ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~殿の、逆さ無文字~

2012-11-22 | 散華の如く~天下出世の蝶~
“また、隠密(スパイ)が来たぞ”
帰蝶「経典を盗まれ…喜ぶなど、」
沢彦「わざわざくすね易きよう、見易き場所に置いて…」
“何を探っておるのやら…”
「まんまと、引っ掛かりましたな」
帰蝶「まぁ…」
沢彦「細君で無ければ、しょっ引く所」
帰蝶「意地の悪い」
殿、全て、お見通しであった。
それを見て笑っているなど…、
ぶぶ…
「仏法、禅法、諸作法に興味関心があるだけ。ここに、全て揃っていたから…ちょっと」
なんとも歯切れの悪い。
“いつもの、そなたらしくないのう?”
ニヤリ、したり顔の第六天が脳裏に思い浮かんで、
不愉快じゃとブンブンと、頭を振って掻き消した。
「ちょっと、借りただけにございますッ」
沢彦「して、ご理解頂けましたかな?」
帰蝶「それが…さっぱり。何をお考えなのか…」
夫の考えが、まるで見えない。
いつか突然、どこか遠くに行ってしまうのではないかと、
「少しでも、殿のお考えに近付きたかった…けど、」
沢彦「お勉強が足りませぬぞ。必ず、真理が見えましょう。続け成され」
帰蝶「元々、真理とは何でしょう?」
沢彦「変わり逝くモノにして、変わらぬモノ。無にして、無に非ず」
帰蝶「余計混乱を招く答えじゃな」
沢彦「真理とは、ご自身が掴むモノにして、答えはありませぬ」
帰蝶「真理追求のため、生涯殿の面倒見なければならぬのか?」
沢彦「それも、妻の定めと観念なさいませ」
帰蝶「妻を御縄に頂戴して、どうするのやら…」


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