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中国と日本のぶらぶら街歩き日記です。2024年5月からは東京から発信します

紫禁城 武英殿浴徳堂

2024-02-15 | 北京を歩く
故宮の武英殿の一角に、浴徳堂という小さなお堂があります。



ここは乾隆帝が香妃のために作ったドーム状になったイスラム様式の浴室でした。

香妃は兆恵将軍がウイグルでとらえて捕虜にしたジュンガルの英雄・ホージャ・ジハーンの妻でした。

紫禁城に連れてこられた香妃を見た乾隆帝は一目惚れします。当時香妃は27歳、乾隆帝は50歳でした。乾隆帝は香妃を側室に指名しますが、香妃は乾隆帝の求愛に答えません。

なにしろ乾隆帝は自分の国だったジュンガルを滅ぼし、夫の命を奪った人物を殺した人物です。怨嗟にたぎっていました。

そこで乾隆帝はお気に入りの香妃の気を引くために故郷を思い出してくれるだろうとこの浴室を作らせました。

しかし、香妃は一度もこの浴室を使うこともなく、8年におよぶ乾隆帝の求愛に最後まで答えることなく自分の意志を貫き、死を望み、短い一生を終えます。
あれだけ絶大な権力を誇った乾隆帝ですが、決して人の心までは奪い取ることができなかったと。



このエピソードは小説「蒼穹の昴」で描かれています。

それにしても、乾隆帝はなんでこんな外朝のはずれの方に浴室を作ったのでしょうか。生活空間だった内廷からはだいぶ離れています。歩けば10分以上かかりそうです。

ひょっとしたら香妃が浴室を使わなかった理由は遠すぎたからでしょうか。せっかく温まっても湯冷めしてしまうじゃないかと。
いや、まさかそんな理由ではありませんね。香妃を住まわせていたのはこの辺りだったのかもしれません。

残念ながら浴室は非公開になっていました。改修中でしょうか。



紫禁城の中でも非常にミステリアスな宮殿のひとつです。
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