディスクを使用してサウンドを読み込み、音楽を作っている人もいる。Kraftだけでなく、他のコレクターやレトロコンピューター愛好家も、フロッピーディスクの使用や取引を今日まで続けている。

 なぜいつまでも使われ続けるのだろうか。Persky氏はNPRにこう語った。「極めて安定性が高く、非常によく理解されており、ハッキングの可能性があまりなく、ごく少量のデータに関しては信じられないほど素晴らしい仕事をする」

 確かに、それも理由の1つだろう。しかし、もう1つの理由は技術的負債だ。フロッピーが使われているマシンの中には、非常に高価なものもある。マシンが稼働し続けていて、古いフロッピーが消耗したときに新しいフロッピーを見つけて交換できる限り、マシンの入れ替えにお金を出したいとは誰も思わないだろう。もっと極端なケースでは、古いハードウェアの交換用の機械類が手に入らないことがある。

 誰もが最終的には古いマシンを買い替えなければならなくなるだろう。しかし、自分がこの世を去る頃に、どこかの誰かがまだフロッピードライブを本番システムで使用していたとしても、筆者は少しも驚かないだろう。
提供:sjvn
1980年代初頭の数枚の5.35インチフロッピーディスク。
提供:sjvn

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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cf.
日経新聞
経済
2024年1月22日 17:26 (2024年1月22日 17:30更新)