ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

演目『朝比奈(あさいな)』

2011-06-17 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
初老 能楽師「舞えるのか?」
池田「よく、舞っていました…」と、彼女をちらりと見たら、
能子「お願いします!」と頭を下げていた。
ワキの能楽師「では…」シテの着付けを担当する後見を呼び「お願いします」と頭を下げた。
能子「はい」能面 小面(こおもて)を受け取った。
急遽、能と狂言の演目を入れ替え、能装束を着付けてもらい神主から祈祷を受けた。準備が整い、出番まで、こっそり舞台袖から狂言の演目『朝比奈(あさいな)』を見て、待っていた。
能子「クスッ、おっかしぃねっ」と、のん気に笑っているように見えるが、声は震えている
池田「…」相変わらず、震えるんだ、と思った。舞台に立つまでの間、極度の緊張で震える。
昔と変わらない…芯が強いのか弱いのか、硬いのか脆いのか、そんな彼女をほっとけない自分が「困ったもんだ…」と独り言のように呟いたら、
能子「…何か、してないと」舞台から視線を外し、池田さんを見つめ「ダメになりそうで…」
池田「乗りかかった船です。お供します」と肩に手を置いた。
能子「す…」と苦しかった呼吸が楽になった「ありがと…」そして、舞台に視線を戻し、演目『朝比奈(あさいな)』の続きを見ていた。
地獄の番人 閻魔(えんま)大王「最近の人間は賢くなりやがって、みな極楽へ行っちまう」
その頃の地獄では、働き手不足と飢饉で鬼たちが飢えていた。そこで…、
閻魔大王「娑婆(シャバ)から出て来た罪人を地獄へ突き落しちまおう」と亡者を物色した。
威勢のいい若い亡者を見つけて「いいカモが来た…」と目星をつけ「おい、そこの…」と呼び止め「いい話がある。俺に付いて来ないか?」と誘った。
男「ふぅん?うぬは、人を呼び立てるに、名を名乗らぬのか?」
閻魔大王「…」その態度が気に入らないが、こちらから「比良 左衛門※の守(かみ)だ」と名乗った。※左右衛門府で門番のことです。通常、検非違使が行います。
男「俺は、朝比奈(あさいな)…」と名乗って、
閻魔大王「分かった」かくも剛力無双と名高い「朝比奈将軍…」和田義盛の子 朝比奈 三郎義秀だった「ほぉん、松島から黒川まで水路を切り開くのに、七つの山を作ったという…」
朝比奈「…ただの噂だろ」と笑っていたが、
閻魔大王「こりゃ、また…」一筋縄にはいかない奴だった…「面白い話が聞けそうだ。なぁ、あん時の武勇伝、聞かせてくれよ」
朝比奈「あぁん?」と目を細め、門番を睨み「…まぁ、いいだろ」と奴の首根っこ掴んで、


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