メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

バレエ「オンディーヌ」

2011-04-14 22:37:58 | 舞台

バレエ「オンディーヌ」
作曲:ハンス・ウェルナー・ヘンツェ、振付:フレデリック・アシュトン
バリー・ワーズワース指揮ロンドン・コヴェントガーデン王立歌劇場管弦楽団
吉田都(オンディーヌ)、エドワード・ワトソン(貴公子パレモン)、ジェネシア・ロサート(ベルタ)、リッカルド・ケルヴェラ(地中海の王ティレニオ)、ゲーリー・エイビス(隠者)
2009年6月3日、6日、英国ロイヤル・バレエ公演
2011年3月19日 NHKBSハイビジョン放送 108分
 
初めて観るバレエ。オンディーヌ(ウンディーネ)は古くからある話で何人もの作家が題材としているらしいが、読んだことがあるのはジロドウの戯曲で、これと比べると登場人物の名前も少し違うし、話の筋はかなり単純化されている。
 
だからジロドウ作を読んだときには細かいところにも隠喩、暗喩など何かあるのかな、と構えていたが、今度はない。バレエを見せるにはその方がいいかもしれない。
 
パレモンがオンディーヌと出会う場面、これはかなり長い。そして二人一緒に航海に出るが前の婚約者ベルタも入り込んでいてオンディーヌにてこづった水夫達が彼女を海に放り出してしまう場面。パレモンとベルタの結婚と祝宴、そしてオンディーヌが登場し「死の接吻」。これらを吉田都を中心にたっぷり見せる。
 
したがってこのバレエの筋を理解するのはそれほど難しくはないが、退屈せずに楽しむには、かなりバレエの楽しさを知っていることが必要だろう。少なくとも私のレベルではちょっと足りない。
 
全体に、水の精、神話世界の舞台で、装置、衣装などもそのようにつまり「精」と「聖」になっており、唯一婚礼祝宴の場面だけが特に衣装が「俗」になっていて、むしろこれがきれいでほっとする。 
 
とはいえ、吉田都はこの水の精を演じて、先のジュリエットとは違う、人間の娘から女への変化とは違う、プロセスを納得させる演技で、当たり役と言われるだけのことはある。体重がないような動き、また軽い空気感とでもいったらいいか。「ロメオとジュリエット」より難しいかもしれない。
 
ヘンツェの音楽は、ぴたりをはまっているようだが、プロコフィエフに比べると、メロディーだけで耳に残るというところはなかった。


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