ほぼ週刊イケヤ新聞ブログ版

コピーライター・ミュージシャン池谷恵司の公式ブログです。
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『曾根崎心中―現代語訳』を読んだ。そういう話だったのかと。

2008年08月11日 16時43分08秒 | レバレッジリーディング
曾根崎心中―現代語訳 (河出文庫 古 1-12)
近松 門左衛門
河出書房新社

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有名な古典で知らないことが多すぎると自戒する。今日この頃。

やはり幼少から十代で古今の古典派できる限り制覇しておくのが基本であって、
和物、洋物、そして中国の四書五経ぐらいはそらんじておくべきである。

四書は「論語」「大学」「中庸」「孟子」、
五経は「易経」「書経」「詩経」「礼記」「春秋」をいい、五経を以て四書よりも高しとする。

が、やるべき時期全くもって惚けたような学生時代を過ごしていたオレは、本当にダメなのだ。

で、これまた図書館で近松の現代語訳を借りて、曽根崎心中を読んでみたのだった。なーるほど、わりとストレートストーリーで特に何の救いもなく悲しく心中していくわけなんだが、こういうフレームだけのようなストーリーの方が、演じる方や脚本を作るひとには、いろんな仕掛けのしがいがあるというモノではないだろうか。心中の最後のシーンの迫真ぶりには驚くばかりだが、こういう部分の克明さが近松門左衛門のウケた理由でスティーブン・キングみたいなものかなと。

それにしても江戸時代の色町というのは、艶があって文化もあって、いい。今の色町はとんと疎いわけだが、ま、文化はないんだろうなぁ、オカマ系の店以外には。

そういえば蜷川実花の映画「さくらん」も良かったでありんす。
たぶん江戸や明治の日本は、まだ儒教の影響も少なく、性的には開放されていたんだろうな、その代わり身分制度は絶対で、それゆえに愛故に、心中が「あっぱれ」などの言われたのだなぁ。



『ポートレイト・イン・ジャズ』和田 誠,村上 春樹を読んだ

2008年08月11日 16時07分08秒 | レバレッジリーディング
ポートレイト・イン・ジャズ
和田 誠,村上 春樹
新潮社

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Portrait in jazz『ポートレート・イン・ジャズ』

夏らしいかどうかはさておき、コドモと汗まみれになって野球をやった夏休みの午後、近所の下井草図書館に涼をとりに行き、うたた寝がてら気持ちよく読んだ本であって、蔵書ではないが、買っておきたいと思った本である。
イラストレーターで映画とジャズのマニアでもある和田誠によるジャズマンのイラストに、村上春樹が文章を寄せた本。村上春樹は、多分和田誠以上だろう、ジャズ喫茶を経営したこともあって非常にジャズへの造詣が深い。本当に深いし、個性もあって、ビバップ以前の古き良きジャズも詳しい、いやー、この深さはとても叶うモノではありません。

気軽に読める文章だし、取り上げているミュージシャンもいいので、心地良く楽しく読めるんですが、読み進めていると所々で、ちょっとしたミュージシャンの形容が、もうさすが村上春樹としかいいようがないところがあって、その凄さに唖然とし、読んでいる本を落としそうになる。ノーベル文学賞に最も近い作家だけある。

たとえば
スコット・ラファロのベース(ビル・エバンストリオのベーシスト)は「春のようにみずみずしく、森のように深いベースプレイ」とか。
トニー・ウィリアムス(60年代マイルス・デイヴィスクインテッドのドラム)は「白い三日月のような怜悧なリズム」とか、
「その世界は遠い街にある懐かしい部屋みたいに、ただしんとしている。キャノンボールがホーンリードを震わせると、ひとつひとつの音符が不揃いな背丈で立ちあがり、そっと横切ってこちらにやってくる。そして心のひだを小さな柔らかい手が触れていく」。

もう、凄いです。



ポートレイト・イン・ジャズ〈2〉
和田 誠,村上 春樹
新潮社

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ジャズと映画と仲間たち
和田 誠,猪腰 弘之
講談社

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いつか聴いた歌 (文春文庫)
和田 誠
文藝春秋

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ポートレイト・イン・ジャズ (新潮文庫)
和田 誠,村上 春樹
新潮社

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A面B面―作詞・レコード・日本人 (ちくま文庫)
阿久 悠,和田 誠
筑摩書房

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ことばの波止場 (白水uブックス)
和田 誠
白水社

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装丁物語 (白水uブックス)
和田 誠
白水社

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似顔絵物語 (白水uブックス)
和田 誠
白水社

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Giant Stepsのコード進行、コルトレーンチェンジという3トニックシステム、その2です

2008年08月11日 05時06分02秒 | 原朋直トランペットレッスン講義ノート
ヤマハ銀座アネックス(http://www.yamaha-ginza.co.jp/school/annex/index.html)で開講されている原朋直さんのジャズトランペットコースに通ってます。
もうすぐ三年になります。
光陰矢のごとし、ラッパ鳴りガタし。
いや、我ながら巧いな。ラッパではなくだじゃれです。
そこでいつも音楽やジャズに関わる素晴らしい話が聞けるので、読者諸氏にもおすそわけしています。

今回は昨日に引き続き、コルトレーンチェンジのその2です。

ちなみに、原朋直さんのレッスンノートは、こんな感じで書いてきています。
よかったらまとめてお読みください。
http://blog.goo.ne.jp/hoboike_diary/c/672018a64cffd906d0ee9d84ecc96a94




さて、コルトレーンチェンジの省略形であるジャイアントステップスのコード進行の骨組みを以下に示します。
本来のキーはFですが、わかりやすくCで書きます。
Cの3トニックシステムの場合、EとA♭(長三度)のコードがC以外のトニックです。
事実上は転調ですが、これをある程度の早さで回すと、転調感があまりない感じでコード進行が感じられます。それがマルチトニックシステムの特徴です。
特に上の二段が3トニックシステムであり、後半の2段は同じコード進行ながら、ハーモニックリズムが倍のテンポになっており、こちらは転調にしか感じられません。
つまり前半でマルチトニックシステムをやって、後半はその種明かしをしているというような、ちょっとおもしろいコード進行なわけです。



このマルチトニックシステムの骨組みに対し、コード進行を滑らかにするためにドミナント7Thを入れます。するとぐっと滑らかで唐突なコード進行がなくなり、転調の感じが薄まりつつも、早いハーモニックリズムでちょっとジェットコースターのような軽いめまい感がでてきます、このあたりがコルトレーンチェンジの醍醐味か。



ただし、実際にはこのコードのあわせて吹くと異常に難しいし、せわしないので、もともとのフレームの転調のキーで吹いていきます。
が、これは一種の2-5-1のある種の特別なジョイントになっているので、慣れればある程度はいけるかもしれません、もちろん自在にアドリブをするのはとっても難しいですが。




ジャイアント・ステップス( 8)
ジョン・コルトレーン,シダー・ウォルトン,トミー・フラナガン,ウィントン・ケリー,ポール・チェンバース,レックス・ハンフリーズ,アート・テイラー,ジミー・コブ
Warner Music Japan =music=

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Ballads

Impulse

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マイ・フェイヴァリット・シングス( 2)
ジョン・コルトレーン,マッコイ・タイナー,スティーヴ・デイヴィス,エルヴィン・ジョーンズ
Warner Music Japan =music=

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至上の愛
ジョン・コルトレーン,マッコイ・タイナー,ジミー・ギャリソン,エルヴィン・ジョーンズ
ユニバーサル ミュージック クラシック

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ソウルトレーン
ジョン・コルトレーン,レッド・ガーランド,ポール・チェンバース,アート・テイラー
ユニバーサル ミュージック クラシック

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ジョン・コルトレーン&ジョニー・ハートマン
ジョン・コルトレーン,ジョニー・ハートマン,マッコイ・タイナー,ジミー・ギャリソン,エルヴィン・ジョーンズ
ユニバーサル ミュージック クラシック

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