ほぼ週刊イケヤ新聞ブログ版

コピーライター・ミュージシャン池谷恵司の公式ブログです。
私的メールマガジン「ほぼ週刊イケヤ新聞」のブログ版です。

iPod Shuffleが象徴するもの

2005年03月26日 16時53分03秒 | Photo&エッセイ
iPod Shuffleが象徴するもの。それは、
徹底的に洗練された、操作性とコンセプト。
スイッチオンと、再生。
曲目を確認する液晶もなく、
音量がマックスの何割なのかもわからない。
でも、それは僕にとって必要のないものだ。
曲は知っているわけだし、
音量はその時快適であればいい。
曲順はシャッフルがいい。

iPod ShuffleはなぜAppleでは作れて、
なぜソニーにできなかったのか。
少し考えてみれば判る。
液晶がなく、聴きたい曲を選ぶことができず、
低音を強調するベースブーストモードも、
電車に乗るときに
かしゃかしゃいわないトレインモードもない。
これは、ソニーには作れない。
しかし、これらはすべて不要だ。


iPod Shuffleが象徴するもの。それは
記録された音楽が、不可視なものになったこと。
かつて、記録された音楽は、レコードという質量を伴う実体を持ち、
カセットテープという実体を持ち、CDという実体を持ち、
MDという実体を持っていた。
しかし、iPod Shuffleには、1Gという曲(200曲とか?)が入ってるのに、
ガム程度の重さ。しかもデータはMP3でシリコンのメモリーによ見込まれ
もはや質量を持たない。

質量のない「レコード」は、今後どう流通するのか。
もはやCD屋では無理だろう。
ネット経由でのデータ配信で購入するのか。
そのとき、レコードジャケットというものは、
ついに終焉するのか。

iPod Shuffleが象徴するもの。それは
音楽再生機の極北。
これ以上シンプルにすることはできないのでは、と思わされる。
僕はMacintoshを初めて買ったときと同じぐらい、
セクシーなデバイスに出逢った興奮を感じている。
音楽全体にとって、それが吉と出るか、
凶と出るかはわからないが。