しばらくぶりに真栄口から白旗山を歩く。
木の伐採のためか除雪車が入っているらしく、林道は雪が融けかかっているようだ。ところどころふきのとうが顔を出している。
そのふきのとうを採る人たちであろうか、何台かの車が停まっていた。
中央峠をこえて、自衛隊の演習場付近に向かう。このあたりは夏でもほとんど歩く人のいない領域である。今も白一面の世界であり、無造作に歩くと腐れ雪で長靴でも埋まってしまう。
西山苗園あたりから「モーゼ岩」を目指す。強い春の陽射しは、岩の上を温めてくれていた。ここからは、屹立する恵庭岳、たおやかな漁岳、そして空沼岳から札幌岳の美しいホワイトラインが続く。無意根山はまだまだ白く、その輝きは他を圧倒するようだ。
登山者は自分しかいない。こういうときこそ、注意力を絶やしてはいけないのだが、苗園の複雑な回廊をぼんやりと歩き、最短距離で戻ろうとしていたにもかかわらず、うっかり山部川へ続く林道へ下ってしまう。
常々歩いているところだからと、注意力が散漫になっていたようだ。また、冬の情景は葉が生い茂っている夏とは違い判断を迷わす。
あとで地形図を見ると、どの場所で判断ミスをしたのか一目瞭然である。また、そのとき感じた違和感をきちんとすくいとっていくことが必要であろう。
山の事故なんて、意外と単純な判断ミスが大きな問題を招くのだ。
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