hiyamizu's blog

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「正しい戦争は本当にあるのか」を読んで

2006年05月13日 | 政治
藤原帰一東大教授の「正しい戦争は本当にあるのか」(ロッキング・オン発行)を読んだ。
その意見は全体的に賛成できるものであり、以下に要約する。
蛇足だが、「お金持ちのグローバリズム、貧乏人のナショナリズム」との指摘があるが、お金持ちは国家など越えている一方、今、ナショナリズムで燃えている世界中の多くの人々が貧乏人であるとの哀しい現実がある。日本のネット右翼も格差社会に沈む若者が多いのだろうか?

1.戦争に対する考え方
(1)正戦論:悪いやつが戦争を起こす。そのような政府は戦争で取り除かねばならない。
しかし、すべての侵略に立ち向かい、好戦的国家を排除することは難しい。東チモールなどを併合したインドネシア、北朝鮮、アフリカの独裁国など数が多すぎて、結局どこかの国が倒すことに決めた敵だけが倒されるという不公平が起こる。アメリカもイラクで手一杯。

(2)非戦の論理:経済統合が戦争を防ぐという考えと、市民の政府になれば自分が死ぬのはいやだし、税金が増えるのはいやで戦争はなくなるという考え方がある。

(3)国際政治のリアリズム:戦争はあくまで力関係であり正義とは関係なく自分のために戦争する。政府は自分達の欲望や利益を最大にしようとして行動している。勢力均衡しているときが平和。相手が正しかろうと何だろうと脅して攻められないようにしておけば、それが平和である。

2.国連主体での行動
おまわりさんが持つ暴力はおまわりさんが法に縛られているから許される。一国の国益援護としての軍事行動は規制が効かない。アメリカが世界の警察官ではアメリカの利益のための戦争になり、やくざになる。国際機構による制約の下で紛争に立ち向かうしかない。
コンゴやアフガニスタンなど地域紛争には国連が本腰入れて介入すべき。そんなに金も人もかからないで大きな効果がある。アフリカの貧乏国の人はテロリストにすらなれない。

3.日本国憲法
欧米やアジアでは日本の平和主義などなにも知らない。日本の軍事行動をおさえるものが日本国憲法と日米安保条約と考えられている。連合国はデモクラシーを守るために戦ったのだと考えられている。これがグローバル・スタンダード。
ブッシュが電話してきたから、攻め込まれるわけでもないのに、国連からの要請でもないのに、イラクに軍隊を送るのはおかしい。現憲法の枠組みをはずしたら、もっとおかしなことをやりだす。安保に反対しないし憲法も変えないというのが国民の多数。

4.その他
北朝鮮のように悪い国は内側から倒すのが望ましいし、いずれ倒れる。
お金持ちのグローバリズム、貧乏人のナショナリズム:グローバリゼーションは裸の資本主義だから、市場と競争が第一で富の再配分とか福祉とかは余分。セーフティ・ネットが奪われてしまう。
以上
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