hiyamizu's blog

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ジェイムズ・P・ホーガン『星を継ぐもの』を読む

2011年05月03日 | 読書2
ジェイムズ・P・ホーガン著、池 央耿訳『星を継ぐもの』』(Inherit the Stars)1980年5月東京創元社発行、を読んだ。

時は2020年、月面で真紅の宇宙服をまとった明らかに人間である死体が発見される。調査の結果、人類と同じ遺伝子情報を持つ死体は死後5万年が経過していることがわかる。果たして現代の人類との関係は? さらに木星の衛星ガニメデで地球のものではない宇宙船の残骸が発見された。
J・P・ホーガンがデビュー作で一気に現代ハードSFの巨星となった傑作。

SFの中でも、科学的論理に重きをおいた「ハードSF」の代表作とされる。1977年に発表され、1980年に邦訳が刊行されると爆発的なヒットとなり、翌年の星雲賞海外長編部門を受賞。以来読み継がれ、2009年には創元SF文庫を代表する一冊に選ばれた。

続編も2冊ある。



ジェイムズ・パトリック・ホーガン(James Patrick Hogan、1941年 - 2010年)
イギリス、ロンドン生まれ。
本作「星を継ぐもの(Inherit the Stars)」、続編「ガニメデの優しい巨人たち(The Gentle Giants of Ganymede)」、完結編「巨人たちの星」。
「造物主の掟(Code of the Lifemaker)」「造物主の選択(The Immortality Option)」などの「ライフメーカー」シリーズなどハードSFの巨匠。
1983年に「断絶への航海(Voyage from Yesteryear)」、1993年に「マルチプレックス・マン(The Multiplex Man)」でプロメテウス賞を受賞。日本でもSF作品を対象に送られる星雲賞を(1981年「星を継ぐもの」、1982年「創世紀機械(The Genesis Machine)」、1994年「内なる宇宙(Entoverse)」)と3度受賞。



私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

全世界から集められた生物学、言語学、数学や機械工学などの学者が、それぞれさまざまな仮説を立て論争し、検証を重ね、徐々に真実があきらかになっていく。科学者たちのディスカッションなどその過程がかなりな部分を占め、さまざまな科学的知見が披露される。最初の100ページ弱は専門用語のオンパレードだが、リアリティある論理、論争は現実感があり、わかりやすい。

本書は30年以上前に執筆されており、科学技術に関する記述が多少古いのはいたしかたない。宇宙物理に関してはそれほど古さを感じないが、IT関係は時代がかっている。著者は長年コンピュータのセールスマンだったようで、作中DECのミニコンやIBMの大型コンピュータが出てくるが、この分野の進歩は早いので、今昔の感がある。



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