hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

山スキーと温泉

2010年03月24日 | 個人的記録

若い頃親しんだスポーツと言えば、夏はテニス、冬はスキー、春秋はゴルフだった。とくにスキーにははまり、シーズンになるのを待ちきれず、当時所沢にあった室内スキー場の開場日、11月1日に毎年駆けつけた。冬になると会社の階段を、ストックをついてスキーで滑る格好で降りて、イメージトレーニングしたものだ。スキー場でも朝早くからナイターまで滑りまくった。あのころは、シーズン中、合計20日以上、上越、志賀、蔵王や、八方などのスキー場で過ごした。

30歳も近くなり、どんな急なところでも、それなりに滑り降りることができるようになると、さすがにガツガツ滑らなくなった。朝遅く宿を出て、昼休みをたっぷり取り、3時ごろにはゲレンデ下の喫茶でのんびりするようになった。

そして、36年前、5月の連休の八甲田山での山スキーが独身最後のスキーとなった。友人と2人で八甲田山の麓の酸ヶ湯温泉に宿泊した。
朝9時ごろ宿を出て、スキーを担いで登り口から5月上旬でもまだ一面の雪景色の八甲田山へ登る。2時間くらい登ったところで、適当にこのあたりでよかろうとスキーを履いて滑り出す。ところどころにある立ち木を避けながら、滑る。表面だけが硬くウインドクラストしていて、強く踏込まないとテール(スキー板の後ろの部分)が落ちず、曲がれない。ジャンプしてドスンとばかり、雪を踏みつけて曲がる。2時間かけて登って、20分たらずで降りてきてしまうのだから、山登りのご褒美にスキーがついているようなものだ。午前中1本、午後1本がせいぜいで、4時ごろにはもう宿の温泉に入った。

江戸時代から湯治場として有名な酸ヶ湯温泉には、総ヒバ造り、160畳の広さの千人風呂があり、木造の高い天井の建物の中には、5種類の湯船がある。一番大きいのが、入口を入ってすぐのところの「ねつの湯」だ。当時は時間分けもない混浴だったのだが、女性は地元のお年寄りばかりで、たまに湯船の端の方に中年の女性が居ても、ガーゼ生地のじゅばんのようなものをはおっていた。

混浴とは言ってもどうせそんなものだろうと思っていたら、突然、女性の明るい声がした。振り返ると、長髪の男性と話しながら若い女性が湯船に近づいてくる。2人とも当時はやりのヒッピー風だった。女性は前をまったく隠さずあっけらかんと歩いてきて、湯船の縁に腰掛ける。ねつの湯の男性が一瞬凍りついた。
私はたまたま湯船の入口側に居たのだが、向こう側の湯船のへりにずらりと並ぶ男性陣がびっくりまなこで入ってくる女性を見た後、あわてて目をそらす。そして、だれもかれも、左右に目を泳がせてから、一瞬途中で女性を見て、またあわてて目をそらし、無関心をよそおう。私は、女性を見るより、向こう側の男性たちがそろって同じしぐさをするのを眺める方が面白かった。しかし、私も向こう側に居たならば、きっと彼らと同じことをしたと思う。そして、齢をかさね70に近づいた今だったら、「ウーン、やっぱり変わらないかな」。



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 藤田紘一郎「血液型の科学」... | トップ | 村上春樹「めくらやなぎと眠... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

個人的記録」カテゴリの最新記事