感情は強いときほど、即応するようになっています。なぜなら、そうしないと生き残れなかったからです。
ライオンが襲ってきたときに、恐怖の感情が湧いてくるのをじっと待ってから逃げていては生きていけません。
いとしの彼女と会えたらとっさに喜色満面にならなかったら、彼女に愛を疑われます。
それはそれで感情の生き残り戦略としてあっていいのですが、ここまで進化した社会では、うれしいことに、その戦略を使わねばならないことはあまりありません。強い感情を感じたときに、即応しなくとも、だいたい大丈夫な社会になりました。
上司に叱責されても殺されることはありません。大音響も、即座に死につながることはあまりありません。
そこで、やや強い感情にさらされたときに、即応せずに、一拍おくのです。とりわけ、怒りなどのネガティブな感情を感じたときには、1拍置いての対応は必須です。それによって、より妥当な状況認識ができますし、相手にもひるみをあたえる、状況をそれ以上に悪化させないことが期待できます。
子どもを叱るような状況を考えてみてください。悪さをする子どもにただちに叱るのではなく、一拍おくのです。それが余裕になって、より妥当な言動ができます。