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マリナーズ、「来る人」「去る人」……

2006年01月25日 | Baseball/MLB
今日は新聞もテレビのニュースも、城島健司のシアトル・マリナーズ入団会見の話題で持ちきりである。ホークスでのラストイヤーとなった昨年は、ケガでシーズンの半分を棒に振ってしまったが、1年間全試合フルイニング出場を果たしたこともあるなど、捕手としては野村克也の現役時代に勝るとも劣らない強靭な肉体を持った選手である。今季はまず守備面で最低でも3割5分、出来れば4割台以上の盗塁阻止率に、15本塁打、50~60打点の打撃成績を残してくれれば合格点と言えるだろう。

さて、そんな城島入団のニュースと、同じ日にライブドア堀江前社長が逮捕されてその影にかすんでしまった観があるが、昨年オフにシアトル・マリナーズから自由契約になっていた長谷川滋利投手が、現役引退を発表した。97年にエンゼルスでデビューして以来、ずっとメジャーで投げ続けてきた長谷川は、今季10年目のシーズンを迎えれば「満額」の年金を受け取れるはずだったが、年齢面や最近2年間の成績などで、メジャー契約の申し出がなかったのかもしれない。マイナー契約でのスタートなら彼と契約するチームもあったのだろうが、そうなるとオープン戦に登板するたびにふるいにかけられることになる。そうした状況に自分を置いてまで10年目のシーズンに挑むモチベーションがわかなかったのだろう。

長谷川が果たした役割は、あるいは見逃されていることも多いかと思うが、実際には野茂英雄やイチローのそれに匹敵するくらい大きい。先発失格で、そのメジャー生活のほとんどをリリーフ、しかも中継ぎ専門として過ごすことになったが、この仕事で実績を残したことで、日本人投手が先発で通用しなくても、短いイニングのリリーフなら働ける可能性があることを証明したことだ。実際、大塚晶則(レンジャース)など、その恩恵を受けている後輩たちは多い。そして30歳を過ぎても、トレーニングのやり方しだいでは、球速がアップすることも自ら実証した。2003年には故障の佐々木主浩に代わって「代魔神」の役割も果たし、オールスターにも出場している。
そして彼は何と言っても、メジャー生活における「言葉」の重要性を後輩の日本人メジャーリーガーたち、そしてファンやメディアに認識させた

今後、「日米の野球の架け橋になる仕事がしたい」とコメントを出しているが、私はメジャーでピッチングコーチなど、指導者の道を歩んで欲しいと思う。彼なら初の日本人メジャー投手コーチ、そして監督になることも夢ではないはずだ。


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