メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

マスネ「タイス」(メトロポリタン)

2012-02-14 15:29:39 | インポート
マスネ 歌劇「タイス」(Thais)
指揮:ヘスス・ロペス=コボス、演出:ジョン・コックス
ルネ・フレミング(タイス)、トーマス・ハンプソン(アタナエル)、ミヒャエル・シャーデ(ニシアス)
2008年12月20日 ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場  2012年2月WOWOW放送録画
  
マスネの「瞑想曲」は聴けばだれでもこれか、というくらい知れわたっている。しかし、この曲がこういうオペラの中の一曲であることを私も知らなかったし、知っていたとしてもこのオペラを見ることはそんなにないだろう。事実この上演はメトにとっても約40年ぶりだったようだ。
 
とはいえ、こうやって見せてもらえば、これはなかなか聴く楽しみをもった作品である。
タイスはアレクサンドリアの娼婦にして社交界の中心、ということはヴェルディ「椿姫」の主人公のようなものか。それを熱烈な信仰心を持つ修道僧アタナエルが回心させようと、嘗ての友人ニシアスに囲われているタイスに会いに行く。いろいろあった末にそれは成功し、修道院に連れて行くがそのあと、、、
という話である。その回心と最後のドラマチックな展開に重要な役割を果たすのがこの「瞑想曲」のメロディー。ヴァイオリンの独奏パートが目立つコンサートマスターが拍手にこたえるというのもオペラでは珍しい。
 
主役の二人は充分楽しませてくれる。フレミングはいまやメトの顔みたいなもの、妖艶といううには少し愛らしさが残っているけれど歌は申し分なく、ハンプソン(バリトン)は長身もあわせ役にぴったりである。
 
調べてみるとマスネ(1842-1912) 1894年の作品で、オーケストラの音は想像したより分厚く、充実感があった。世紀末の作品といえばそうかもしれない。
歌詞はフランス語、かなり乗りはよく、キーになる単語はよくききとれる。
 
指揮のロペス=コボスは場数踏んだ人だからこういうものは慣れているのだろう。
 
こうして次々と「どんなオペラ?」という疑問にこたえてくれるのはありがたい。

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ソーシャル・ネットワーク

2012-02-13 10:35:57 | 映画
ソーシャル・ネットワーク (The Sosial Network 、2010年米、120分)
監督:デヴィッド・フィンチャー、原作:ベン・メズリック、脚本:アーロン・ソーキン
ジェシー・アイゼンバーグ(マーク・ザッカ―バーグ)、アンドリュー・ガーフィールド(エドゥアルド・サベリン)、ジャスティン・ティンバーレーク(ショーン・パーカー)、アーミー・ハマー(キャメロン&タイラー(双子)・ウインクルボス)、ルーニー・マーラ(エリカ)
 
SNSの世界標準に上り詰めた感があるフェイスブックを作ったマーク・ザッカ―バーグとその周辺の物語。実名でザッカ―バーグやナップスターのショーン・パーカーが登場する映画がもう出てくるというのは、まさに現代のスピードというほかない。
 
結果としてポジティブな評価も多いこのフェイスブックであるが、その成り立ちの物語については、監督のフィンチャーはさめた目で見ている。
不純な動機で作ってしまったものがとてつもなく大きくなっていくが、その過程でパクられた、共同経営での行き違いなどから訴訟になり、そのやり取りと立上げ時の話が交互に、しかもマークのとてつもなく早いしゃべりとともに、次から次へと出てくる。
 
いらいらしてくるけれど、場面変換のタイミングが巧妙なのか、ビデオで見ていてもあまり途中で止まらずに見てしまった。
しかし監督に感心するのはそれだけ、世界に影響を与えたわりには、主人公たちのどたばたはどうでもいい話である。最後はどれだけ儲かるかと功名心。
 
こうなると、アメリカは不動産、金融バブル崩壊のあと、こっちで崩壊するのではないか。
こういう人たちは天才ではない。たまたま気の利いたアイデアが、いいタイミングで出てきて、それに投資がむらがり、大きくなっただけである。
 
アカデミー賞でどうだったかということに惑わされるつもりはないが、確か昨年は相当前評判が高かったにもかかわらず、主なところは「英国王のスピーチ」に持って行かれた。それでよかったと思う。

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ナチュラル・ウーマンを歌う

2012-02-12 10:23:57 | 音楽一般
昨日、2月11日(土)、3年ほど前からヴォーカルを習っている音楽教室の発表会あり、そこで「ナチュラル・ウーマン」(You Make Me Feel Like A Natural Woman)を歌った。キャロル・キングの作曲。
場所は新装なったヤマハ銀座で、ホールではなく地下にあるスタジオ。スタジオといっても小さい舞台があり、100人ほど収容できる。
 
一昨年の発表会(北沢タウンホール)で歌ったのも、同じキャロル・キングの「So Far Away」で、両方とも名アルバム「Tapestry」に収められている。こっちはロッド・スチュアートなどもカヴァーしているけれど、ナチュラル・ウーマンはやはりというか、男性がカヴァーしているのは知らない。
 
それでも3か月ほど練習しているうちに、男の曲に読みかえるなどという意識は必要なくなってきたから、歌というのは不思議なものだ。
 
バックはキーボードに生徒の方(会ったのはリハーサルが初めて)にはいってもらい、その場に居合わせたアコースティック・ギター講師の方が、そのときのアイデアで加わってくださった。
本番は、キーボード左手のリズムを中心に聴きながら、なんとか、まずまず。
 
このスタジオは壁面を見るとよくわかるけれど、相当デッドだから、ロックのような大音量の曲でも、客席で各楽器が明瞭に聴き取ることができる。ヤマハがヤマハでやるわけだから、PAの調整も万全だろう。
 
ところで、どうもこのアップは500回目のようだ。このブログをはじめた時は、とりあえず1年100回ペースを3年は続けるというつもりだった。それはクリアし、その後ペースはやや落ちたものの6年弱で500回。長く続けばいいというわけではないが、これもまずまずというところだろうか。
 
書き出したときから、身辺雑記でなく、見たもの、聴いたもの、読んだものについて書くことを中心にしてきたにもかかわらず、自分で歌ったということが500回目というのは面白い。鑑賞ばかりでなく、自ら動いて何かやるのが面白い、ということかもしれない。

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エリオット・アーウィット写真展

2012-02-09 10:35:49 | 美術
ELLIOT ERWITT  PARIS SERA TOUJOURS PARIS!
シャネル・ネクサス・ホール  2月3日(金)~2月29日(水)
 
写真家エリオット・アーウィット(1928-)については何も知らず、知人からこの展覧会をすすめられて、作品を初めて見た。
マグナム同人でライカということはきいていたが、見始めると肩の力は抜けてきて、同じライカでも木村伊兵衛に比べもっとソフトフォーカス、最近まで50年近くの作風もそんなに変化がない。
 
そこがなごむといえばそう、物足りないといえばそう、最後のところで上映していた本人が語るビデオを見ると、楽しんでしかけを作っているようでもあり、確信犯という感じである。
 
このモノクロ写真、レンズ、絞り、フィルムはどんなものを使っているのだろうか。そんなに感度が高くなくて、そんなに絞ってないような気がするが。
 
シャネル銀座ビル4階にあるこのホール、コンサートや展覧会など様々な企画があるようで、特に今回のような写真展にはちょうどよい大きさである。

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