西荻の一欅庵(いっきょあん)で開催された西荻窪落語会の「古典廻し」を聞きに行った。
この会は8名の若手落語家(二つ目)の落語を、登録有形文化財の古民家で聴く集まりで、ほぼ月一で日曜日の昼に開催される。
参加者は20名ほどだろうか、大半が若い、といっても30代かと思われる女性で、おじいさんが若干混じる。満席だったので、おそらく予約で満杯だったのだろう。
今、若手による落語が女性に人気なのだそうだ。昔は二つ目の落語など寄席で付け足しのようにやっていただけだったが、今や、いろいろな場所でミニ寄席が開かれていて、若手にも場が与えられているようだ。貧乏長屋だけがすばらしい落語家の育つ場所ではない。
今回は柳亭小痴楽(りゅうてい・こちらく)と桂伸三(かつら・しんざ)が約30分づつ、各2話語った。
最初は、百人一首にある在原業平の和歌「ちはやふる 神代もきかず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは」に隠居がいい加減な解釈を加える『千早振る』を、短気で頑固だという伸三さんが演じた。
次が、行き倒れを同じ長屋の熊五郎だと八五郎が決めつける『粗忽長屋』を今人気の小痴楽が演じた。
中入りを置いて、次が、宿屋でどんちゃん騒ぎをする伊勢参り帰りの三人連れの隣の部屋になった侍が一計を講じる『宿屋仇』を伸三が演じた。怖そうな伸三が演じる仇討ちだと脅す侍の迫力が素晴らしい。
最後が、吉原でさんざ遊んだ男と共に、金を払ってくれるという叔母さんの家まで付いて行く『付き馬』を小痴楽が演じた。モテて、いかにも調子のよい男を(そのまま)演じた小痴楽の演技、さすが平成27年度NHK新人落語大賞決勝進出だ、ただのイケメンではない。
終演後、この登録有形文化財一欅庵(いっきょあん)の見学会が行われたが、それについては次回。