ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

切開

2014-09-05 | ~ 出 産 ~
「ちょっとチクッとするよ」
プス…、と局所麻酔である。どデッカイ蚊に刺されたような痛みが走った後、
シャッキン、シャッキン、キャッキン、キレ味の良いハサミの音が聞こえた。
え…と、つまり、
会陰切開である。
切られたのに痛くない。なんとも妙な気分だ。
なぜ、会陰切開にいたったか?
出産スピードが早過ぎ、子宮口から亀裂して肛門まで避ける事を回避するためである。
それに、あらかじめ切り込みを入れた方が、治りが早いらしい。
ちなみに、出産後、看護婦さんに聞いた話であるが、
「お口の中と一緒よ」
子宮口を切っても、三、四日で傷口が塞がるという。
さらに、
「抜糸って、いつですか?」
ない。溶ける糸を使っているらしい。
しかし、いきなり子宮に切り込みを入れられ、その時は驚いた。
切り込みを入れるなら「入れる」と言ってほしいが、先生にしてみれば、くそ忙しい出産時にいちいち説明して、陣痛の合間に同意書貰う…なんて悠長なことをして、出て裂けたらどうする?という話にもなろう。私だって、陣痛最中にそんな説明…耳には入らない。
とにかく、先生に「(娘を)任せたッ!」という気持ちで一杯いっぱいだったから、後は好きにしてというのが正直なところである。もたもたしていられない出産で、先生もお忙しいと来ている。娘を早々と取り上げ、隣の妊婦の所に行きたかろう。私は、必死に息んだ、息んで…、息んでいる最中に、母の言葉が思い出された。
“途中で息むの止めちゃダメよ。頭潰れるから”
ひぃーッ
※叫び声にしか聞こえないが、訳すると「潰れるなぁーッ」であろうと思う。
「赤ちゃん、見て息んで」
潰れていないか?まったく見えない。ジャック先生しか見えない。
「出た」
けど、やはり私の視界には、子宮を得意げに糸で縫っているジャック先生しか見えなかった。