ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

飛んで火に入る夏の虫

2011-05-23 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
義経「で、お前…」相変わらず、浮かない顔した能子を「大丈夫か?」と心配してやったら、
能子「もうッ」と懐から酒田街道マップを取り出し「平気よ!」見せびらかした。
義経「誰が、迷子の心配したよ…」チッと能子を睨んだ。
能子「え?」
義経「なんでもねぇ。早く戻れッ」シッシッと追っ払いポーズを出した。
志津「どうやら、役者は揃ったようね」と鹿角君の手綱を取って「シャッ」と鹿に跨り、義隆の前に座って「Let’sらgo!」と先導し、登山口に向かった。その後ろ姿を、
能子「気を付けてねぇ」と手を振ったら、志津さんは背中を向けたまま、左手でGOサイン、
義隆「行って来まぁーす」と振り返って、満面の笑顔を見せてくれた。
能子「良かった…」ホッと一安心…と、思いきや、急に不安が襲ってきた。AM4時半、一人取り残された私…今いずこ?キョロッと辺りを見渡し、お店の名前…聞いて置けばよかった。
鹿角君に乗って走って、ここまで来たから「マップ…」をじっと見ても、分からない。兎に角、前向きな気持ちで前進するしかないわ…と歩いたら「ゲッ!?」ここ、もしや!?
噂のあっちの世界で俗に言う遊郭街で「ハッ!?」とした。コソ…ッと建物の影に隠れた。
「旦那様ぁ、またいらしてねぇん♪」とでっかいネコを被ったネコなで声の遊女がお見送り、
旦那「また来るよん♪」って、鼻の下伸ばした…、
能子「(松殿ッ!!)」グッと拳を握り、とっちめてやるッ!と尾行した。
その姿を遊郭から見ていた二人組「あらら、あの子…追いかけないと」(ポン!)とバトンタッチ、「まったく、世話の焼ける人だ…」と、能子を追いかけた。
テクテク…と、清々しい朝の川原をのん気に散歩して、
松殿「一人で…」クルッと振り返り「いいのかな…?」と、不敵な笑みを浮かべた。
能子「私一人で、十分よ」
松殿「飛んで火に入る夏の虫…」
能子「私は、蚊じゃないわ」
松殿「駆除される前に、蚊帳の中に戻ってくれれば…害虫を寄せ付けないが?」
能子「宮中へは、戻らない」
松殿「ふぅ…ん」と能子の顔を覗き込み「さて、姉と慕う蕨姫(繭子)に、子供が生まれた…」
能子「え…」
松殿「義経にも、妻子がいる。もちろん、他の連中にも、家族がいる」
能子「…。私の身柄と引き換えに、みんなの命を保障する、とでも…?」


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