hiyamizu's blog

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今野敏『清明』を読む

2022年04月29日 | 読書2

 

今野敏著『清明(せいめい) 隠蔽捜査8』(2020年1月20日新潮社発行)を読んだ。

 

新潮社の宣伝文句

神奈川県警刑事部長に着任した異色の警察官僚・竜崎伸也。着任早々、県境で死体遺棄事件が発生、警視庁の面々と再会するが、どこかやりにくさを感じる。さらに被害者は中国人と判明、公安と中国という巨大な壁が立ちはだかる。一方、妻の冴子が交通事故を起こしたという一報が入り……。リスタートで益々スケールアップの第八弾!

 

死体が発見されたのは東京都だが、神奈川県と入り組んだところだった。警視庁に神奈川県警が協力する形で合同捜査本部が立つ。竜崎は捜査第一と考えるのだが、何かと下に見る警視庁への神奈川県警の反感は強い。

さらに秘密主義の公安が絡んできて、警察組織の内部の軋轢は厳しいが、竜崎は毅然として立ち向かう。

 

 

神奈川県警

竜崎伸也:神奈川県警刑事部長。キャリア。妻は冴子、長男は邦彦、長女は美紀。

佐藤実:神奈川県警本部長。竜崎の二期上。

阿久津参事官、板橋捜査一課長、

吉村公安部長、公安外事二課の神山と相葉

 

警視庁

伊丹刑事部長:竜崎の同期で幼馴染

田端捜査一課長

 

滝口:教習所所長、県警OB

山東喜一:手配師

楊宇軒(よううけん/ヤンユシェン):殺人被害者。36歳。本名は張浩然(ちょうこうぜん)

黄梓豪(おうしごう):通訳

呉博文:中華街の老舗店主

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め、 最大は五つ星)

 

警察というのは外部の目が届かない巨大な官僚組織で、内部摩擦が大きく、ひどく非効率な組織だということがはっきりと再認識できる。事件解決は本書の副テーマになり下がり、主テーマは警察の内部抗争、アナクロな仕事ぶりにあり、警察内部の闇を描くミステリーとも言える。
神奈川県警対警視庁、刑事部対公安、キャリア対ノンキャリの組織&個人間の確執・競争が具体例で繰り返し語られる。

 

その保守的な警察機構の中で、首を覚悟して筋を通し、上司、同僚、部下たちから変人扱いされる竜崎がかっこよく、あまりにも単純にかっこよすぎるほどに描かれる。楽しく読むにはラクチンなのだが、それ以上ではない。

 

 

 

今野敏の略歴と既読本リスト

 

 

華僑は中国籍あるいは中華民国籍をもったまま日本に住んでいる。帰化して日本国籍をもっていると華人。

晩唐の詩人の杜牧の詩(p207)

清明時節雨紛紛    清明(春)の季節、雨がしとしと降っていて、

路上行人欲斷魂    道行く私はひどく落ち込んできた

借問酒家何處有    どこか酒が飲めるところはないかと尋ねる。

牧童遙指杏花村    牛飼いの牧童に。彼ははるか向こうの杏の咲く村を指さす。

 

 

 

 

コメント
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