hiyamizu's blog

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伊岡瞬『祈り』を読む

2020年12月23日 | 読書2

 

伊岡瞬著『祈り』(文春文庫い107-1、2020年6月10日文藝春秋発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

東京になかなか馴染めない25歳の楓太(ふうた)は、ある日公園で信じられない光景を目にする。炊き出しのうどんを食べる中年男・春輝(はるてる)が箸を滑らせたその瞬間――。“田舎者”の劣等感を抱える若者と、“望まない力”を持つがゆえ暗い過去を背負って生きてきた中年男の人生が交錯するとき、心震える奇跡が起きる。   解説・杉江松恋

 

第一章は2014年。第一の主人公、アパレルメーカー「パサージュ」の営業職の宮本楓太は、いつも上司に叱られ、金がなくて、次のカード引き落とし日を心配している。東京都庁近くの新宿中央公園で仕事をサボっているとき、向かいのベンチの中年男(26年後の春輝)が落としたちくわ天が宙に浮いているところを目撃した。

 

第二章は1988年。もう一人の主人公、小5の大里春輝(はるてる)は岐阜県美濃市で理髪業の父・哲男と母・景子の長男で二つ年上の姉・秋恵がいる。ミニバスケのクラブチームに唯一の友人・小田尚彦がいる。出場選手選抜、いじめ、物を浮かせられる不思議な力により、春輝は尚彦の恨みをかってしまう。

 

自分の人生がついてないのは、他人が悪いと考える自分勝手で危なっかしい楓太と、納得いかないことも自分が引けばいいのだからと逃げてしまうじれったい春輝の人生がやがてからまってくる。
痩せて背が高く、黒いシャツと黒いスーツを着た迫力ある男・鶴巻と、ボランティアと共に富裕層相手の金融営業の新妻千穂と共に。

 

本書の杉江松恋による解説が「文藝春秋BOOKS」で全文読める。

 

初出は、『ひとりぼっちのあいつ』「別册文藝春秋」2011年11月号~2012年11月号で、単行本は2015年3月23日文藝春秋から刊行。『祈り』に改題、大幅加筆修正して文庫化。

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

問題に立ち向かわず、自分が楽な方向へ行く楓太、逃げまくる春輝の二人には、イライラしながら、著者の作戦に乗せられていると分かっていても読み進んでしまう。スカッとするキャラではないが、キャラが立っていると言ってもいいのだろう。。
鶴巻はいろいろな小説に出てくるかっこよいヤクザのイメージで普通と言える。千穂は最後の最後でって、そりゃないよって話なんじゃない。

 

最初の6章ほどは、ほぼ現在の楓太の話と、26年程前の春輝の話が交互に出てくるので、休み休み読んでいると混乱する。

 

伊岡瞬の略歴と既読本リスト

 

 

 

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