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「プロの球団フロント」になりたいあなたへ……SIヤンキースの「人材募集」

2006年01月04日 | Baseball/MLB
昨年、渡米した際に取材でお世話になった、NYヤンキース傘下マイナー1A「スタッテンアイランド・ヤンキース」が、今年度の「ジョブ(仕事)争奪杯」に参加するインターン(研修生)を募集している。

以下、SIヤンキースの日本語公式サイトから、募集要項を引用する。

 スタッテンアイランド ヤンキースは2月1日(水)より8人のインターン(研修生) による、ジョブ(仕事)争奪杯を開始することをお知らせ致します。
 スポーツビジネスへの情熱を溢れさせ、このジョブ争奪杯に是非とも参加したいという方は、履歴書および、なぜあなたが最終的にスタッテンアイランド ヤンキースのジョブを獲得すべきか、を述べた簡潔なカバーレターを、英文、で送付ください。
 研修期間内はフロントオフィスでの販売業務から庶務業務まで幅広く行って頂きます。
 8人のインターンは1月27日(金)に発表され、2月1日(水)より3ヶ月間に渡たる、そしてたった1つのジョブを争い、インターンシップを励んで頂きます。
 メール送付先は tshirai@siyanks.com となり、最終締め切りは1月23日(月)となっています。


アメリカのプロ野球は、選手のみならず、審判、そして球団フロントもマイナーでの修行でふるいにかけられた人たちがメジャーに昇格していくのだが、このインターン制度は、「プロのフロント」の第一歩である。
ハッキリ言って、この研修期間中はもちろん、たとえこの競争に勝ち残ってたった一つの仕事を得るとしても、生活は厳しいとおもう。基本的には、メジャーに昇格しない限り、上等の生活を送ることは選手も審判もフロントもありえないと考えていいだろう。
それから、特にマイナーのフロントは、「何でもできて」当たり前。この写真に映っている人物は、試合前、SIヤンキースが所属するニューヨーク・ペンステートリーグの順位表を手書きで書いているのだが、彼はこのチームのGM補佐を務めるゲイリー・ペローンさんで、専用のオフィスを与えられている人物である。それどころか、彼の上司であるGMのジェーンさん、そしてオーナーのゲツラーさん親子も、球場中を忙しく動き回っているのだ。もちろん、雨が降ってきたら、メジャーの中継でもおなじみの、あの大きな防水カバーをスタッフ総出でフィールドに広げなければならないのだが、あれは想像以上に「重たい」そうだ。

このSIヤンキースのフロントに勤務するセールスマネージャーの白井さんは、たとえば私が取材依頼などのメールを送ったとすると、あちらの勤務開始直後と思われる時間にはすぐに返事を返してくれる。これは白井さんも、彼の上司であるGMのジェーン・ロジャーズさんも言っていたのだが、電話でもメールでも「再度の問い合わせなないものと思い、すぐに受話器を取り、そして返事をする」ことをモットーにして仕事に励んでいる。

もちろん、「何でもできます、やります」だけでは正規採用には程遠い。「自分にしかできない、自分ならこうしてこのチームの業績に貢献できる」というセールスポイントがなければダメ。企画力と実行力が人一倍なければ、この仕事はとてもこなすことはできない。

正直なところ、インターンから正規採用に生き残るのも、ましてメジャーのフロントに採用されるのもホンの一握りだし、途中で挫折してやめていく人間のほうがはるかに多い。それから、スタッテンアイランドはれっきとしたニューヨーク市の一部だから、生活するのもNY圏。当然物価は高いことも覚悟の上で。

ただ、大事なのは、オーナーからスタンドでホットドッグを売っている人間まで、アメリカのプロ野球で働いている人たちは、誰も「I Love this game(私たちは野球が大好き!)」という言葉を必ず口にする。自分の仕事や職場を愛することは、すべての基本だといえるだろう。

それから、アメリカでプロスポーツのフロントオフィスに勤務したら、その仕事をしている限り、シーズン中はもちろん、オフもほとんど休みはないと思ったほうがいい。

いずれにしても、私には労働ビザの問題とか詳細がわからないので、興味のある方は、下記のSIヤンクス日本語公式サイトを通じて、問い合わせてみてはいかがだろう。

興味本位の人間には絶対に行ってほしくないが、しかしこのBlogを読んでいただいている人のなかに、100人に一人(もっと多いかもしれないが)でもプロのフロントとしての意欲と資質に満ち溢れている人がいたとしたら、ぜひそのチャンスを生かしてもらいたい。

ベースボールは、人生をかけるに値して余りある職業である。しかし、それを職業にして生きていくことは容易ではない。そのことを肝に銘じて、もし関心のある方は、問い合わせをしてみてください。安直な道に流される人は、絶対に長続きしません。それから「冷やかし」は絶対にしないで下さい!

スタッテンアイランド・ヤンキース日本語公式サイト
http://www.siyanks.jp/


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