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私的・建築家の終焉

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この写真は、最近売りに出されている家です。
価格19,800万円・敷地279m2(84坪)
延べ358m2(108坪)スタジオと事務所のある住宅です。
昨年からチラシに出るようになりましたが、価格が高いのと、単に住宅ではないので簡単には買い手がつかないのでしょう。
先日入ったチラシでは、この土地を『半分に分割可』と出ていました。
衝撃でした。
『半分に分割可』とは、つまり今あるこの家を壊すという事です。

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この家は、建築家・篠原一男の設計したものです。
時代は1987年。作品名:ハネギコンプレックス。
同じ年、篠原さん設計の東京工業大学百年記念館がオープンし、建築界の話題を集めました。
個人的には、作風が変わり、篠原さんが60才を過ぎて復活した時だと思っています。
そんな『時の人』だった建築家の設計した家です。
当時アトリエ事務所に勤めていた私もとても興味があり、実物を見に行った事を覚えています。
一途に建築を考えていた20代、建築家の設計した建築は『特別なもの』であり、「いい・悪い」の評価はあっても永遠に『作品』として存在するもの、と思っていました。
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それから19年・・・・

篠原さん設計のその家は、中古住宅として、不動産会社のチラシの中にその他の「中古物件」と同じに並んでいます。しかも、敷地分割して『土地』を購入可能、と出ているのです。上物(ウワモノ)の価値などありません。

 設計がシノハラカズオ?・・知らない・・
 その家の価値があるかどうかなんてどうでもいい
 土地が大切なんだよ!

不動産業者の声が聞こえてきそうです。
「デザイナーズ」をさんざん利用していても、
この家が出ているチラシには、一言も書いてありません。

不思議な感覚でいます。
新築の時は建築家の作品としてメディアでもてはやされても、10年20年後、売りに出されれば、一中古物件でしかありません。そして、特殊解の家であるだけに売りにくく、むしろ壊して、更地売りにしたいと思われてしまうのです。

正直、私はこの家にひかれるものはありません。
ただ、建築家の思いはあったし、たとえ誰も使わなくなったとしても、それは息たえだえとなっても残っています。
いったい、それは何だったのでしょう・・?
建築家の設計したものとは・・いや、建築家とは
何なのでしょう・・

 ハネギ公園の豊かな緑に彩られた上質な住環境。
 閑静な街並に佇むゆとりの邸。

チラシの中で、この家に付けられた唄い文句です。
普通の説明であり、どんな物件に付けられるものです。

大御所の建築家の設計したものでも、もはや普通の中に埋もれているのです。

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建築家という在り方、ケンチクカの作る家、
に悶々とした思いを抱いていた私の中で・・・

20代の頃夢中になっていた『建築家』というものが

終りを告げた気がしました。

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