山形のホリデイマタギ日記

山菜とキノコと魚を採って遊ぶ年寄りの冷や水日記

山はみんなのものだからね

2021年11月15日 | キノコ採り

 前回のキノコ採りから3日の間を空けて『見置き』したナメコを採りに出掛けることにした。

「雨降りでも行きますよ。」

相棒には、そう伝えておいた。目的地に辿り着くまでに、本流を渡ることや崖の上り下りもないんだから、当然だ。ここでは『旬』が最優先される。

 そして、当日。出発前に気象庁の雨雲レーダーを見ると、かなり危ういことが分かった。日本海側で降雨中。所々に黄色や赤の雨雲が広がっている。これが、1時間後には目的地を直撃するみたい。

 ヤバイっす。

 まあ、雨雲はそれほど大きくないから長続きはしないはず。鉄砲水で帰還困難になったことのある山域ではあるが、万が一そうなっても、すぐに水は退くはず。

 相棒の荷物を積み込むとき、

「雨具と足回りは座席に積み込むべ。現地で雨降ってっかもしれないがら。」

と伝える。

「分かった。」

相棒も、状況を把握してくれたようだ。

 目的地に着くまでに、かなりの雨に降られたが、到着してみるとパラパラ程度。ああ、良かった。山の神様のご機嫌は悪くないようだ。早速、身支度を調えて車外へ。

       最後の木の葉を残した森を進む

 周辺の空の様子を見ると、土砂降りになるような厚い雲ではなさそうだ。これでひと安心。目的の倒木までは、そんなに時間がかからないのだから。ここまでくると、ようやく、キノコや木の実の状況を見回す余裕が生まれてくる。

 

       ムキタケの幼菌

 数年前に倒れたミズナラの木に、ムキタケが出始めている。これからどんどん『シロ』を広げていくんじゃないかな。来年以降が楽しみです。

 道端の倒木からナメコの幼菌が出ていた。この木からナメコが出たのは初めて見た。

 今から向かう木もそうなんだけど、「今年初めて」という木が今シーズンは多くなった。新たな楽しみが広がってくる『喜びのシーズン』になりつつある、という気がする。

 逆に、「出なくなった」という木も、少なくない。これは、寂しいけれども仕方がないことだろう。『世代交代のシーズン』に入った証拠でもある。

 さて、1時間もかからずに目的の倒木に着きました。状況を点検します。

       出てることは出てます

       採り頃・食べ頃ではあります

 でも、採られた痕も結構ありますね。

 う~ん。

 普通に考えれば、この食べ頃キノコを置いていくはずはない。ということは、このキノコが育つ前に採っていった。つまり、我々が『見置き』した直後に、あのツブ達を採っていった人がいるってことだ。

       この子達ね(4日前の状況)

 そうですか。まあ、そのお方の心情も、分からないでもない。

「まあ、仕方ねえベ。」

「まずは、貰える分だけ貰っていぐべ。」

 残されたナメコ達は、予想通り食べ頃に育っていた。だけど、そうなるまで待てない事情の人たちも多いってことだよね。これは、仕方がない。山は、そこで楽しむ人たちみんなのものだからね。その近くの木を見ると、

       まだまだ出てきそうな気配

 そして、次の木にも、

       これも『見置き』です

このちょっと上には食べ頃のナメコがあったので、相棒が収穫。私は、

       ヒラタケが出ていました(この時期でもまだ出るの!?)

こちらを戴いてきました。

       もうすぐ「冬ざれ」

 当地では、ようやく最低気温が氷点下まで下がったようです。ナメコは、この低温に刺激を受けて芽だしを始める。やっぱりこの辺の法則は間違っていないみたい。案の定、遅ればせながらナメコの本格シーズンに入ったようです。

 来週、ツブ達の育った姿を求めて再訪しようということになりました。

 また、誰かに先を越されてしまうかもしれないけれど、それは仕方がない。山はみんなのものなんだから。

 山の神様、ありがとうございました。来週も、よろしくお願いいたします。


家族に乾杯!ジンギスカン鍋

2021年11月14日 | 日記とレシピ

 明日は我が家の記念日。記念日といったらご馳走。これは、我が家の決まりだ。

 で、何を食べるかなんだけど、結構、ああでもないこうでもないと議論を重ねた。最終的に、秋口に作ったジンギスカンをまた食べようということになった。

 まあ、それはそれでいいんだけど何となく物足りない。何が足りないかって言うと、盛り上がりね。

 焼き上がったラム肉を皿に乗せて戴いても美味しいんだけど、目の前で焼きながら、焼き上がりをそのまま食べる所にジンギスカンの醍醐味があるんじゃないかな。これ、ずうっとやってみたくて仕方がなかった料理でもあるんですよ。

 家族に提案すると、「家中が臭くなる!」みたいな理由で却下。妻が言うには、

「台所なら出来ると思う。だけど、今日は『ツルベ』よ。」

なに!?それは困る。

 夕べのひととき、茶の間で『鶴瓶の家族に乾杯』を見ながら団らんのひとときを過ごすってのは、我が家で定番の楽しみ。これは、確かに勿体ない。でもねえ。・・・ジンギスカン鍋を採るか、『ツルベ』を採るか。非常に難しい選択を迫られることになってしまった。

   ポクポクポクポク チ~ン

     台所で≪ジンギスカン鍋≫

 『ツルベ』は面白いよ。見ていてみんなホッコリするよ。でもさ、生身の自分たちが、みんなで、ワイワイガヤガヤ言いながら鍋をつついてホッコリする方が、もっと楽しいんじゃないかな。決定です。本日は、台所でディナーにします。

 それでは、早速始めましょう!

 下ごしらえ・調理の部

 そう言えば、我が家の電磁調理器のオプションにジンギスカン鍋みたいなものがあったよな。管理している妻に探してもらうと、見つかりました。購入から15年ぐらい(?)初めて日の目を見た調理器具です。今回は、これを使います。

 そして、今回は、『つけダレ』と『かけダレ』を準備することにしました。焼き上がる前に使うのが『つけダレ』で、焼き上がった後に使うのが『かけダレ』です(適当な命名です)。

 まずは、『かけダレ』

 ・醤油とりんご酢各大さじ3、酒とハチミツ大さじ2、ニンニクとショウガのすり下ろしとコチュジャン少々を混ぜて

       加熱用の小鍋の中で作業しました

 ・加熱していくと、先ずアルコール分が沸騰し始めます。煮きると間もなく水分が沸騰を始めます。

       混ぜながら湧かします

 ・消火してあら熱が取れたら白ごまを加えます

       こんな感じ

 続いて『つけダレ』

 ・醤油みりん各大さじ2、ハチミツ小さじ1、コチュジャン少々と、すり下ろしのタマネギ、ニンニク、ショウガを混ぜておきます

       もう一丁出来上がり

 ・野菜を切ります

       こんな感じ(ここにモヤシが加わります)

 ・焼き始めましょう

       ここから始めて

       こんな風に盛り足して(茹でたモヤシだけ後回し)

       いよいよお肉の出番です

 ・鍋の中心を空けるように野菜を周辺におろしたら

       お肉を焼き始めました

 ・『つけダレ』を野菜にかけます。モヤシも加えましょう。

 もう、ここからは手が止まらなくなります。

 ・・・結局『つけダレ』も『かけダレ』もどっちも美味しくて、使い方もいい加減になってしまいました。それでも、どちらも美味しかったんだから良し。

       例によって『山葡萄ジュース』が美味しい!

 

       完売でした

 いやあ、やって良かった!美味しいのはもちろん大事だけど、目の前で焼いて調理して、みんなでワイワイと言いながら食べるってのは、この上なく楽しい。

 こうして家族で記念日のお祝いが出来ることの幸せと大切さとを実感することが出来ました。

 今回は、テレビ番組から学ばせてもらったということになるのかな。テレビ番組よ、ありがとう!

 ということで、家族に乾杯!


たまにはよ(さんぽうた114)

2021年11月13日 | いきもの

  たまにはよ   こがらし じろう

 

おれだって

たまにはよ

びゅうびゅういってばかりじゃなくて

そよそよと ふきたくなるんだよ

いいだろ?

 

やっぱりよ

あうたびに

しかめっつら されるよりは

えがおをもらえたほうが

うれしいにきまってる

おれだってよ

 

でもな

いつもってわけには いかないぜ

たまにだよ

 

ま、おとなのじじょうってやつだ

かんべんな

 

       お堀端を散歩しているとき

       風に遇いました。こがらしさんです

       いつもだと憎たらしいほど意地悪なのに

 今日は、すごくやさしげ。のどかな小春日和を演出しています。

       光と景色とを映し出し

       一瞬も同じ姿ではいない

 どうしたんですか?ちょっと訊ねてみました。すると、「俺だって、たまには人に喜ばれたい。人の笑顔を見たい。」だそうです。

       なんとロマンチックな顔

 人は見かけによらないですね。

 「たまに」なんて言わず、しょっちゅうその顔を見せてもらいたいなあ。

 まあ、マタギとしては、山に雪を降らせてもらわないと困るんだけどね。

 この辺は、「大人の事情」と言うよりも、「欲タガリの事情」ってやつでしょうかね。

 


木の子も木の実も旬です

2021年11月12日 | キノコ料理

 今回のキノコ採りは面白かった。収穫量はさして多くないのに充実感を覚えるのは、多分、新たな発見が多かったお陰だと思う。

 実のところ、ナメコやムキタケの出る木は、発生が始まってから、せいぜい10年ぐらいしか保たないんです。『きのこ(木の子?)』というだけあって、すねかじりなんですね。木が一旦衰えを見せ始めると、親である木の養分を分解・吸収して腐らせてしまう。そして、木は土に還り、キノコは胞子を飛ばして別の里親を見つける。こんな繰り返しが山の中で行われています。

 そんでもって、今が我々の採り場での世代交代期なんですね。これまで長年お世話になってきた巨木達が土に還り始めたんです。替わりに次の安住の地を見つけたキノコが発生を始め、それを求めていた我々もその一部を見つけることで、新たな楽しみが広がっていく。そういう時期なので、殊更に新発見は嬉しいんです。

 そんでもって、採ってきたからには料理だ。

 ナメコは300gぐらいしかないから全部ナメタケにしてしまいましょう。

       汚れを落としたら食べやすい大きさに分けて

       酒醤油みりん各大さじ2で煮詰めて、唐辛子を加えて

       一丁上がり

 丁度、モダシのナメタケがなくなったところだったのでナイスなタイミングになりました。

 さて、メインになるのはムキタケです。かなり高品質なものがそこそこに採れましたから楽しまなくっちゃ。

 ムキタケは別名ノドヤケと言われるほど熱を溜め込むキノコであります。晩秋のこの時期に採れたら、当然あったまり料理に使わせていただきます。

   ≪ムキタケのけんちん汁≫

 ご近所や友人達から届けられた根菜類が大量にある。これを生かさない手はあるまい。あれこれ悩む必要はない。即、決定です。

 下ごしらえ・調理の部

 ・ムキタケは塩水で虫だしし、汚れを落としておく(ほとんど無傷でした)

 ・大根10㎝の皮を剥いて銀杏切り

 ・ニンジンはちょっと厚め、ゴボウは薄めの斜め切り

 ・里芋は土を洗い落として、水から茹でて沸騰10分強。冷水に入れて皮を剥いてから乱切り

       こんな感じに準備したけど・・・

 ここまで、計量してません。結局、ムキタケ・大根・里芋は半分ぐらい残ってしまいました。

 ・鶏もも肉を切り分けて、水1ℓで茹でてあく取りをしておきます。

       このアクを掬い取り鶏肉出汁の出来上がり

 ・ゴマ油を敷いた中華鍋でニンジンゴボウと大根を炒めます

    こんな感じ。ある程度火が通ったと思ったら

       ムキタケと里芋も加えて和えます

 ・ここに鶏だし汁を肉ごと注ぎ入れて、しばし煮込みます

 ※酒50mlと醤油大さじ2を入れ、塩少々で味を調えます

       二丁上がり

 そうして、

       本日の夕食

 画像の左下は、余った里芋を使ってのコロッケです。思いがけず美味しい料理になりました。

 そして、もう一つ。

       これは、なんでしょう

 キウイみたいだけどなんだか違う。山の中ではこうなってました。

       葉が落ちたので目立つようになりました(ピンぼけ御免)

分かる人には分かるのだろうか。正解は、サルナシです。食べると、まるっきりキウイそのものです。甘くてジューシーなフルーツになりました。

 この季節、キノコも美味しいけれど、木の実も美味しく熟すんだよね。旬を迎えた山の幸、ああ、美味しかった。

 山の神様、ありがとうございました。また、よろしくお願いいたします。

 


晩秋のお宝探し

2021年11月11日 | キノコ採り

 本日は、向かいの住人とキノコ採り。数えてみれば、前回の散策から10日ほど経っている。前回、見置きしてきたキノコ達が、残っているかどうか、そして、どのように成長しているのか楽しみでもあり不安でもある。

 キノコの『旬』を予測するのは簡単ではない。最高または最低気温がどこまで上がったか、または、下がったかで、第一次の予想を立てる。秋のキノコならば、最低気温が判断基準になる。

 20℃を下回った。だったら、マイタケは?

 10℃を下回った。だったら、ナラタケは?

 0℃に到達した。だったら、ナメコは?

みたいな感じにターゲットを定めていく。

 更に、細い倒木だから(菌の)寒さに対する反応が早いとか、太いから遅いみたいな条件が加わる。

 ここに、シーズンの降水の状況が加味されると、

 降水が少ないから水際の方が発生しやすい、とか、よく降ったから、平地にも出るはず、みたいなことになっていく。畑と同じで、気候の状況変化が豊作や不作にも大きく影響すると思う。

 で、今年はと言うと、降水がすごく少ない。従って、日当たりのよい場所でのキノコの発生は芳しくない。

 気温は、非常に不安定。猛暑の初夏から、突然に「涼しすぎだろ」と思うような盛夏が過ぎ、その後、急に暑くなって、また、急に涼しくなって・・・。ジェットコースターのような気候変動に、動植物たちも戸惑っているんじゃないかな。マタギも戸惑っています。

 とりあえず、0℃近くまで気温が下がるようになってきたから、新しいナメコの芽だしはあるはず。説明が長くなってしまったけど、これが予測その1ね。

 そして、2つめが難しい。芽だしから食べ頃になるまで、どのくらいかかるのか。これは、主に芽だし後の気温の推移で決まるようだ。夏から初秋にかけてのキノコだったら、たったの2~3日で食べ頃に育つのだが、晩秋から初冬のキノコは10日もかかることがある。今回は、10日の間を開けたんだけど、果たしてどうなっているだろうか。やっぱり心配だ。

 いつものコースを歩き始めると、いつものお山が見えてきた。

       本日も美しい朝日連峰の夜明け

 積雪は、前回よりもずっと少ない。これは、この時期によくある変化です。季節は行ったり来たりしますから。トータルすると気温は高めだったと言うことだ。これだと、キノコの成長は早目かもしれない。ちょっと心配。

 もう一つ、大きな変化が起きています。それは、視界を遮る木の葉が少なくなっていること。

 お陰様で、遠くの山の様子がよく分かるようになったんです。そして、こうなれば、近くの生き物の様子も分かりやすくなるはずなんですね。この日を待っていたんですよ。

 もちろん、木々の様子にキノコの様子もよく見えてくるんだよね。さあ、お宝市場、新規開拓ですよ!

       葉が落ちると渓底の様子もよく分かる

 こんな状況下で歩き回ること2時間半。一番奥に見置きしていたつぶナメコは、『旬』を過ぎていました。もう一つのキノコ達も大きくなりすぎていたけど、とりあえず収穫。

 やっぱりなあ。10日の間は長すぎたようです。また来年、よいタイミングで会いましょう。

 代わりに、新規発見のキノコが多数。

       例年生えるムキタケ。前回は見えなかった=10日で育った

       これは、初めて発見した木のナメコ

       これも新規発見のブナハリタケなんだけど、手が届きません

そして、

       あらら

       凄いですね

 これは、採り頃になるまでにはもう少しかかりそうなので、『見置き』です。前回の『はなちゃん』では、先を越されてしまったんだけど、懲りずに、また、です。だって、収穫するには、まだ少しだけ早いんですから。

「これは、1週間空けるわけにはいかないな。」

「うん。4~5日ってところか。」

「気温は高めらしいからよう。それでいいんねがい。」

「うん。絶対、いやんばいになってるど思う。」

 木の葉が落ちたお陰で、今回の収穫物と次回の楽しみとに恵まれました。

       森の奥から朝日が差し始めた

 果たして、成長の予想は当たるか。それ以前に、採られずに残ってくれているか。『見置きナメコ』への期待と不安とを置いて、宝の山をあとにする。

 山の神様、どうかよろしくね。