メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

モネ・ゲーム

2014-11-18 09:51:52 | 映画
モネ・ゲーム (GAMBIT、2012米、90分)
監督:マイケル・ホフマン、脚本:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
コリン・ファース、キャメロン・ディアス、アラン・リックマン、トム・コートネイ、伊川東吾
 

これは「泥棒貴族」(1960年、シャーリー・マクレーン、マイケル・ケイン)をもとにしているらしい。金持ち実業家(アラン・リックマン)の美術アドバイザー(コリン・ファース)が、普段コケにされている腹いせに、少佐と呼ばれる贋作の名人(トム・コートネイ)にモネの「積み藁」のペア作品(夕方版)をでっちあげさせ、もとの本物(朝の情景)?を持っている金持ちをだまそうと、テキサスの金持ちのじゃじゃ馬娘(キャメロン・ディアス)をひっぱり込んで、巧妙な話を展開していく。がしかし、、、というコメディ。
脚本はコーエン兄弟だからコン・ゲームとして期待したが、いま一つだったのは、監督のマイケル・ホフマンというひとが、上品なところをねらいすぎたのか。
 

キャストはコケにされる役をやらせたら天下一品、外見二枚目のファース、欲の本音がのぞくにやっとしたところがぴったりのリックマン、大好きな「ラブ・アクチュアリー」(2003、監督リチャード・カーチス)でもこの二人は見事にそれを見せていた。
キャメロン・ディアスという人はデビューがマスク、その後「メリーに首ったけ」、「マルコヴィッチの穴」など、見た目の美貌と一見おバカ風にしては随分幅の広い、本当は演技派?とも思わせる人で、この役も合うはずだが、やはり年齢か(このとき40)じゃじゃ馬だけど本当はまともかなと想像してしまう。
この3人、もっと可笑しさを出す演出でもよかったか。
少佐のトム・コートネイが映画の調子のバランスをうまくとっている。
 

中で、金持ちと事業契約を結び、しかもモネの絵を欲しがる日本人実業家(伊川東吾)たちとその通訳が、いかにも日本人を一時言われたイメージを強調した形で何度が出てくる。こういうのを見て以前な相当いやな気分になり、あっちの人達の無理解、誤解を与える一部の日本人たちに腹を立てたものだが、不思議なことに今回はそうでもなく、ただよくできたお笑いとして見てしまった。こっちの余裕が出てきたせいだろうか。伊川東吾というひと、俳優座出身で日本人で初めてロイヤル・シェイクスピア・カンパニーに所属したひとらしい。
 

なお金持ちのガーデン・パーティのバンドをバックにキャメロン・ディアスが歌うのだが、これがひどい音痴の設定。キャメロン・ディアスって、本当に音痴なのかもしれなくて、大好きな傑作「ベスト・フレンズ・ウェディング」(1997)でも食事の場面で「小さな祈り」(バート・バカラック)をひどい音痴で歌う。だから今回はそのパロディというか期待に応えてということかもしれない。ただ後者は下手にもかかわらずその一身さが感動をあたえるということになっていたが、今回それはない。

 

 

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