ほぼ週刊イケヤ新聞ブログ版

コピーライター・ミュージシャン池谷恵司の公式ブログです。
私的メールマガジン「ほぼ週刊イケヤ新聞」のブログ版です。

浜松の和地山公園でラッパを吹いていたら、老人がやってくるのだった。

2009年09月19日 22時48分16秒 | 原朋直トランペットレッスン講義ノート
シルバーウイークっていうらしい。5連休であるが、私は危うく仕事になりそうだった。でも今週は珍しくちゃんと仕事をしたので、なんとかクリアしたと思われる(今のところ)。
いやー、しばらく仕事がなくって、フリーと無職の違いってなんだろうとか、ほとんどないよな、などと考えていたのだが、急に仕事が重なってくると、いきなり、仕事が嫌いになるのだった、いや、今週は結構大変だったんだよ。

で、一瞬の間隙をぬって、
連休の後半は子どもを連れて実家の浜松に帰ろうと思っている。

ところで、ラッパの練習は基本的に毎日やっているものだから、実家に帰るとき持っていくのだ。あいかわらずオープンで吹ける場所を探しつつ。

そういえば、前回浜松の和地山公園でラッパを吹いてみた。
野球場が四面とれる広大なかつての練兵場なんだが、ここでラッパを吹くと実に気持ちがいいのだ。

前回の和地山公園でラッパを吹いた日は祝日で、全部の面で野球はやっているは、じいさんばあさんは散歩しているわという午前中に吹いた。

人が多かったので、練習していると「うるさい」と言われそうで、ちょっとビクビクしながら吹いていた。

何人かのじいさんとばあさんが通り過ぎ、素振りと守備練習と子づれの自転車練習があり。
ま、それでも何も言われなくてと「よかったなー」と思いながら音階練習をしていると、80歳ぐらいのおじいさんがよろよろとやってきて、ふと俺の横に同じ方向を向いてたたずむのだった。
俺は、ああ、ついに、うるさい、といわれるのだな、さっさとラッパをケースにしまって帰ろう、と思っていると、ふと老人は急に思いついたようにこう言った。

「それはキーは、ビーフラットかね」。


うっ。す、すごいぞ浜松。そのへんのじいさんが、そのトランペットはベー管なのかツェー管なのか聞いてくる! 震える声で「ビーフラットです」と答えると……、しばし間があり、噛みしめるように、

「テナーと同じだな」

この人、ひょっとしてソニー・ロリンズかなにかなのだろうか?

俺は頭が爆発してそう思ってる所に追い打ち。

「いろんなキーで音階を練習しないとな。それとロングトーン」


そこまで言うと、じいさんは、急に普通のじいさんになって、腰を曲げながら、危なげな足の運びで、炎天下の和地山公園のわき道をよぼよぼと歩いて行くのだった。

ぼくは、原朋直モデルを持って立ち尽くしたまま、ジャズな老人を、呆然と見送った。


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