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オールスターで「野球トバク」を開帳したNPB幹部たち!!!

2006年07月22日 | Baseball/MLB

(そりゃ、昔は東映映画がプロ野球チームを持っていたけどね……)

21日のオールスター戦を伝えたスポーツ各紙の公式サイトに、信じられない記事を見つけた。「サンスポ」の記事をそのまま引用する。

 

セに高校生ドラフトのウエーバー優先権

ことしで2年目を迎えるプロ野球の分離ドラフトで先に実施される高校生ドラフトのウエーバーの優先権が21日、オールスター戦で先勝したセ・リーグに確定した。

ウエーバーの優先権はオールスター戦(2試合)で勝ち越したリーグに与えられ、同率の場合はフレッシュオールスターゲームで勝利したリーグとなる。セは第2戦で敗れて1勝1敗となっても20日のフレッシュオールスターゲームで勝利しており、セに確定した。

 

おそらく、メジャーリーグがオールスターの勝利リーグにワールドシリーズの先行開催権を与えていることにヒントを得て、こんな愚策をNPB幹部の誰かが思いついたのだろう。私はそもそも、バド・セリグMLBコミッショナーがオールスターの人気回復策として採用しているこの方法にはずっと反対してきている。球宴の人気(というよりもテレビ視聴率)回復策は、もっと抜本的な対策を講じなければ意味がないからだ。
それでも、まだMLBの場合は「オールスター戦の人気回復策」という明確な目的がある。しかし、日本プロ野球が採用している「ウエーバーの優先権はオールスター戦(2試合)で勝ち越したリーグに与えられ、同率の場合はフレッシュオールスターゲームで勝利したリーグとなる」という方針は、まったく目的を履き違えているのではないだろうか。

ドラフト制度は、契約金の抑制とともに、両リーグと12球団の戦力を均衡・公平化して、ペナントレースや日本シリーズで接戦を増やし、試合のレベルを上げるのが目的で作られたシステムである。もし、両リーグが共催する試合の結果でウェーバー優先権を決めるというのであれば、交流試合や日本シリーズで「敗れた側」のリーグに与えられなければ、まったく意味を成さない。
高校生も自由枠の対象にしたいのが本音なのだが、高野連や「裏金」の高騰で有力選手の獲得競争に参入が難しくなる弱小球団の反対などで、高校生ドラフトはウェーバー制で行なわざるを得ない。しかし、完全に下位球団、日本シリーズ(交流試合)敗退側のリーグに優先権を与えるのは面白くないから、それならオールスターの勝敗で優先権を決めるようにしよう……何という愚かな発想であろうか。プロ野球の最高意思決定機関であるオーナー会議や実行委員会では、こんな馬鹿なことを大の大人が話し合っているのである。小学生のホームルームのほうがまだマシだ。これでは、ドラフトとオールスターゲームを使って、NPBが堂々と野球トバクを開帳しているのとなんら変わりはない。そもそもこんな馬鹿げたシステムの導入に対して、選手会は何でもっと声を大にして反対を唱えなかったのか? そしてスポーツ紙などのメディアはこんな馬鹿げたことをなぜベタ記事として論評も抜きに垂れ流しているのか? 

これはNPB幹部によるドラフト制度とオールスターゲームに対する冒涜行為そのものである。彼らにはもはや、プロ野球をまともに改革できる能力も意欲すらもない。このままでは、プロ野球に限らず、日本の野球文化も、そしてスポーツ文化全体にも限りなく悪影響を与え続けるだろう。

プロ野球という業界、少なくとも「幹部」と呼ばれてふんぞり返っている連中には、もはや何の知恵もないのである。こんな奴らに野球協約の改正なんか任せても、それは文字通りの「ドロナワ」だ。この野球トバクは、プロ野球の「自殺行為」そのものではないだろうか。



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1 コメント

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バカ丸出し (破壊王子)
2006-07-22 23:31:34
大事なことは何一つ決められずに「先送り」ばかりしてるくせにこういうことは即決ですか。



相変わらずアホですね。