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橘 玲の著作はいくつか読んでいるが、最初に読んだ「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 ― 知的人生設計入門」が衝撃的だった。
この本で読んで、ファイナンシャルインディペンデンスや、パペジュアル・トラベラー(永遠の旅行者)という言葉を知ったのであったのだ。
ある意味でゲリラ的に、この世の中を独自の価値観でインディペンデントに生きていく、というスタンスにはヒントと勇気をもらったと思う。
この本も、前述の本よりはエッセイ的な趣ではあるが、本質的には同じことを言っている。
特に、理解を深めることができたのは「生保」と「家を買う」ということだ。
生保について。
生保とは、「死」という不幸の宝くじでという考え方。これはまさに正鵠を得ていると言えるだろう。
ただ、基本は損をするので、そのままだと売りにくい、ということで、これを基本にしながら、
貯蓄部分を足したのが終身保険である、終身というのは、いつかは死ぬので、貯蓄と考える。
これの肝は、払い込んだ額よりももらえる額が多いという点だ。
この貯蓄性は、実は非常に効率が悪い。その分をしっかり貯蓄する、投資するほうがはるかに効率がいい。
ただ、普通は宝くじ部分と貯蓄性の部分の区別はちゃんと理解できない。
なので、今死ぬと経済的に家族が困る、という限られた期間に掛け捨ての保険をかけるのが正解であって、
基本的にダラダラと一般的な生保に入るのは、経済的には意味がない。
家を買うことについて。
ぼくは本書の橘氏、山崎元氏(http://blog.goo.ne.jp/yamazaki_hajime)、勝間勝代(http://kazuyomugi.cocolog-nifty.com/)さん、それぞれから、家を買わない方がいいという意見を聞いているし、(本からです、もちろん)家は買うまいと決心したのであるが、その理由が最も端的に書かれているのは、橘氏の著作だ。この本でも非常にていねいに書かれている。
端的に言えば、家を買うことと借りることは、どちらがトクでどちらがソンか、という点ではバランスしている。あたりまえだ。どちらかがトクであれば、個人も企業も、ぜんぶそっちにいくわけだ。神の見えざる手が調整している。
だから不動産屋の「買った方がトクですよ」というのは典型的なトリックだ。
ローンの支払額と家賃は比較する意味の無いものだ。
自分が住もうが住まいが、家という不動産資産は、その他の金融資産と同じように考えることができる。賃貸物件で毎月払う家賃分は、マイホームを持っていれば払わなくていい。それはマイホームがそれだけの価値を毎月生み出してくれると考える。これはインカムゲインである。
そして将来誰かに売却するときに利益を得ることができれば、それはキャピタルゲインである。
株式で考えればインカムゲインは配当であり、キャピタルゲインは譲渡益である。
まとめる。
家は買っても、借りても同じ。
持ち家はインカムゲインとキャピタルゲインをもたらす金融商品と言える。(家を買って誰かに貸すことを考えればワカリヤスイですね)
次のステップ。
金融資産は「一つのカゴに卵を全部載せるな」という。分散投資の教えである。
しかし、マイホームという金融資産は、一極投資である。これがデメリット1.
もっと大きなデメリット2とは
ほとんどの人はローンを組む。となると、これは借金して投資する信用取引と同じである。(もちろん現金で一括して買う数少ない方々にはこのデメリットはない)
これを喩えればどうなるか。
1000万円を持っている人がいる。
さらに銀行から4000万円を借りる。
合計5000万で、一点買いの株式投資をする。
これと違うところは一つもない。
さて、デメリット3
株ならいつでも、市場で売れる。流動性が高い。
何年持っていていても株式が劣化することはない。
しかし不動産は流動性が低い。しかも家はどんどん劣化する。
新築なら、買った途端に2割ぐらい減価する。買うときの税金や手数料も高い。
さらに、家はどんどん壊れていくので補修も必要。
毎年の税金も含めた保有コストも高い。
いうまでもないが、株や債券の保有コストはずっと安い。
(ちなみに保有コストが高い投資信託もたくさんある。避けるのが賢明だ。)
さらにデメリット4
賃貸→持ち家に変更するのは比較的容易。
逆は大変。
たとえば人生において、いろんなイベント、出来事、信条やポリシーの変化で住む場所や形態を変えたいとき、
持ち家は固定的。賃貸は非常に柔軟である。
ということで、持ち家には多大なるデメリットがある。若干の税法的な優遇ではとても勝ち目がない。
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