PWM波形をそのまま線路に流すと電気ギャップの付近で
列車の速度が低下し、演出上良くないのでPWM波形の平滑化を
する回路の設計に取り組んでいる。
この回路にはコンデンサー+抵抗を使ったCRローパス・フィルタ
というものが使えそうだ。今回はコンデンサーと抵抗の値と列車の
挙動の関係を考えてみる。
コンデンサー+抵抗の値はokawa-denshiさんの
「CRローパス・フィルタPWM計算ツール」を利用させていただき
波形の計算シミュレーションをした。
まずは波形の立ち上がり時間を決めよう。
http://sim.okawa-denshi.jp/PWMtool.php
結果:
抵抗10kΩ、コンデンサ10μFのときは立ち上がり時間は0.2秒
抵抗47kΩ、コンデンサ10μFのときは立ち上がり時間は1.1秒
抵抗10kΩ、コンデンサ100μFのときは立ち上がり時間は2.3秒
抵抗47kΩ、コンデンサ100μFのときは立ち上がり時間は10.0秒
これらの値が設計の目安になりそうだ。
立ち上がり時間は長いほど列車の速度変化がゆっくり変化するので
スムーズな加減速をコマンド一発で表現できる。いわゆる電車の
運転席の加減速ノッチを疑似表現したいなら立ち上がり時間が長い値
にすればよい。
作った波形はモータードライバTA7291のVref端子に入れることで
モータードライバ出力電圧(=列車の速度)の調整に使えるはずだ。
これで電気ギャップの乗り越えがスムーズになる。
課題が1つある。PWM波形を線路に流すのをやめるので低速走行
ができなくなることが予想されることだ。以下に詳しい説明をする。
PWMの周波数が1000Hzより高いと列車に加える電圧の波形は安定する
ので、直流での制御に近くなる。直流での列車の速度制御のときは
低速での走行がやりにくく、停止状態からいきなり高速で出発して
しまう現象があることが予想できる。
列車のモーターの性質を考えるとこれは仕方のないことだ。
そこでPWMの周波数を10Hz前後に極端に低くして意図的にギザギザの波形を
作りだし、それを列車に与えてやることによって低速での走行を演出できるかも
しれない。(この状態で電気ギャップ区間に入ると当然PWMのときと同じような
欠点が再現する)
どのくらいのPWMの周波数やDuty比がどのくらいで実現できるか実験を
これから繰り返さなければならないよ。