hiyamizu's blog

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佐々木譲『警官の紋章』を読む

2019年11月24日 | 読書2

佐々木譲著『警官の紋章』(ハルキ文庫さ9-4、2010年5月18日角川春樹事務所発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

北海道警察は、洞爺湖サミットのための特別警備結団式を一週間後に控えていた。そのさなか、勤務中の警官が拳銃を所持したまま失踪。津久井卓は、その警官の追跡を命じられた。一方、過去の覚醒剤密輸入おとり捜査に疑惑を抱き、一人捜査を続ける佐伯宏一。そして結団式に出席する大臣の担当SPとなった小島百合。それぞれがお互いの任務のために、式典会場に向かうのだが…。『笑う警官』『警察庁から来た男』に続く、北海道警察シリーズ第三弾、待望の文庫化。 (解説・細谷正充)

 

ショッキングな場面で始まる。翌日公判で証言の予定の男が警察学校同期の友人に電話をかけ、公判には出ないと告げ、踏切内に車を止め、「やめろ!」と叫ぶ友を無視し、衝撃音を残し、自殺する。

大通署生活安全課の小島百合は女性のストーカーが別事件の婦女暴行犯であると判明し、女性を警護していたが、襲っていた犯人に小島は発砲し、犯人を確保。警備部警護課へ出向となり上野大臣の警護に選ばれる。

 

北見署地域課の日比野伸也の父親・一樹は踏切で自殺。父と警察学校の同期の宮木から父の墓前で真相を聞き、復讐のため、勤務中に制服姿・拳銃所持のまま姿をくらます。ライフル盗難事件も起こり、優良な警官・日比野はテロを起こそうとしているか、津久井は彼を追う。

 

シリーズ初めの「笑う警官」での郡司事件で、盗難車密輸と麻薬事件は道警のやらせだったのか、個人の暴走だったのか。密輸事件捜査を途中で外された佐伯は大した仕事もない中、解決済とされた事件をしつこく追及する。

 

二つの事件と上野麻里子大臣へのテロ予告が絡み合い、時はまさに洞爺湖サミットの直前、混乱は広がる。

 

主要人物

佐伯宏一:大通署刑事課。年齢40代。女性警官殺しの捜査責任を問われ、部下は、新宮昌樹一人だけ。つまらない仕事だけやらされる。

小島百合:年齢32歳前後。警備部警護課で上野大臣の警護に就く。

津久井卓:警察学校教官。かって女性警官殺害容疑で射殺命令を受けた。本部警務部に臨時異動し、洞爺湖サミット特別シフトで失踪した日比野巡査を捜索。

 

北海道警

日比野伸也:北見署地域課。堅物警官だった父親・一樹は自殺。一樹とは警察学校の同期の宮木から真相を聞いて復讐のため、勤務中に制服姿・拳銃所持のまま姿をくらます。

長谷川哲夫:警務一課主任。内部監察のベテラン。津久井と共に失踪した日比野を探す。

奥野康夫:道警本部長。

磯島浩一:警備部長。洞爺湖サミットが決まった時に警察庁から異動。

後藤淳平:警務部長。郡司事件の後、警察庁から送り込まれ、不祥事撲滅の陣頭指揮を執る。

須藤:道警本部銃器薬物対策課長。おとり捜査の特捜班の一員だった。

 

他県警他

服部:愛知県警刑事部捜査三課。佐伯が2年前に担当した四輪駆動車密輸事件を再捜査している。

酒井勇樹:警視庁警護課。上野大臣担当班のSP。相棒は成田亜由美

上野麻里子:サミット担当特命大臣。元ニュースキャスター。

加茂俊治:佐伯が釧路署の時の署長。定年退職後、実家のリンゴ農家。

五十嵐基:前道警本部長。現在は内閣情報官。

前島博信:盗難車のランドクルーザーを密輸出していた。北朝鮮による覚醒剤密輸事件で警察・検察に協力。

大島繁:地元の新聞社の記者。覚醒剤密輸事件を取材していた。

小松雄作:札幌の新聞社の記者。郡司事件を取材していた。

 

 

佐々木譲(ささき・じょう)
1950年札幌生まれ。

『鉄騎兵、跳んだ』でオール讀物新人賞、

『エトロフ発緊急電』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞、

『廃墟に乞う』で直木賞を受賞

他、『ベルリン飛行指令』、『ストックホルムの密使』、『愚か者の盟約』、『鷲と虎』、『屈折率』、『天下城』、『制服捜査』、『警官の血』、『北帰行』など。

 

本書は2008年12月単行本として刊行。

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

3つの謎を引っ張ったまま話は話が進むので読まされてしまう。キャラが強そうな佐伯と津久井がそれほど活躍しないので未読の「笑う警官」の方が面白いのではと思ってしまう。

道警シリーズ最初の「笑う警官」を先に読むべきだ。過去を知らなくても筋道は追えるが、やたらと○○は殺されたとか自殺したとか出てくると、気になる。それほど活躍しない佐伯や、かって射殺命令を受けた津久井への著者の思い入れにもついて行けない。

 

3つ事件があるせいもあり、登場人物が多すぎて、読むのに苦労する。

 

「警官の紋章を胸に刻んだ者と、警察官僚とのちがいがはっきりする。法のまっすぐな執行官たろうとする者と、法を超越しようとする人間との資質の差が明らかになる。」(p417)

ノンキャリアとキャリアの差はこれだけ? 両方ともに良き人はいるし、悪しき人もいる。単純にキャリアが悪の権化と書きすぎる。

 

「慄然(りつぜん)とした」

 

 

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