ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

陰陽師の生みの親

2010-11-09 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
夜中に松尾らと裸足でミーティングしてたし、もうそんなどろんちょ、構っちゃいない。
義経「すみませーん、頼みがあるんだ。息子が風邪っ気で葛湯なんか作って欲しいんだけど、いいかな」と胸で合掌、拝み倒して頼み込んだ。
女将「息子のために、裸足で…」泣かせるねぇ、この子(←義経)「…分かったわ。ちょっと待ってなさい」と居酒屋の厨房で湯を沸かし葛湯を作って、部屋まで運んでくれた。
なんと!風邪に利くという乾燥させた橙の皮を細かく切って入れて、甘くしてくれた。
義経「ありがとう、ほら、義隆、ありがとうは?」
義隆「ありがとうございます!これ美味しぃ」とそこへ山吹が愚図り始めて、
山吹「んぎゃんぎゃ、ひっく、んぎゃ…」と大きな声で泣きそうになったから
義経「おっと。山吹、静かにな(隣の連中が起きて、醜態がバレると恥ずかしいから)」と山吹の口を「あわわわぁ」と慌てて手を当てて、高い高いしてあやした。もう必死で。
そんな義経のイクメン姿と夜中に与えたと思われる重湯の食べ残しをじっと見て、
女将「ホロッ」と心に利いて大粒の涙をポトリと落とした。そういうや、前夫もそうだったのかもしれない…、とおぉーいとぉーーーーい過去を思い出したらしい。
義経「お、おい。どうした?」と涙の意味と過去の深い事情が分からず、戸惑っていると、
女将「実は、昔(かれこれ250年程前)、身分の高い方の子を宿し…」と昔話を始めた。我が子をこの手で育てたかった…。しかし、何分随分身分と生きる世界と次元と種族が違うもんで一緒になれず…うぅ、ううぅ(嗚咽です)…丁度、あんたの子と同じ位かな。その子が5歳なった時、ここに移り住んだのさ。わが子恋しくとも…運命と血と種族には逆らえない。
義経「住む世界?次元??種族???(人間界以外の世界か?3次元以降の人か?人間以外の種族って火星人か?)…わかんねぇけど深い事情がありそうだな。そっか…辛い過去を思い出させちまってすまない」ってなんで俺が謝ってるんだか分からんが、謝っておいた。
女将「あんた、優しいねぇ。そうだ、子供の面倒見ててあげるから、温泉入ってきな。足…」
義経「あ!」どろんちょ…で、畳みに足跡が付いてる。
というわけで、義隆と山吹は女将の洞窟で面倒見てもらうことになり「じゃ、すぐに足洗ってくるから、いい子にしてろよ。義隆!」と風呂に向った。温泉には松尾らも居て合流し、一緒に泥から足を洗ってさっぱりし、義隆らを預かってもらっている洞窟を潜った。ら!?
義経「あ!」と思ったのは、すんごい乱闘の跡で店内めちゃくちゃになっていたからで、
松尾・河合「い!?」と大きな口が塞がらなかったのは、ボッコボコにされ伸びきった状態の弁慶と富樫を発見したからだった。

風邪の気配

2010-11-08 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
刀は所有者を選び、名と役目を改めるという事から『膝丸→蜘蛛切丸→吼丸(こんまる、または、ほえまる)』となっていた。
湛増さんから受け取った時、その刀がそんなこえぇ妖刀と知らず、むっちゃ喜んで熊野の初夏の風景からこんな歌を詠んだ。
熊野より春の山分けて出でたり、
夏山は緑も深く、春薄かるらん
されば春の山を分け出でたれば、薄緑と名附けたり、っと『平家物語 剣巻』より一部抜粋。
これが刀の名を「薄縁(うすみどり、または、うすべり)」と改名した経緯だが、短刀を得た後、平家の残党が何名か俺の味方に付いたのが不思議だった。が!?そのドサクサに紛れて頼朝のスパイもわんさか付いて来て、誰が味方?で誰のスパイ?か分からん状態になった。
義経「善い事が起これば、悪い事も同時に身を潜めてやってくるもんだな…」
それはいいとして、刀の使用者が源 頼光の時、妖怪 土蜘蛛八十女(やそめ)を鎮圧にしたとされるが、妖怪ってほんとにおるん?とその疑いの目を向けた。が…所詮、刀。なんか反応示したら怖えぇ。その八十女の怨霊が刀に具わっていると考えるしかないだろう。
ふいにお空を見て、蜘蛛の巣が朝露に濡れて、キラキラ光っているのを「きれいだなぁ」と思ったけど、ブルッと震えたから「風が冷てぇ」と思った所へ、
義隆「クッシュン…」とクシャミをして目覚めた義隆。その様子を見て、
義経「ん?顔、熱っぽいな…」とおでこに手を当てて体温を測った。昨夜、コテンって寝たのは風邪気のせいかと「チッ」と舌打ちした。風が運ぶ邪ウイルスが義隆の隙を狙ったか…。
山吹に気をとられて義隆に気を配れなかった…と己の配慮の足りなさ、未熟さに胎が立った。
自分に対する舌打ち(苛立ち)だが、そんな舌打ちで風邪は治らん。お注射も打てん。風邪のひき始め、初期症状が出てるな…と隣の部屋の戸のスーと開けて、佐藤の妻ら、サブロク妻ら及び牛のおっさんをと見た。が、「ゲッ!?これは…」あまりにもひどい醜態と酒気だと思い、速やかにパタンと戸を閉めた。皆さんに口頭で公開できる状態ではなく、ご想像にお任せいたします状態で臭気を遮断したまでだ。しばらく、この部屋は封印だ。
後から首謀者らに掃除させることにする。
さてさて、瑠璃らは?と耳を済ませてみても、起きた気配がない。
はてはて、松尾らは?と替えの浴衣がないことから風呂だなと思い、どうするかなぁと呆然と遠くを見ていたら、向こうの洞窟から一人の女が出て来て、暖簾を片していた。
義経「あ!」居酒屋の女将か!丁度いい!と女将さんの所へ何も気にせず裸足で駆け出した。

妖刀 蜘蛛切丸

2010-11-07 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
河合「…そうらしいけど俺は優しい妾がいいなぁ(独身)」
義経「しくじったら投げ飛ばされるのか?巴投げ?」
松尾「飛ばすもんが違う」あの女、薙刀の名手だ。巴型の薙刀で…、
義経「首と胴がバラッバラだな」と手刀で首がチョンと切れた真似をした。「頑張れよ、隠密!じゃ、厨房行って重湯※作ってくるから、山吹、見てて」と厨房で重湯作っている間、あれれ?巴って三姉妹なん?と首を傾げた。「ま、いいか、後から繭子に聞いてみよっ♪」って鼻歌交じりに重湯作って、山吹に飲ませて、あやして寝た。ぐっすり親子で。
※重湯…母乳の代用。水分と澱粉で消化吸収が良く、糖分も効率良く補給できる流動食です。
それぞれの長い夜が明けて…
義経、起床はいっつも5時前後、お空を見て天気予報することから一日が始まる。
これが日課になったのは卜占師 郷が「朝、虫の知らせが聞けるのよ♪」と言っていたから、
義経「俺も虫からのお知らせを聞かせてもらいたいな」って単純に思って、やり始めたことで習慣になっただけだが、そこらの虫やら蜘蛛らは何も語らなかったが、もし、なんか語って来たら、そりゃもう妖怪 土蜘蛛の類で怖ぇだろ。絶対ヤだ。話し掛けんなと正直思ってる。
昔、読んだ平家物語に源 頼光が伝説の兄弟刀の一つ『蜘蛛切(くもぎり)』で土蜘蛛一味を退治したと記されていたが、普通に人間だけを相手にしてくれよ、と素直に思った物語だった。
しかし、先日、かの有名なゲゲゲッの親父 水木しげるさんも妖怪の類がバックに付いてて勝手に漫画描かせてるって平気でテレビで言っていたし、肉眼で妖怪が確認できる人たちがいるんだぁ、へぇ、俺には関係ない世界だって思っていたけど、そういう妖怪の類らや鞍馬と直接お話しているからなぁ…とぶるるっと武者震いしたが、ただ「さみぃ」だけだった。
義経「今朝、冷え込んでいるな…放射冷却現象だ」山や丘の窪み、盆地周辺で強く出る現象で、雲は鏡の役割となり地熱電磁波を反射し地表を冷やす。その後、雲は晴れ、午後にはお天気だ。逃亡期間中はこうして空と雲を見ながら移動や潜伏を繰り返していた。
決して虫や蜘蛛の妖怪を見て移動や潜伏を決めていたわけじゃない。妖怪と友だちじゃねぇっし。能かなんかでは俺が狐になってる話があったが、俺は妖狐じゃねぇっし。肉眼で妖怪の類を目視できる眼力があったら卒倒昏倒を繰り返し、心の病に伏すなと、不意に懐から短刀 薄縁を取り出して、じーーーっと見た。
実は、その昔の伝説上の妖怪 土蜘蛛退治に使った妖刀がこれ(薄縁)なんだ。
一の谷の合戦前、熊野の坊さん=弁慶の親父 湛増(たんぞう)さんから譲り受けたものだが、源氏代々の名刀で熊野山の熊野権現に奉納された刀で、昔の昔、蜘蛛切丸という名だった。

狸の実態

2010-11-06 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
松尾「ははっ。おれら、狸かよ」失礼な奴だな。
義経「大正解で上手い表現だ。狸の習性を教えてやろうか?ペアを組んで活動し、ネコ科目でネコ目(夜目)が利く夜行性、妖怪狸は誤魔化し上手で、よく人を化かす。ドロンってな」
河合「まったぁ~、ひどい言われようだな」妖怪って。
義経「さて、本題に入ろう。おたくらのバックは桐生と、もう一つは何処だ?」
桐生に嫁いだ巴御前が“義隆”を狙ってるって話だが…。ただ引っかかるのはおたくらの日記。二人の日記を見比べてみたが、連るんで旅している割には日付が違う。どうしてだろう?
見せる相手が違うんじゃないのか?もう一方のバックがこれ(皆伝書)を狙ってるってか?
松尾「…」
義経「その狙いは?」って聞いても教えてくれないだろなぁ。
河合「…繭子の奴、狸寝入りを見越して薬仕込んだか」
義経「いや、そうとも限らん。敵を欺く時は味方からって言うじゃねぇか」
松尾「…それより、お前さんの狸寝入り、上手いもんだな」気が付かなかったぞ。
義経「ふっふん、元祖 狸親父が教えてくれたんだ、見込みがあるって♪そんな事より、あんたらの悪い癖だな。表に出していい隠密と隠すべき裏の隠密を使い分ける。ペロっと表(桐生)をしゃべっておいて裏の隠密をするって…。上手く巴を使いやがったな」
河合「元祖 狸親父って…(まっつぁんのことじゃねぇ?)」
松尾「なぁ…そろそろ山吹御前が愚図る頃じゃねぇの?イクメン(育児パパ)さん」
義経「ん?…山吹御前?」と訝しく思ったが、
河合「まぁまぁ。俺たちはあんたらの命を狙ってる訳じゃない。むしろ、死なれちゃ困る」
松尾「それになんだか物騒な話になってるな。その妖怪退治に助っ人が要るんじゃない?」
義経「…妖怪退治なんかできっかよ」人間相手で手一杯。妖怪は鞍馬で精一杯だ。
松尾「はいはい、刀から手を離そうや、怖くてしょうがねぇや」真剣に遣り合おうなんて思ってないだろ…と言い逃れ付きで第一回 深夜ミーティング with 伊賀忍はお開きとなった。
が!?第二回、三回と同じ議題でミーティングして意味あんの?と問われたら、どっかで仕分けして廃止と結論下す。兎に角、山吹の様子を見に行ったら布団の真ん中で、
義経「お!上手く座れるようになって」と嬉しく思ったが、義隆の顔を手で潰していたから、
河合「勇ましい女に育ちそうだな…」と言われた。確かに…。
松尾「最近の女って…逞しいからな」巴三姉妹、こえぇし。
義経「噂じゃ…巴って義仲を投げ飛ばしたって」それが決め手で義仲は妾にしたって。

得手不得手

2010-11-05 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
ふん「わぁ♪」と温かいリアクションを期待して、ここまで来た自分が妄想癖だと分かった。
志鷹「うわぁ♪さんきゅぅ!海尊」と温かいリアクションをしてくれた。
海尊「…(案外、可愛い奴だな…)」と変な所で気入られるタイプだと思った。
志鷹「俺、腹減ってたんだぁ~」と左手で握り飯を引っつかみ、頬張った。ら…
賀茂女「あ…」
海尊「…おい、そっちの(左)手…」餌付け用の生肉、一生懸命捏ねくり回していたろ。
志鷹「あ゛…」
海尊「案外、間抜けな奴だな」と変な所でトチるタイプの人間だと思った。
賀茂女「食事前に手を洗って『戴きます』してから食べてね。素行がバレるわよ…」
志鷹「あ゛ぁ゛」
賀茂女「それより丁度いいわ。海尊、はい」と渡されたのは、手裏剣で…。
海尊「え!?俺も修行?」しかも、手裏剣って!?
賀茂女「そうよ。餌付け用の肉、よろしくね」匠君に付きっ切りで、お肉の確保できないよ。と手裏剣の修行で餌付け用の肉を捕獲するように命じられた。明日から二日間の修行である。
海尊「…(じぃっ)」と手裏剣を見つめ「はぁ~、来るんじゃなかった」と深い溜息を付いた。
そんなこんなで志鷹と海尊の教育的指導と苦手分野克服が始まっていた。そんな修行風景はまた今度で、一旦旅館内の義経が眠る部屋に話を戻す。
こそこそ…ゴソゴソ…(あっあった!これこれ!)と闇夜に潜み、人様の荷物を探る狸が二匹。
チャッキンと刀抜一歩手前で「はい、そこまでだ。人様の荷物を勝手に探っちゃダメだろ、表に出てお話しようか…お二人さん」と自分たちの行動を棚に上げ、子供らが起きっからという理由で外に二匹の狸を連れ出した。こっそり部屋の外に出たが裸足…ま、そこらへん俺は気にしてない。ガキの頃、いつも裸足&どろんちょで山を駆け巡っていたから。
河合「あららぁ…起きてたのぉ?」狸寝入り上手いねぇ。
松尾「…おれらの荷物も探ったくせに」
義経「はいはい、それより[鳥見免許皆伝書]を返してもらおうか」ほれほれぇと手を出した。
河合「ちぇっ」と舌打ちしたものの素直に返してくれた。
松尾「…勘が良いから気をつけろって言われていたけど…」
義経「ふふん。伊賀忍さんが繭子の小手調べ(睡眠薬)に引っかかるとは思えないし、そういうお薬を常時服用して慢性化して薬が効かなくなってるはず。それなのにあれれ??可笑しいなって思ったわけ、海尊が」海尊直筆のメモを人差し指と中指の間にピッと挟んで見せた。

それぞれの夜

2010-11-04 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
サブ「今夜から3日間、山小屋で過ごすんだ!!若い男と♪」
ロク「海尊もそこに向ったから若い男は二人だ!」二人とも腕力あるぞ♪へへんだ!
弁慶「って、いらん事言うな!」と窘めたら、
ロク「えへっ♪」とペロと舌を出した。
親父「首謀者は義経か…」と分かったが、その主謀者との面識が無く、知らない奴だから、ここにいる連中から「可愛がっちゃる!」と印を組む。
鞍馬「おいおい、親父。客がいるんだぜ…。ケンカなら外でやってくれ。酒が不味くなる。なぁ」とツレに同意を求めた。が!?
ツレ「ふん。そう簡単に不味くなるような酒、造っちょらん」酒の卸業者扮する妖怪だった。
鞍馬「そうか。なら、やっちゃってOK」と鞍馬の許可を得た所で女将も一緒になって、印を組み、降魔(ごうま)印を繰り出そうとして、
富樫「って、マジで!??」俺ら悪魔じゃねぇっし!
サブ・ロク「鞍馬さん!俺らを助けてくれぇ!!じつはぁー…」と助けを求めた。
助けるのか?助けないのか?は後のお楽しみにして、突然で悪いがこの危険な状況の一時間前に遡ろうと思う。全く勝手に筆者 松郷が時間を遡らせるだけであるが、海尊が鳥海山頂上の山小屋に到着していた。そっと覗いてみてご覧、そっと覗いてみてご覧、二人で何お遊戯しているの?…とこっそり小屋の隙間から中の様子を恐る恐る覗いてみると、
海尊「あん?あいつら」あんな仲良くなって…と、やきもち焼いて、
賀茂女「匠君、いい?右腕の使い方はこうで、左手指を細かく動かして…」と手取り教えて、
志鷹「こんな感じ?」と賀茂女を見て、
賀茂女「そうそう、いい感じ、いい感じ♪」
こっそり覗く海尊は「おいおい、そんなに近づくな!襲われっぞ、賀茂女」と心で思ったが、心の声なんて賀茂女に聞こえちゃない。海尊の心を無視して急速に親密になりつつある二人。
志鷹「そーっと、そーっと」と手を伸ばし、
火鷹「(パック)キキッ♪」と大喜び大満足で、餌付けされていた。
そこへ、二人の様子を覗き見している海尊の背後から急降下、突進して来た黒い影は、
海尊「いてぇ、いてっ、いてって!」と足蹴にした。もちろん、賀茂女の隼 黒栖くんである。
賀茂女「ん?海尊じゃない!何しに来たの?」って、冷たく言われたから、
海尊「…はい」と毛布と握り飯を渡した。
賀茂女「あぁ…ありがとっ」って、ほぼノンリアクション。

同じ穴の狢たち

2010-11-03 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
冷泉院「私も温泉にゆっくり浸かるぅ、小町の湯入れなかったし」と、風呂の準備にスクッと立ち上がり、ササッと祝賀会から一抜け二抜けした。その後、別の部屋を借りてゆっくり寝たらしい。もちろん、後から聞いた話だ。
牛さん「親睦会かぁ♪うしっ!」と呑む気満々であるが深い酒事情を知らない牛さんで、瑠璃姫はにっこり微笑んで「じゃ…」と涼しい顔で立ち去った。パタンと絞まって、
瑠璃「(ごめんなさいね、牛さん。かなり深い、酒の親睦が始まるの…明日はないわ…)」と内心、思った。
牛さん「ん♪じゃ!」と杯を持ち上げ、誰も頼んじゃいないのに「カンパーイ!」と勝手に音頭を取った。
富樫「おっ♪おっさん、呑める口か!?」と勝手に思い込み、
弁慶「おめぇらも呑めるだろ!」とバンバン注いで注いで…2時間後グロッキー状態でダウンした牛さんと佐藤の妻ら&サブロクの妻ら…で、
サブ「よえぇ。そんなんじゃ一人前のくの一になれんぞ」と寝てしまった、くの一に言った。
ロク「なぁ、そろそろじゃね?」胎太鼓をぽんぽこ打つ真似をして、
富樫「そうだな…じゃ」と場所を変えて呑むことになり、グロッキーらを部屋に放置し、外に出てテクテク歩いて、
弁慶「やってるかい?」と洞窟居酒屋『同じ穴の狢(ムジナ・狸、ハクビシンや穴熊を指す)』
の暖簾を潜って入り「お座敷…あいてる?親父」と尋ねたら、
親父「おう、いらっしゃい。奥のお座敷…」を包丁で指し「そこ座れや。…昼過ぎて娘連れて山に入った男が一人、さっき、もう一人、山に入ってったが、おたくらの知り合いか?」
富樫「あぁ、賀茂女ちゃんらのことか。あぁそうだ」
親父「賀茂女…」と名前に反応し、
お通し(酒の肴)は運ぶ狐目の女将がギロっとこちらを睨んだ。
女将「熨斗鮑(のしあわび)※に…この山で取れた山菜の御浸し、どうぞ…」コトっと静かに置いて「うちの賀茂女が若い男と山へ…」と呟いた。
※熨斗は延寿、鮑は長寿武運で縁起の良い食べ物として頼朝に年貢として納められていた。
富樫「え?うちの賀茂女って!?」
弁慶「え、あなたが!?って、ちょっとタンマタンマ!これにはふっかーい事情が!」とここにいない義経の全貌と陰謀を暴露した。正直に。
富樫「そんで、志鷹に鷹匠訓練を命じたんだっ!!」志鷹は自称 義経の一番弟子なんだぞ!

高祖の血

2010-11-02 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
義経「…かなり脚色してあるが、詳しいな、冷」
冷泉院「だって…私…冷泉…って、ほらぁ、名前が一緒じゃない♪」と誤魔化した。
義経「ここでそういう誤魔化し狸は通用しない」と一睨みしたら、
冷泉院「う゛っ…実は…私、冷泉帝が高祖(直系血族)で…冷泉院って、そこから名前を貰って…。で、でも、高祖父がっての事だし」私関係ないもんと口を尖らせたが全く可愛くない。
義経「あのな。関係ありませんで事が済まねぇから源氏の血を引く俺らの命が狙われてんの」
富樫「それに関係ありありだ。紅葉狩りの勅命を下したのは、その冷泉帝だろ」物語の細部を逃しちゃだめ、だめ!と口元でチチチッと人差し指をメトロノームみたいに動かした。
義経「確か…鞍馬が“お前ら”にまつわる鬼那(きな)臭い夜叉女の伝説って、言っていたな」
お前らって…俺と冷のことか?でも、紅葉狩りの頭領は平 惟茂(これもち)だ、怨むんなら平家じゃねの?と自問自答を口にした。
富樫「ふぅーん、昔は源氏平家も桓武平氏一族であんま関係ないんじゃねぇ?」俺の祖も桓武平氏の流れを組む越後平氏で八曜紋、替紋が鹿角紋だし。常陸平氏・信濃平氏と同族で、なんでこんなに同族が増えたかって?質問されてないけど答えるよ。養子だ、養子。
多くの優秀な養子を取ったって話だ。その養子の一人が、平惟茂だ。
義経「ふーん、で、やっぱ、富樫って八曜紋だよな」このTシャツ(九曜紋)をクイって引っ張って「富樫が注文したんじゃねぇの?」陰陽系の厄除け?
富樫「あん?俺じゃねぇよ」カッコイイから着てっけど。俺らの紋って真ん中の星ないよ。
弁慶「そういう陰陽系の話なら、賀茂女が詳しいだろ」あいつ陰陽師で、妖怪1/4だし。
義経「うぅん?ま、志鷹の修行が終わってから聞いてみるか…」と腕組みして考え事をしていたら、ちょっとウトウト…。こっくりこっくり…で、寝た。
富樫「おいっ。義経の奴、寝たぞ」と小声で弁慶に伝えた。
弁慶「よし、サブロク…いけ!」と隣の部屋を顎で指し示し、
サブロク「面倒な事ばっか俺らにやらせるぅ」と必ず一言文句を言うが、ちゃっちゃと行動に移して布団をササッ引いてくれる。えらい奴らだ。引かれた布団の上に弁慶は義経をぽーいとほっぽって、富樫「おいおい、風邪引くぞ…」と布団の中に入れてくれた。あんがと…。
スー、パタンと隣の戸を閉まって、
富樫「さぁッ!うるさいの(義経)が寝た。呑むぞ!牛さんの親睦会&出産祝賀会だ!」
瑠璃姫「わっ、私、疲れたからお風呂に入って寝るわ。また今度ね♪」と永遠に来ないと思われる“またの機会”を社交辞令的に口約束し、かつ、丁寧にすっぱりお誘いをお断りし、

紅葉の賀

2010-11-01 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
義経「ところで、これ分かっか?」話を変えて、義隆の帯を皆に見せた。

繭子が織った桐生織の帯はリバーシブルタイプで…クルッ返して、どっちが裏か表か分からないが着せられていた柄は黒の縞模様、裏になっていた方は『源氏香の図』が織られていた。

源氏香の図とは、宮中や都の高貴なセレブの中で流行っていた香道で5つの香りを調合して25種の香りを作って誰がどの香りを使っているか分かるように作られていた。ま、香の型番みたいなものだ。セレブの中で香りを当てる源氏香ゲーム、また、香の図の紋を一枚ずつのカードにしてカルタなどが流行っていた。源氏香カルタとは、かの有名な源氏物語の各帖『藤壺、若紫、葵、須磨、明石…』それぞれ女性たちが使用している香の名前が使われており、その物語に込められた思いを歌い、即興で下の句を作るというものだ。
義経「…で、この香の図だけ色が違う。何を意味してると思う?」
冷泉院「これって七帖 藤壺の『紅葉の賀』じゃない?」
源氏物語 七帖 藤壺「紅葉の賀」
幼くして母を亡くした光源氏は母の面影を追い求め、色んな女性と通じる物語「源氏物語」…ま、現代でいう魁!マザコンDe浮気症候群のことかな。そんな母を亡くして落胆中の光に浮上した父の再婚話、父 桐壺帝は、藤壺を后とすると打ち明けられた。
光「え?再婚!?」ってどんなのがママになるん?とそーと覗いてみると、なんと!藤壺は亡き母の生き写しだったって「えぇ!?マジで」会いたいと思い、しつこく手紙を出した。
こういう近親相姦的なスキャンダルが世間様にバレたら源氏失脚は免れないが!?18、19歳 光は若気の至りで藤壺と「やった!通じた!」と夜の蜜会を慣行したが、避妊という手段が当時なく、藤壺が「ご懐~妊!」となった。事もあろうに桐壺帝の息子 光の子であるって、そんなことが世にばれたらぁどうしよう…と光とのご縁をぶった切ろうと光への思いを断つ藤壺だったが、そんなこと知る由もない光はあっつぃ視線と文を送り続ける。そのあっつい視線光線に藤壺も自分の旦那(光の父)より若くて美しい光の方がいい!と思ってしまい、度重なる蜜会と衝撃的懐妊事実で罪の意識に苛まれ悩み続けることになる。一生…ね。
懐妊を喜ぶ何も知らない無実な父 桐壺帝はわが子誕生を盛大に祝おう!と紅葉の賀を開く。
が、藤壺は欠席。なんだ参加できないのか…かわいそうに、といらん気を回した桐壺帝はリハーサルに藤壺を呼ぶ。そのリハで光は舞を舞う。
藤壺「やっぱり、若いっていいわぁ」と光に熱い視線が注ぐ。そんな危ない光線が行き交う紅葉の賀が終わって、藤壺から「おっ!」と文が届いた。その文で、ガーンとした衝撃の事実を告げられる。藤壺が無事男御子(後の冷泉帝)!玉の様な光の美しい皇子が誕生したって。