マーラー 交響曲第4番ト長調
アンドレ・プレヴィン指揮 ピッツバーグ交響楽団 エリー・アメリング(ソプラノ)
録音:1978年
アンドレ・プレヴィン唯一の正規録音によるマーラーで、日本で初の発売だそうである。多分そうだろう、私も記憶がない。
タワーレコードが数年前から、未発売やなかなか再発売されないが評価すべきと考えたものを、大手レコード会社とタイアップして、しかも平均1000円(1枚)で出しているものの一つである(これはEMIから)。
この1枚などは企画としてまさにコロンブスの卵だろう。マーラーというとロマン主義、表現主義、時代思潮など、とにかくその音楽のいわゆる「中身」に関心が向きがちで(乱暴ないいかただけれど)、そういう音楽と達者な指揮者プレヴィンというのは何かミスマッチという感じがしないでもないのだろう。それだから出されなかったか?
でも、聴いてみれば、これまでのあらゆる演奏とは異なって、明るいといえば明るい、明解、わかりやすいといえばそう。しかしだからといって、暗い情念がないからこの演奏は、、、ということは言えない。それは第4だからというのでもない。
聴いていくうちに、この音楽は元来このように書かれ、こうはっきりと演奏されるべきだったのではないのか。この演奏にじゅうぶん身をゆだねていいるのに気がつく。特に主旋律はもちろん低音部分がどの演奏よりもはっきり聴こえるのだが、これが音楽全体をむしろ明るくしている。
それまでマーラーを指揮するとはと思われていなくて、録音してみると評判になったケースに、随分昔ではジョン・バルビローリ、もう少し後ではオペラ専門という感じだったジェームズ・レヴァインがいる。この二人、そしてプレヴィン、皆ちがうけれども、細部を高い密度で弾く、マニエーレンとでもいうのだろうか、それは共通しているようだ。
とにかく、このプレヴィンが演奏していい結果を出しているということは、マーラーにとってむしろ名誉なことではないか。