上田龍公式サイトRyo's Baseball Cafe Americain  「店主日記」

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マニーの方舟?

2005年12月20日 | Baseball/MLB
マニー・ラミレスの来シーズンの行き先が、いまだに決まらない。
今季こそ3割を割ったものの、過去に首位打者、本塁打王、打点王の獲得経験があることが示すように、長打力と確実性を兼ね備えた、おそらくメジャー現役選手最高の右打者であり、スリリングなレフトの守備(笑)と合わせ、(出せる範囲で)いくらチケット代を出しても惜しくない選手である。
これほどのプレーヤーが、皮肉にもそのメジャー有数の高年俸がネックとなって、長期契約を全うできないのが、現在のMLB、そして日本野球界の一部が抱える病巣と言えるだろう。
メッツ移籍の線はほぼ消え、現在はミゲール・テハダとの交換でオリオールズ入りが有力視されてはいるが、来季のオリオールズを率いるのは、メジャーで監督1年目のサム・パラーゾである。コーチとしてのキャリアは長いが、果たしてラミレスを毎日気分よくプレーさせて、それを勝利に結びつけるだけの手腕があるかは未知数である。
2005年のマニーのプレーで忘れられないのは、7月のホワイトソックス戦。同点で迎えた9回表、一度は三塁へのファウルフライに倒れたかと思ったが、何と連続無失策記録を続けていたサードのクリーディーが、シカゴ特有の強風のために落下地点の目測を誤り落球。Aki猪瀬さんとのスカパー!中継で、「こういう『打ち直し』は、ラミレスみたいな大打者は怖いですよ」と言った直後、レフトスタンド中段に決勝弾となるホームランを叩き込んだ。こういう役者ぶりを見せられるのは、本当の大スターである。
また、あの「タンパ在住の大ボス」がオーナーを務めるあのチームがちょっかいを出してくる可能性もあるが、カムデンヤーズとヤンキースタジアムのレフトの形状を考えると、バッティングへの影響はともかく、あのスリリングなレフト守備を見る機会が、ヤンキースタジアムの「デスヴァレー」(余談だが、去年出版されたD・ハルバースタムの「Teammate」の和訳本では、この死の谷を「右中間」と訳していやがった。ハルバースタムの格調高い文章がまったく伝わらない、最低の翻訳であった。わけのわからない邦題もサイテー! 本当に金返して欲しい!)ではますます増えてしまう可能性がある(笑)。
そう言えば、まだ私はお恥ずかしいことに、ラミレスの生のプレーを見たことがなかった。ああ、来年の取材希望予定地が、またひとつ増えてしまった! そのときは、絶対にレフトスタンドの最前列の席を取るぞ!


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