ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~天主への祈り~

2014-03-01 | 散華の如く~天下出世の蝶~
安土城完成と、
家康殿の長篠の戦での労を労い、
盛大に祝賀会を開く事となった。
帰蝶「キャンドル…?」
ヤスケ「蝋燭にございます」
私は黒人家臣ヤスケと共に、
宴の準備に精を出していた。
元奴隷は、今や立派な通訳、
西洋を正確に教えてくれる。
「天主様がお生まれになった日、クリスマスには燭台にキャンドルが灯され…」
天主誕生祭を教えてくれた。
夜になれば皆々が光を灯し、
光の中で天主に祈り捧げる。
「天に輝く、ひと際美しい星…ベツレヘムに向かって祈るのです」
帰蝶「キャンドル…ベツレヘム…?」
ヤスケ「キャンドルは蝋、灯のこと。天主様はその星の下、馬小屋でお生まれになったと…」
帰蝶「天主様が、馬小屋で…」
ヤスケ「はい。みすぼらしい馬小屋だった、とのことです」
帰蝶「天主となられるお方なら、それは立派な所でお生まれになったとばかり思っていた」
ヤスケ「お生まれは皆同じ…この日ばかりは身分の上下もございません。あるのは家族のみ」
帰蝶「ならば、我らも家族です。城下の皆々にも光を灯してもらいましょう」
ヤスケ「はッ。天主様、御屋形様も大層お喜びになりましょう」
家族、という言葉に、ヤスケの反応は早かった。
家族のいないヤスケには嬉しかったのであろう。
「それから、安土方様。もう一つ、食にございますが、」
食卓にはターキーの丸焼き、ワインに、大きなケーキが並んで…、
身振り手振りで説明する。こんなヤスケ…久しく見ていなかった。
帰蝶「ふ…ん。して、ターキーとは?」
ヤスケ「七面鳥…いわゆる、雉の丸焼きにございます」
帰蝶「えッ!?」