ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

異父兄妹と兄弟

2011-07-29 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
池田「おそらく、その子に仕込まれた薬は…」
継「匠の、蠱毒(コドク)…」
池田「はい。今の段階で、施す手立てはなく、鎮痛剤で痛みを“抑える事だけ”でした…」
継「が、治った…?」
池田「診てみないと、なんとも言えませんが、血清(けっせい)だとすれば…」と言い掛けて、
シャッと、いきなり部屋に入って来た志津「油売ってないで客室掃除の次は、買出しだよッ!行きなッ、シッシッ」と二人を追っ払い「アンタは…」スッと、
池田「…」浴衣を差し出された。
志津「池ちゃんだっけ?温泉入ってきなッ」
池田「…」ちらっと、すやすや眠る御方様を見て、
志津「能子(よりこ)ちゃんだっけか?取って食ぃやしないよ。この格好じゃ、苦しいだろ」と女性用の浴衣を出した。
池田「どうして、彼女の名を?」
志津「今朝方、兄貴から“妹”だと、紹介された。あの兄貴の妹にしちゃ、品がある。しかも、かなりの身分…だろ?」
池田「…」
志津「”タダ”で泊めるんだ。そこら兄弟の事情と素性、教えてくれてもいいんじゃない?」
池田「…」迷ったが、正直に「義経さんは、源氏方棟梁の源 義朝様の最後のお子。義朝様が家臣の謀反により殺され、その後、行き場を失くした側室の常盤御前様が平家棟梁の平 清盛の側室に迎え入れられ、その後、彼女が産まれました」と彼らの素性を明かした。
志津「異父兄妹…清盛の娘」を見て「源平合戦、かつてのライバルが、兄妹を残した…」
池田「はい」
志津「何の因果(いんが)で…」ふぅと吐息を漏らし「ところで、あんたは何の因果だい?」
池田「私は…ただの、従者です」
志津「平家の情操教育じゃ、誤魔化しも習うのかい?」と睨んだ。
池田「…私は、小松(重盛)重臣 池田家の生まれで、その子 資盛の従者をしておりました。池田輝と申します。今は検非違使として彼女の護衛を仰せつかっております」
志津「ふぅ…ん。で、タクちゃんだっけ?弟の…」
池田「…あれは、越前織田庄の忌部(いんべ)※を父に持つ、異父弟です」
※祭事を執り行う職業集団氏族です。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。