hiyamizu's blog

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和田秀樹『医者よ老人を殺すな!』を読む

2015年03月16日 | 読書2

 

和田秀樹著『医者よ老人を殺すな!』(2014年10月1日KKロングセラーズ発行)を読んだ。

 

表紙の裏にはこうある。

歳をとればとるほど、病院のお世話になる頻度は高くなる。ところが、皮肉なことに、歳をとればとるほど病院や医者を信用できなくなる。残念だが、これが日本の老年医療の現実なのである。これはもう二〇年も変わっていない。まず、このことを広く国民に知ってほしい。その上で、どうすれば自分の親の世代、そして自分を含めた家族を守っていけるのかを一緒に考えていきたい。(本文より)

 

 

老人の場合は血圧、特に最高血圧は多少高い方が良い。やたら下げると危険だ。80代になると女性の84%は骨粗しょう症になるのに、糖尿病やガンと同じレベルで病気だと騒ぐ必要はない。骨折につながる率もそう多くはない。

 

(私には、著者の専門の精神科の話の方が興味を引いた)

精神科には、「もう死にたいです」と訴える老人の患者がくることがあり、自殺するのではないかと心配する。しかし、こういうときは、本当に死にたいという気持ちのほかに、「死にたいくらいつらい気持ちを、誰かに聴いて欲しい」と強く訴えている・・・

 

せん妄が認知症と違うのは、症状が出っぱなしということはなく、時間がたってある程度落ち着いたり、原因となるものを取り除いてやると、元のレベルに戻ることである。

 

75歳くらいまではうつ病のほうが、認知症より多く、本人には認知症よりうつ病の方が苦しくつらい。老人うつ病の特徴的症状は、(1)腰痛など身体の不調をしきりに訴えてくる、(2)朝でなく夕方に調子が悪くなる、(3)睡眠のパターンが変わって不眠を訴える、(4)イライラとして落ち着かない、(5)食べることなど物事に対する興味を失う、(6)非現実的になり妄想にとらわれる、(7)記憶障害が出て認知症と誤診されやすい。

 

 

 本書は、1996年4月に出版された「老人を殺すな ! 」の全面改訂版。

 

 

私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

全体として、老人の気持ち、傾向をよくとらえ、表現されている。最近ではいろいろなところで指摘されていることが多いが、一人の対象者として納得である。

 

前半に、大学の老人学の教授への批判が並ぶ。私にはその是非は分からないが、読者の知りたいところではないだろう。言うべき場所を間違えている。著者はさんざん言ったが聞き入れないのでと書いているが、だからと言って一般向けの本に書いても不安をあおるだけだ。

 

本書の内容は、

  • 大学病院の老人の専門家と称する教授は少しもわかっていない
  • 間違いだらけの老年医学として、血圧や血糖値の下げ過ぎなど具体例の指摘
  • 老人の心の病

などであるが、浴風会病院などで実際に高齢の老人を診た経験からの意見が多い。データに幅広さなどに疑問もあり、通説への逆説として強引さもみられるので、どの程度信頼できるのかは私には判断できない。

 

 

和田秀樹(わだ・ひでき)
1960年大阪生まれ。東京大学医学部卒。
東京大学精神神経科助手、アメリカ・カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、浴風会病院精神科などを経て、現在は精神科医、国際医療福祉大学大学院教授、和田秀樹こころと体のクリニック院長。緑鐵受験指導ゼミナール代表。2007年には劇映画の初監督作品『受験のシンデレラ』でモナコ国際映画祭最優秀作品賞を受賞

著書:『震災トラウマ』、『「「がまん」するから老化する』、『こころの強い男の子の育て方』。

その他、『心と向き合う臨床心理学富裕層が日本をだめにした!精神科医は信用できるか-心のかかりつけ医の見つけ方- 困った老人と上手につきあう方法

中川恵一、養老孟司、和田秀樹著『命と向き合う - 老いと日本人とがんの壁 - 』

 

 

 

 

 

 

 

 

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