知らなかった。想像した事が無かった。
殿の幼き頃、また、沢彦様との出逢い。
殿の今が、過去にあった。
知りたくない事もあった…生駒の事。
初めて知って、良かった過去もある。
それに、沢彦様の事も誤解していた。
「御抹茶…美味しゅうございました」
今までの非礼と無礼に、更なる感謝を込めて、御抹茶の礼に頭を下げたら、
沢彦「これから、苦労をなさりましょう。若をお頼み致すぞ」
帰蝶「苦労前に、その御命落とす事無きよう頼みますよ。一人で殿の面倒見るのは嫌じゃ」
沢彦「かははっ。戦坊主はあくまで供養。殺生致しませぬ」
説法が終わり、飲み干した御茶を、
サッと片付け、
帰蝶「お手伝い致します」
沢彦「姫様の御手を汚す訳には…」
帰蝶「汚れたら洗えばよいのだな?」
茶碗を洗いつつ、
「茶の湯は身分皆無。それが、無…禅の教え」
沢彦「よう勉強しておられますな…仏の事」
二人で茶の湯の道具を片付けて、
片付けながら、こんな話をした。
帰蝶「知りたかったのです。殿の事…」
いつぞや殿が、眉間にしわを寄せ、無という文字一点、睨んでいた。
ムムッと目を細めて、殿の御顔をマネして見せた。
「次の瞬間、“無”を逆さにして、笑ったのです」
沢彦「無に非ず…と」
帰蝶「はい。何か意味があると思いました。それが知りたくて…」
沢彦「ここからこっそりくすねた経典でお勉強しておられたのでございますな」
帰蝶「こっそりくすねてとは、無礼な物の言い。一時、拝借したのです…て?」
沢彦「若が、喜んでおりました」
殿の幼き頃、また、沢彦様との出逢い。
殿の今が、過去にあった。
知りたくない事もあった…生駒の事。
初めて知って、良かった過去もある。
それに、沢彦様の事も誤解していた。
「御抹茶…美味しゅうございました」
今までの非礼と無礼に、更なる感謝を込めて、御抹茶の礼に頭を下げたら、
沢彦「これから、苦労をなさりましょう。若をお頼み致すぞ」
帰蝶「苦労前に、その御命落とす事無きよう頼みますよ。一人で殿の面倒見るのは嫌じゃ」
沢彦「かははっ。戦坊主はあくまで供養。殺生致しませぬ」
説法が終わり、飲み干した御茶を、
サッと片付け、
帰蝶「お手伝い致します」
沢彦「姫様の御手を汚す訳には…」
帰蝶「汚れたら洗えばよいのだな?」
茶碗を洗いつつ、
「茶の湯は身分皆無。それが、無…禅の教え」
沢彦「よう勉強しておられますな…仏の事」
二人で茶の湯の道具を片付けて、
片付けながら、こんな話をした。
帰蝶「知りたかったのです。殿の事…」
いつぞや殿が、眉間にしわを寄せ、無という文字一点、睨んでいた。
ムムッと目を細めて、殿の御顔をマネして見せた。
「次の瞬間、“無”を逆さにして、笑ったのです」
沢彦「無に非ず…と」
帰蝶「はい。何か意味があると思いました。それが知りたくて…」
沢彦「ここからこっそりくすねた経典でお勉強しておられたのでございますな」
帰蝶「こっそりくすねてとは、無礼な物の言い。一時、拝借したのです…て?」
沢彦「若が、喜んでおりました」