かわたれどきの頁繰り (小野寺秀也)

読書の時間はたいてい明け方の3時から6時頃。読んだ本の印象メモ、展覧会の記憶、など。

原発を詠む(56)――朝日歌壇・俳壇から(2019年6月9日~8月4日)

2019年08月06日 | 鑑賞

朝日新聞への投稿短歌・俳句で「原発」、「原爆」に関連して詠まれたものを抜き書きした。

 

大震災八年を経て迷ひつつ「家屋解体申請」つひにポストへ
         (国立市)半杭螢子  (6/9 佐々木幸綱選)

「処理」なんて言うけど核の廃棄物押し込めておく他に術なし
         (岩手県)烏丸文麿  (6/16 馬場あき子選

白黒に衣服を正し捲(めく)るかな被爆者名簿の風通し作業
         (水戸市)檜山佳与子  (6/16 高野公彦選)

フクシマの被災地の帰還するひとと戻れないひとみずからの責任で
         (東京都)松崎哲夫  (6/23 馬場あき子選)

広島の惨は口では表せぬあらわせる人は黙して逝けり
         (アメリカ)大竹幾久子  (6/30 高野公彦選)

畑仕事止めて日陰で話するプラゴミのこと原発のこと
         (岐阜市)後藤進  (6/30 馬場あき子選)

「チョットコイ」と鳴く小綬鶏(こじゅけい)に誘われて林に入ればまだ積む汚染土
         (福島市)澤正宏  (7/7 馬場あき子、佐々木幸綱選)

下北の菜の花の咲く横浜の山の向うの村の原発
         (三沢市)遠藤知夫  (7/7 高野公彦選)

ノモンハンガダルカナルにインパールレイテオキナワヒロシマナガサキ
         (高知市)山本登  (7/14 馬場あき子選)

原爆をある日突然語り出し今は記憶に鍵かけし母
         (久留米市)塚本恭子  (7/14 佐々木幸綱選)

福島を逃れ八回の蝉しぐれ姉妹は京の丹後の言葉
         (綾部市)阪根瞳水  (7/21 永田和宏選)

さみだれにけぶる虚しき原発の炉心底ひに息潜むデブリ
         (茂原市)植田辰年  (7/21 馬場あき子選)

原発が争点六位の選挙でも線量ポストは律義に雨に
         (福島市)青木崇郎  (8/4 永田和宏選)

原発が都市生活と産業を人身御供に稼働続ける
         (川崎市)小島敦  (8/4 馬場あき子選)

はやぶさ2ほどの技術があってなおデブリ石には思いは届かず
         (郡山市)柴崎茂  (8/4 馬場あき子選)

 

折りくれしオバマの鶴よ原爆忌
         (東京都)朝田冬舟  (7/14 大串章選)

人間のかたちに死ねぬ原爆忌
         (成田市)神郡一成  (7/28 長谷川櫂選)

 

 

街歩きや山登り……徘徊の記録のブログ
山行・水行・書筺(小野寺秀也)

日々のささやかなことのブログ
ヌードルランチ、ときどき花と犬(小野寺秀也)

小野寺秀也のホームページ
ブリコラージュ@川内川前叢茅辺

 

 

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。