メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

桑原あい Somehow, Someday, Somewhere

2017-02-17 10:48:15 | 音楽一般
Somehow, Someday, Somewhere
桑原あい:ピアノ、 ウィル・リー(Will Lee):Electric Base、 スティーヴ・ガッド(Steve Gadd):Drums 
録音:2016年秋 ニューヨーク
 
桑原あい5枚目のアルバムで、これまで私が聴いているのはファーストと4枚目(2015)。今回は2013年の東京JAZZデビューの時から徐々に出来たコネクションでこのトリオでの録音になったようだ。日本のスタジオとはやはりちょっと雰囲気がちがい、クラシックというか落ち着いた響きのスタジオ録音である。
 
4枚目のアルバムから昨年12月のライヴまでの期間で、自作に加え、既存の素材を使った優れた結果が出てきたようだが、今回ここでそれをしっかりと受けとめることができた。
 
Somewhere(レナード・バーンステイン「ウェストサイド・ストーリー」)はライヴでも彼女の思い入れの強いトークとともによく弾かれる。今回はさらにしっとりとして完成度が高いものになっている。
 
Home(ミシェル・ペトルチアーニ)は作者本人より洗練され、説得力があるかもしれない。
 
アルバムの最後は The Back、これはライヴでよく紹介されるように彼女を励ましたあと去っていくクインシー・ジョーンズの背中からインスピレーションを得たものということだが、今回は本当に完成度が高いものになった感がある。長く残るだろう。
 
その他、ビル・エヴァンスのB Minor Waltzなども、ガッド、リーのサポートがうまくフィットしている。
 
こうして楽しんでいて気がついたのは、やはりサポート陣がこれまでと大きくちがうと、全体の印象にも変化があるということである。直接関係があるかどうかはわからないが、ガッドは私と同世代、リーは少し年下、これまで他のサポートで聴いた曲で比べると、いわゆるモダン・ジャズ時代のグルーヴ感により近いものがある。それは曲によっては心地よいのだが、逆に彼女のなんというか「現代音楽」的な音空間に果敢に飛び込み、それを広げていくといった感じが、今回は少ないように思える。
 
そんな中で自作のExtremely Loud But Incredibly Far は、彼女がライナーノートに「チャレンジ精神だけで作曲した」とあるように、これまで私が一番感じている良さがあらわれたもので、これが私と同世代のプレーヤーにまで伝わっているのはうれしい。
 
また森田悠介(Electric Base)、石若駿(Drums)とのトリオも聴きたくなってきた。



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