メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

草原の輝き

2017-12-14 09:21:40 | 映画
草原の輝き (SPLENDOR IN THE GRASS、1961米、124分)
監督:エリア・カザン、原作・脚本:ウィリアム・インジ
ウォーレン・ベイティ、ナタリー・ウッド
 
公開されたときの情報では、若い娘(ナタリー・ウッド)が高校の同級生(ウォーレン・ベイティ)とつきあっていて、彼の性的欲求にためらっているうちうまくいかなくなり、彼は別の娘と、、、という話だった。
 
今回見てみてそれは確かにそうだが、彼女のためらいは個人的な潔癖さというよりは、親の宗教的、道徳的なもの、また彼の家は裕福だから簡単に与えて遊び相手で終わるより最後に結婚まで持っていけというこれまた親の思惑など、という設定で、二人の周囲の家族などなどの、時代に翻弄される人生を扱っている。
 
時代は1925年ころから1930年あたり、禁酒法、大恐慌をはさんだ頃で、それでももう高校生が車に乗り、フットボール、パーティと、親世代の禁欲的なモラルと経済成長を反映した風俗が混在している。高校生の様がしばらく前のTVドラマシリーズ「GLEE」とほとんど同じなのには驚いた。
 
最後まで見れば、これは様々な人生の変遷を含んだ話になっていて、しかもインジの脚本はじっくり見せ、破綻なく進んでいく。この映画で唯一オスカー(脚本賞)を取ったのも不思議ではない。
 
予想したラストとは違っていたが、後味は悪くない。見終わってみれば、いい予定調和だろうか。これもある意味で「シェルブールの雨傘」に通じる。
 
あまりにもルックスがよすぎる主演の二人、さてと途中までは思ったが、最後まで見ると、演技も含めほぼ納得。
ナタリー・ウッドは何しろ「理由なき反抗」(1955)の後、これと同じ年に「ウェストサイド物語」もあって、一番売れていたころ。一方のウォーレン・ベイティはこれがデビューのようで、美男ぶりとシャーリー・マクレーンの弟というのが効いたのかもしれないが、その後の映画界にとっては幸いだったかもしれない。「ボニーとクライド/俺たちに明日はない」(1967)あたりから製作にも多くかかわった。

ベイティで印象的なのは、エリア・カザンがアカデミーの名誉賞をい受けた時、彼が赤狩りに協力していたとして会場が非難の嵐になったとき、彼が立ち上がってそれをなだめていたことである。なにしろ「レッズ」を製作したベイティである。いくら本作の監督の縁といっても、と思ったのだが、なにかもっと大きな考えがあったのだろう。
ベイティの映画で一番好きなのは「天国からきたチャンピオン」(1978)。


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