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愚かなり、マリナーズGM!

2005年12月24日 | Baseball/MLB
シアトル・マリナーズのGM、ビル・バベシという人物の脳内時計は相当イカれているらしい。クリスマスイブとエイプリルフールの区別がつかず、今季メジャーの最優秀守備賞を獲得した最高のライトフィルダーを、センターにコンバートするなんて言っているのだから。彼はイチローを「シド・フィンチ」と勘違いしているのか?
もし、本気で言っているのだとしたら、ロベルト・クレメンテやアル・ケーライン、デーブ・パーカーが全盛期の姿に生き返るか若返るかして、来季からマリナーズのライトを守るとでも言うのだろうか。それぐらいの「歴史的な」選手をライトに連れてこない限り、イチローにセンターを守らせるというのは、ベーブ・ルースやルー・ゲーリッグにセカンドを守らせるのと同じか、それ以上に愚かなことである。
今季、イチローはマイク・ハーグローブ監督の馬鹿馬鹿しい「待球指令」によって、初球打率は65打数13安打でわずか2割。ヒット数は昨年の4分の1に減らされている。昨年、初球に対して114打数52安打で.456を残した選手に対して、なぜこんな指令を出したのか? ハーグローブがインディアンスやオリオールズを解雇された理由がわかるような気がする。
それに続いて、今度はセンターに転向? マット・ロートル、じゃなかったロートンがライトを守る? 
ベースボールの守備位置というのは、たとえばサッカーのそれと比べても、各ポジションの専門性が極めて高い。ゴールドグラブでは外野三人は一絡げにされているが、レフトは三塁線を抜けそうな打球への高い処理能力(全盛期のバリー・ボンズ、現在ならギャレット・アンダーソンのような)が求められ、センターは前後左右への広い守備範囲、そしてライトは三塁や本塁への進塁を阻止する強肩と正確な送球能力が要求される。つまり、内野と同じく、いやそれ以上に、各ポジションにはそれぞれの役割があるのだ。
もちろん、イチローならばセンターは難なくこなし、ゴールドグラブも取れるだろう。だが、ファンを魅了してやまないあの「レーザービーム」を見る機会は、センターでは間違いなく減る。打撃にも何らかの影響を及ぼすかも知れまい。
守備位置を決めるのはもちろん監督の権限だが、選手の生殺与奪の権を握る「人事」だけに、これを行使するにあたっては熟慮と慎重な判断が求められる。少なくともイチローと何も話し合っていない(と思われる)うちに、GMがペラペラとメディア相手に話す性格のものではない。
正直言って、現在のバベシGM&ハーグローブ監督の組み合わせは、マリナーズにとって災厄以外のなにものでもない。テオ・エプスタインもせっかく「市場」に出ていることだし、マリナーズの資本はもう少し能力のあるコンビに交代させるのが得策だと思うのだが。


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